|
2008年12月15日、ついに実現した「三通」
上海周辺に50万人いるとも言われている台湾人。上海でビジネスをする日本人の間でも、やはり台湾人と台湾人ビジネスマン、いわゆる「台商」との関係は無視できなくなってきている。最近では、大陸中国人の台湾への旅行が解禁され、台湾から輸入されてくる果物など生鮮食料品も増えてきた。また、金融危機や不況が叫ばれるなかでも、台湾人の上海などでの不動産購入熱は相変わらず高い。その背景には、2008年12月15日に実現された歴史的な「三通」と関係がある。
「三通」とは、「通郵・通商・通航」を指し、1979年1月の中国全国人民大会常務委員会で発表された『告台湾同胞書』で表記された。郵便などの物流や人の往来が、第三国や地域などを経由せずに、直接大陸と台湾を往来することは、長年の夢でもあった。我々日本人からすると、なかなか理解が難しいかもしれないが、台湾と中国大陸との交通・物流は、政治的な理由で、長い間、香港やマカオなどを経由して行われていた。2001年になってやっと「小三通」が実現し、金門や馬祖と福建沿海の貨物や人の往来が可能になった。
しかし、上海から台北に飛ぶのにも、香港などを経由すると少なくとも5時間は要していた。中には、沖縄や福岡で乗り換える台湾人も少なくなかった。こうした「遠回り」は直接的に航空運賃や貨物など輸送コストに跳ね返り、長い間、台湾と中国大陸との交流の障壁となっていた。
資料・「三通」までの歴史的な流れ
| 1979年1月 |
全国人民代表大会が『告台湾同胞書』を発表、「三通」が明記される。 |
| 1979年2月 |
第3地域を経由するものの、台湾と中国大陸の長距離電話開通。5月、6月には香港経由での郵便業務がはじまる。 |
| 1987年 |
台湾人が大陸にいる親戚などの訪問が可能に。 |
| 1997年4月 |
福州・厦門と台湾高雄港との間の直行航路が開通。 |
| 2003年春節 |
旅客機による中国大陸と台湾の春節直行チャーター便開通。(まだ遠回りをしていた。) |
| 2006年 |
春節・清明節・端午節・中秋節などの節目にチャーター便開始。 |
| 2008年7月 |
週末チャーター便開始。 |
| 2008年12月15日 |
台湾と中国大陸の最短距離による直行便が開通し、実質「三通」が実現。 |
それが、2008年12月15日から、香港領空を経由するルートではなく、直接的に台湾へ飛べるようになり、たった1時間半で上海と台北が結ばれるようになった。上海と台北の場合、飛行ルートが1000キロほど縮まることになる。飛行時間で約1時間20分、エアバスA330型航空機で、約8トンの燃料節約となる。この効果は非常に大きい。
人の動きだけでなく、物流にとっても非常に大きな成果であるといえよう。この日から郵便も最短ルートで台湾へ運ばれることとなり、少なくとも2日間程度の時間短縮になっている。コンテナ船の場合、上海と高雄を結ぶルートでは、これまで日本の石垣島を経由していた。そのため、コンテナ船の航行距離は30%増加し、それがそのまま輸送コスト上昇に繋がっていた。
今後、台湾と中国大陸を直接結ぶ航空便数は増加するのは確実だ。上海と台湾に関しては、1週間に40便運行される計画で、台湾の航空会社5社が20便、中国大陸の航空会社4社が20便担当することになっている。
いずれにしろ、今回の「三通」で、台湾人にとっても、大陸中国人にとっても、距離感がぐっと縮まったのには変わりない。「台商」たちも、台湾に会社本部を置き、上海に駐在員事務所や、子会社をつくって、台湾人経営者たちが頻繁に往来するというようなこともかなり気軽になった。台湾人の大陸への投資熱が2009年に再び盛り上がることは間違いないだろう。(以上)
|