経済トピックス【2008年2月】

 

南京〜上海が通勤圏に

具体化してきた長江デルタエリア高速列車網

 

 2月に入って、春節の帰省ラッシュまっただ中の上海だ。今年は大雪に見舞われ、全国的に交通が大混雑した。

2007年度、上海鉄路局が管轄する長江デルタエリアとその周辺を利用した鉄道利用客の数は2億人を突破し、中国全国の18の鉄道局のなかでは、初めて2億人を突破したことになる。如何に長江デルタエリア経済圏の鉄道での人の往来が盛んであることがわかる。しかし、全国的にはまだまだ鉄道網が不足していて、帰省ラッシュですら満足に利用客を目的地に運べない現象が毎年のように発生している。広州駅では混雑にもみくちゃにされ、女性が亡くなっている事故も発生している。 

中国ではまだまだ鉄道への依存度が低い。2007年度の春節の帰省ラッシュを分析すると、鉄道を利用した人はたったの7%で、91%が長距離バスを利用しての移動となっている。航空便に至っては1%にも満たない。そのため、中国政府は第十一5カ年計画で、鉄道の発展に力をいれることを明白にしている。計画では、2010年までに中国国内の鉄道総延長を9万qにすることになっている。(ちなみに日本の2005年度の鉄道総延長が2万7千qほどだ。)すなわち、1年間で計算すると、平均3000キロ建設しなくてはならないことになる。

上海鉄路局エリアでもこれから10本の新線が建設される計画で、鉄道建設ラッシュがこれから始まる。物流の大部分をトラックに頼っている中国にとっては、地球環境の保護の観点からも鉄道の普及は欠かせない。 

●長江デルタエリアに新たに建設される6路線

無錫駅 

 2006年度にもここで中国の鉄道ネットワーク高速化構想について解説した。しかし、ここにきて、さらに具体化したものとなっている。まず上海鉄路局管内で、2008年度には下記の6路線が着工されることになった。 

路線名

区間

備考

京滬高速鉄道

北京南〜上海虹橋空港

全長1318キロ、総投資額1680億元。上海虹橋駅、南京南駅開発プロジェクト

滬寧城際鉄道

上海〜南京

全長296キロ、総投資額422億元

滬杭甬客運専線

上海〜杭州〜寧波

杭州〜寧波は154キロ・総投資額187億元、上海〜杭州は160キロ・総投資額200億元、

寧杭客運専線

杭州〜南京

全長252キロ、総投資額242億元

合蚌客運専線

合肥〜蚌埠

全長132キロ、総投資額109億元

寧安城際鉄道

安慶〜南京

全長257キロ、総投資額167億元

  いずれも、時速300キロ対応の高規格路線で、16両編成の列車が疾走する。現在の鉄道路線が時速250キロ対応で、かつ一般車両・貨物列車との混在であることを考えると、新線建設でスピードアップは劇的になることだろう。そのほか、高速鉄道とあわせて、在来線の建設も行われることが決まった。上海と江蘇省南通を結ぶ滬通線、安徽省阜陽と六安を結ぶ阜六線、江蘇省海安と洋口を結ぶ海洋線など4路線だ。いずれも現在は自動車による輸送に頼っており、それでいて交通量が多いエリアだった。 

●上海の玄関口、上海駅・上海南駅・上海虹橋駅

上海駅南広場 

 現在、上海から蘇州・昆山あたりはCRH型新幹線を利用すれば、通勤圏内に入っており、実際通勤している中国人も増えてきている。ちなみに、現段階で上海〜蘇州間は30分、上海〜昆山間は18分、上海南〜杭州間は1時間18分で結ばれている。この恩恵は大きく、上海から出張するタイムロスを大幅に削減してくれた。さらに、日本の新幹線同様の快適な車輌も移動する者にとっては嬉しい。

 2008年度の上海市のプロジェクトの中に、上海の玄関口、上海駅北広場の大改造が入っている。今まで、上海駅北広場は、旧市街地が広がっていて、治安もあまりよくなく、上海市政府の悩みの種になっていた。これを2010年までに徹底改造し、上海駅の現在の南広場よりも近代的な駅広場が完成する。さらに、CRH型新幹線対応のプラットホームの建設・改造も行われ、中近距離列車が利用しやすい環境を整備する。 

 上海南駅は、すでに上海から中国南方エリアへ向けた玄関口として整備が行われたが、これからの大きな目玉として注目されるのが上海虹橋駅の建設だ。ここからは、南京・杭州・南通・湖州・張家港など各方面のほかに、リニア線と10路線の鉄道が集り、上海から長江デルタエリアを結ぶ高速鉄道、さらに上海と北京を結ぶ高速鉄道の巨大ターミナルとなる。

上海南駅

 上海市エリア内でも、中心部と郊外を結ぶ路線に鉄道が利用される。2008年度のプロジェクトとして、上海〜金山(約58キロ)を結ぶ路線が建設される。現在、単線の路線があるが、これが複線化され時速140キロで列車が走る。この結果、上海から金山まで半時間で結ばれる。金山といえば、上海市でも有数の石油コンビナートがあるエリアで、工業地帯として急速に発達しているところだ。 

 2008年度、上海鉄路局はあわせて200億元の投資を行って、管内鉄道の整備を進める。前年比25%増の大幅増加だ。中国は国土が広いだけに、有効的な交通網建設は、エネルギー節約にも大きく貢献し、地球環境保護には欠かせない。鉄道に関していえば、変化の大きな2008年となりそうだ。(以上)


 

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