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経済トピックス【2008年5月】
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2つの大橋が完成 〜長江デルタエリアの新しいネットワーク〜
壮観な杭州湾大橋
2008年春、上海を枢軸とした長江デルタエリアに劇的な影響をもたらすであろう2つの橋が開通した。一つは5月1日に開通した杭州湾大橋、そしてもう一つは5月22日に開通した蘇通大橋である。この大橋の開通で、上海からは直線距離で結ぶと非常に近い距離であるはずなのに行きにくかった浙江省寧波市と江蘇省南通市を一気に近づけた。 長江デルタエリアは、中国北部の渤海エリア、中国南部の珠江デルタエリアに続く中国3大経済発展エリアの一つで、さらに民間企業が多数育ってきているエリアとしては中国トップクラスの実力を持つ。中国のトップ500にランクインする民間企業の半分はなんとこの長江デルタエリアにあるぐらい、地域内での経済活動は活発で、高速道路ネットワークの整備は急務となっていた。 ●杭州湾大橋 杭州湾の真ん中を横切るように建設された大橋で、嘉興市海塩から寧波市慈渓を結ぶ全長36キロ。海を横切る大橋としては世界最長を誇る。2003年11月から工事が進められていた。寧波市は浙江省で有数の経済的実力をもつ都市でありながら、交通アクセスが悪く、上海からも杭州を経由してしかアクセスルートがなかった。ところが、今回の橋の開通で、これまで304キロあった上海から寧波までの距離が、一気に179キロまで短縮され、車で2時間の距離になった。従来より1時間以上短縮されることになる。2010年の上海万博を見越した需要があるだけでなく、世界各国の企業が寧波エリアへ触手を伸ばしはじめている。特に、橋の袂に位置する慈渓エリア杭州湾新区に注目している企業は多い。橋の開通で、寧波から蘇州、無錫、常州エリアへのアクセスも大幅に改善され、物流の要となることが期待されている。また、橋に近い上海市南部にある奉賢区も大きな恩恵を受ける。特にこれまでは農業エリアとして有名だった奉賢区も、寧波市などと手を組んで新たな経済発展を試みたいと戦略を立てており、2007年4月には寧波市に区政府の事務所を設立させた。 ●蘇通大橋 全長32.4キロの蘇通大橋は南通と蘇州常熟を結ぶ橋で、長江では最も下流に位置する橋だ。2003年6月から工事が行われ、6車線の高速道路が走る。この橋の開通で、上海浦東から江蘇省南通まで1時間で結ばれることになった。これまでフェリーを使って2〜3時間かかっていたことを考えると、時間的メリットは非常に大きい。日系企業も多数南通に進出を果たしており、近年注目度が高まっている。今まではるか遠いイメージにあった南通市が上海の都市圏エリアに取り込まれるのも、時間の問題だろう。さらに、現在崇明島を経由して南通市に向かうルートも開拓されており、上海-南通を結ぶ滬通鉄道も計画されていて、これまで南京経由だった上海から南通までの鉄道ルートも、ダイレクトに南通まで結ばれることになる。上海の経済発展に伴う恩恵が、蘇通大橋開通によって直接的に南通にも持ち込まれることになる。 ●長江デルタエリアのさらなる拡大 これまで、長江デルタエリアといえば江蘇省南部、浙江省北部を指し、南通や揚州はその影響力があまり及ばなかった。南通エリアは、中国人の間では蘇北エリアとも呼ばれ、蘇州など蘇南エリアと比べると以前までは低く見られていた。蘇北エリアの人とは結婚したくないというような差別もあったぐらいだ。長江を渡るということは、固定概念的にも中国人へもたらした影響は大きい。しかし橋の開通で、そうした地理感覚が一気に刷新された。 そのほか、新しい概念が続々登場している。たとえば、南通から寧波までの新しいルートが開拓され、これまで7時間以上かかっていたのが、4時間台にまで短縮された。多くの観光地を抱える寧波市にとっても新しい発展が期待されている。加えて、上海を中心とした長江デルタエリアの関係強化がより一層図られることになる。 4月18日より上海-北京間を結ぶ全長1318キロの大動脈、京滬高速鉄道の建設工事もはじまった。今度は、安徽省が長江デルタエリアとのつながりを強化することになろう。さらに、上海-南京、上海-杭州、寧波-台州-温州を結ぶ高速鉄道の計画も発表されており、長江デルタエリアのつながりはますます密接になる。 こうした拡大長江デルタエリアのことを『泛長江デルタエリア』と呼ぶ新しい呼び方もある。各省間でのネットワーク強化競争は、これからも繰り広げられることになるのだろう。(以上) |