経済トピックス【2008年10月】

 

調整局面に入った上海の経済 

 世界経済が混沌とする中、中国にもその影響が出始めている。特に、中国の経済を牽引してきた沿海部の経済情勢も成長率が鈍化、明らかに調整局面に入っていることが分かる。上海市内でも、不動産業者の閉店が相次ぐなど、これまでと状態が異なってきていることが分かる。不動産物件が明らかに動かなくなってきている。

 9月20日に中国国家発展改革委員会が南京で行った会合では、江蘇省・安徽省・山東省・上海市・重慶市・南京市・杭州市などから代表が参加した。ここで中国国内の株式の低迷、不動産の低迷、自動車の売り上げ低迷など3つ不安要因を抱えていることを認識して同意している。すでに、上海市や安徽省などが2008年のGDP成長率予想を引き下げており、上海で10%、安徽省で13.7%と、2008年上半期よりもそれぞれ0.3%、0.5%引き下げた。

 この中で、上海市の成長低下が全国平均と比べても目立っている。2008年上半期のGDP成長率は10.3%で、前年比2.7%の下落となった。これは、全国平均の成長率と比較しても、0.1%低い数値となった。このうち、サービス業の成長率が9.3%にとどまっており、前年比4.8%の大幅な下落となっている。

 こうした現象の原因として、上海市は海外との結びつきが強く、国際経済の変化がまともに影響してくるという特徴があるほか、中国全体を牽引して経済が発展してきた上海が、いままさに産業構造の変化に直面していることも関係がある。

 上海周辺の各省の成長も同様に原則が明確になってきた。例えば、江蘇省の2008年上半期のGDP成長率は13.6%であるものの、これは前年比1.4%の下落となっている。江蘇省は、2008年全年の成長率を11%と予測していたが、実際にどうなるかは未知数だ。2桁成長が難しくなる可能性も高い。

 浙江省発展改革委員会でも、中小企業の動向を注視している。全体的には近年競争力をつけてきているものの、経営状態が厳しい企業がまだ多く、資金供給に問題を抱えている。結果、低価格での競争を強いられ、利益が思うように上がっていないのが実情だ。

 上海市の実態経済状況について、2008年全体で成長率10%を維持することも難しいのではないかという声も耳するようになった。上海のメディアの報道も、これまでの経済の後退を危惧する論調から、後退を容認する方向へ変化しはじめている。世界経済の荒波の中に、いち早くのめり込んだ国際都市上海の宿命かもしれない。

 一方で、比較的海外の影響が少ないと見られている安徽省などの内陸エリアでは、今年も成長率は減速するものの、ある一定のGDP成長が見込まれている。例えば、安徽省の2008年全年のGDP成長率は、13%以上と予想されている。2008年上半期も前年比0.5%減少の14.2%の成長となった。

 中国の経済過熱が心配されていた昨今の事情を考えると、今回の全世界での経済減速は、ある意味中国経済の軟着陸に必要な条件を提供しているという論調もある。輸出と不動産が苦しい中、中国経済がうまく内需主導に切り替えられるかが、大きなポイントもなりそうだ。(以上)


 

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