経済トピックス【2008年9月】

 

月餅と過剰包装再考

 

 今年は、914日が中秋節だ。2008年度から中秋節が祭日になったおかげで、3連休が増えたという人も多かった。中秋節といえば、一種腐敗の象徴ともなった月餅の贈答が例年盛んだが、総じて今年はあまり盛り上がらなかったように感じられる。市民側も理知的になり、もらって困る大量の月餅から、パン類などの商品券に置き換えられるケースも増えてきた。ダフ屋も、以前の月餅引き替え件の取引から、商品券の取引に対象を変化させてきている。

 

 そもそも、月餅が腐敗の対象として見られるようになったのには、ワケがある。月餅を作るメーカー側が、箱の中に月餅を入れて販売するだけでなく、洋酒や貴金属など「おまけ」を抱き合わせて販売したからだ。さらに、高価な包装紙や金属やプラスチック、木などを多用した箱も登場し、月餅よりもその外側が注目されるようになった。

そこで、200661日より『月餅強制性国家標準』が定められ、月餅の成分、技術的要求、試験方法、検査規則などに細かい規制が入った。これがなかなか興味深い。例えば、月餅の包装コストは、月餅全体の価格の25%以内とする、月餅1つあたりの包装の空間は、月餅1つの容積の35%を超えてはならない、月餅1つの包装と中身との間隔は25センチ以内というような具合だ。しかし、実際には無数にある月餅の箱を一つ一つ調査することは現実的でもなく、机上の空論化しつつある。

 

 月餅の生産会社にも、言い分がある。単純に月餅を箱に入れて売っているだけでは、付加価値を付けることができず、値段的にとても収益がでる商売にはならないというのだ。そこで、考えられたのが、地方による規制への対応の違いを利用した商売だ。すなわち、上海のような厳しいエリアでは、簡単な包装にした月餅を店頭に並べ、地方に対しては相変わらず過剰包装の月餅を売るというもの。もちろん、国家規定で月餅に月餅以外の「おまけ」をつけることは厳しく制限されているものの、今度は月餅そのものの「おまけ」を付けることにより、付加価値を高めているという。

 

 ところで、『月餅強制性国家標準』に関しても、抜け道はいろいろあるようだ。そもそも、月餅の品質管理(生産加工・材料など)に関しては、各区の食品薬品監督管理局が担当するが、月餅の包装に関しては管理できないという。結局、規定はできても、それを明確に監督する部門がないというのも問題だ。買い物袋の規定など包装を簡略化する方向で動いている中国だが、ことに月餅に関してはまだまだのようだ。

 

 クリスマスケーキ同様、中秋節が過ぎてしまったら一気に商品価値が薄れてしまう月餅。今年も、各家庭には無数の月餅が眠っているのに違いない。社会の発展に従って、この月餅の贈答文化がこのまま残っていくのか、興味深いところでもある。(以上)


 

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