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経済トピックス【2008年7月】
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上海市が直面している少子高齢化の問題 戸籍制度が厳しい中国では、地方から労働力の流入があっても、簡単に上海籍に変更することはできない。上海籍が取得できれば、上海でも医療保険や社会保障の待遇が受けられるし、公立の学校にも入学できる。しかし、籍の取得はそう簡単ではない。たとえば地方出身者が上海籍に変更するためには、学歴や業績など経歴を点数化して一定の水準をクリアしなくてはならないなどの規定がある。毎年就職シーズンになると、地方から来ている大学生がなんとか上海に残れるように一喜一憂するのも無理はない。 実は、数字の上では地方から上海への人口流入が続く一方で、実際に上海籍を持っている数は増加しておらず、ここ近年では逆に減少している現象があり、高齢化の問題も含めて今後の人口動向が心配されているのだ。 上海市民政局が発表した2007年12月31日現在の上海市の戸籍人口は1378.86万人で、このうち15歳〜59歳までの労働者人口は975.61万人となっている。さらに、60歳以上の高齢者人口は286.83万人で、全人口の20.8%を占めている。労働者人口だけでみると、2006年末では980.85万人だったので、上海市では労働者人口が減少に転じていることになる。巷で地方からの出稼ぎ者の流入が続く中で、上海籍の労働者人口減少は社会にどういう影響を与えるのだろうか? 2007年度の上海市の平均余命は81.08歳で、このうち男性は78.87歳、女性は83.29歳となっており、上海籍の市民の平均余命はすでに先進国の水準に達している。政府の統計では、今後毎年上海籍の高齢者人口は10万人単位で増加していくと予想されていて、特に2010〜2020年に関しては毎年17万人単位で増えるとみられている。 上海市は、中国の中でもまだ比較的社会保障制度が整った市だ。上海籍も持っていれば公的医療保険は整備されているし、養老保険なども支給される。しかし、労働人口の減少は、必然的にこうした高齢者への社会保障の負担増大を意味する。若者世代の負担問題が、そろそろ現実化しようとしているのだ。 2008年4月のデータで、上海市の60歳以上の高齢者で養老保険にあたる「城鎮基本養老金」の受給を受けている人は、199.28万人で、60歳以上の高齢者の69.5%を占めている。この高齢者問題の対策のため、一人っ子政策が続く上海では、一人っ子どうしの結婚では2人目の出産を認めるなどの緩和政策が行われているが、それでも2007年まで15年連続で上海籍の人口が減少していて、自然増加率が-0.1‰となっている。一人っ子の規制緩和がされても、高くなる上海での教育費や住環境の問題で、出生率を増やすのは容易ではない。 上海でも出産ブームが昨今続いているようだが、その多くは地方から流入してきた人口の出産ブームが中心であり、上海人に関しては労働者人口の減少と高齢者の増加で、まだ顕著な増加傾向には転じていない。2008年には増加に転じるという予想もあるが、まだ楽観視できないのである。 上海市の目下の課題としては、どのようにして地方からの人材を導入し、合理的に上海籍を取得させるようにできるか、また特に女性を中心に50代後半で退職する人たちの退職時期を後ろに引き延ばすことができるかが、今後の大きな課題といえよう。また、上海の多くの企業でも、社会保障コストの高い上海人よりも、社会保障コストの低い地方出身者を雇用したがる傾向もないわけではなく、戸籍問題が上海人自身の雇用問題に大きな影を落としているともいえよう。(以上) |