経済トピックス【2007年12月】

 

 

軽油が足りない?!上海のスタンドにも行列が

ガソリンスタンドに行列を作るトラック(上海にて)

 中国では、いま全国的に軽油の供給が逼迫している。上海のガソリンスタンドをみても、一部では朝から長い列ができており、トラック運転手に限らず、運輸・物流関係では非常に大きな問題になりつつある。 

●低く抑えられているガソリン・軽油価格 

 日本でもガソリン・軽油・灯油の価格が上昇し、人々の生活にも大きな影響を及び始めているが。世界的な原油高の影響を受けて、中国でも度々値上げが行われた。最近の2007111日の価格改定では、軽油価格は1リットルあたり512元(約77円)であるが、ガソリンに関しては、各ランクともに10%前後の上昇となっている。中国国家発展と改革委員会では、今回の値上げが中国の消費者物価指数に及ぼす影響は、005%程度の上昇と見ているが、石油会社各社に対して、安定した石油製品の供給を繰り返し求めている。 

 

値上げ前

値上げ後

90号ガソリン

430/リットル

4.77/リットル

93号ガソリン

476/リットル

5.19/リットル

97号ガソリン

5.05/リットル

5.51/リットル

0号軽油

5.12/リットル

5.12/リットル

  ただ、マイカーブームが相変わらず続く上海で、ガソリンの値上げと軽油の供給不足が市民生活に影響を与え始めていることは、注意する必要がある。とくに軽油の供給不足が与える影響は大きい。上海のような大都市では、消費物の供給は地方からの物流に大きく頼っている。そこで、中国石化・中国石油・中海油など石油製品を上海に供給する各社は、市内600カ所のガソリンスタンドに対して、重点的に石油製品の供給を行っている。いずれも、大部分は海外から輸入してきた軽油で、1トンあたり7000元ほどの価格がついていると言われている。これは、国内で通常に供給されている軽油価格の1トンあたり6000元前後と比較しても、非常に値段が高いことが分かる。

それに対して、消費者に売られる軽油価格の変動はそれほど大きくないため、石油メーカーからすれば利益が出ない、もしくは赤字となりかねない事態になっている。一方で、政府中央も冬場の軽油燃料消費量増大に対して、石油各社に増産を申し入れているようだが、北京・上海・広州など大都市ならともかく、全国的にまだ十分に追いついているという状態ではない。

例えば、浙江省から上海に輸送されてくる柑橘類も、産地での軽油不足で、農作物が輸送できない事態が発生している。ミカンの有数の産地である浙江省金華では、すでに軽油の量制限と供給時間制限が行われていて、大型車は1200元までというようなスタンドも多い。その結果、ガソリンスタンドには燃料が無くなったトラックの行列が続き、輸送コストのほかにも輸送時間にも大きな影響を及ぼし始めている。 

●軽油泥棒も頻発 

 時間が勝負のトラック運転手にとって、新たな問題も発生している。それが、長距離トラックを狙った夜間の燃料泥棒である。上海市でも、200711月あたりから郊外の金山区や宝山区、浦東新区などを中心にトラックの燃料タンクを狙った軽油泥棒が多数発生して、公安部も取り締まりを強化している。

 泥棒の手口は、トラックの燃料タンクにポンプをつっこみ、燃料を吸い出して、ガソリンスタンドに並んでいる車に売りさばくというものだ。犯罪は組織的に行われている場合もあり、早ければ2分ほどで軽油をタンクから吸い出してしまうという。公安部門では、トラックの燃料タンクには施錠をしっかりとし、さらに人通りの少ないところでは仮眠や停車をしないように呼びかけている。 

2008年も楽観できない厳しい状況 

 今回の軽油不足は、季節的な要素も大きいと見られている。冬場で暖房などにも燃料需要が増大しているほかに、渇水期の中国では、発電用の需要も大きい。元旦や春節前後は、企業も休むところが多いため、供給に余裕が生まれると予想されているものの、3月ごろになると農繁期になるため、燃料需要が再び逼迫するのは確実視されている。これをうけて、ガソリンスタンドの売り惜しみや値段つり上げ現象も中国各地で見られるようになっており、政府も取り締まりに力を入れている。11月に入って、不当な値段で軽油を販売していた四川省・貴州省・陜西省などのガソリンスタンドが、マスコミに暴露されている。また、上海市でもガソリンスタンドにブラックボックスを設置して、スタンドの計量が正確に行われているか絶えずチェックする装置の導入も進めている。

いずれにしろ、原油価格の高騰が続くなか、石油製品の中国国内と海外との内外価格差が開けば開くほど、問題は深刻化する可能性が大きい。舵取りを失敗すると、中国の物価全体に及ぼす影響も大きく、社会的な不安材料となる可能性も否定できない。(以上)


 

[BACK]

dabanshi@osakacity-sh.com
Copyright 2007 Osaka City