経済トピックス【2007年11月】

 

 

2007年末、上海の地下鉄ネットワークが一気に拡大

 

南京の地下鉄

 上海市民にとって、地下鉄は今や生活に欠かせない乗り物にまで役割を増している。最近では、市内の道路の渋滞が著しく、ラッシュ時間帯などは地下鉄の混雑を我慢すれば、時間的には圧倒的に地下鉄が優位となっている。上海の現在の地下鉄の分布は、1号線、2号線、3号線、4号線、5号線の5路線となっている。このうち、とくに大動脈となっているのは、浦西を南北に結ぶ1号線、浦西と浦東を東西に結ぶ2号線で、いずれもビジネスエリア、商業エリア、住宅エリアを貫き、市民の通勤・通学に欠かせない路線だ。 

●総延長236キロのネットワークに 

そして、200712月には新たに4号線の環状化と、1号線の北部延長線、さらに浦東を南北に結ぶ6号線、楊浦区と浦東新区を結ぶ8号線、松江区と市中心部を結ぶ9号線が開通する。新規開業する駅は68カ所、総延長にして96キロの区間に、新たに列車が走る。

今回の新規開業にともない、人民広場駅では1号線、2号線、8号線、世紀大道駅では2号線、4号線、6号線と3路線の乗り換えが可能になるなど、地下鉄のネットワーク化が一気に進むことになる。

この結果、上海地下鉄は現在の5路線から、一気に8路線に増え、総延長236キロ、駅数163カ所の巨大ネットワークとなる。とくに、4号線の全線開通は、2号線の陸家嘴-南京東路間の混雑解消に寄与するだけでなく、上海をぐるりと環状するために、新たな人の流れを形成する可能性が高い。また、8号線の開通で、今まで非常に行きにくかった五角場など楊浦区の主要エリアと市中心部が一気に結ばれる。大学が多数集る松江大学城も、地下鉄9号線の開通で市中心部とつながり、今までシャトルバスを利用するなど不便を強いられていた大学生や、郊外の松江区の発展に大きく寄与する。さらに、浦東新区の北の端にあった、外高橋保税区は6号線の開通により、世紀大道乗り換えでアクセスが非常に便利になった。

このように、今年年末の地下鉄新規開業で、上海市全体の街の発展形式が、大きく変化する可能性が非常に高く、新たな商業エリアや住宅エリアが続々と登場するものとみられる。すでに、地下鉄沿線の住宅エリアでは、人気が急上昇しているのも納得できる。 

●国産化が進められている地下鉄車両 

 ドイツのシーメンス社などからの輸入に頼っていた上海の地下鉄車両だが、ここにきて一気に国産化を進めている。上海地下鉄では、今後路線にあわせて車体幅が3メートルあるA型列車、2.72.8メートルのB型車両、さらに小型の2.6メートルクラスのC型車両の3種類が設定されている。特に、A型の大型車両に関しては、技術的な困難も多く、上海の場合は、ドイツのシーメンスやフランスのアルストム、カナダのボルバルディアなどの独壇場となっていた。全世界でもこれら三社が鉄道車両のシェアの50%を占めていると言われており、上海の地下鉄ではこの三社すべての車両が走っている。

 このうち、シーメンスは株洲電力機車有限公司と、長春軌道客車公司はボルバルディアと、上海電気はアルストムとそれぞれ合資会社をつくって、中国で車両を生産していた。しかし、駆動部分など核心技術は、相変わらず外国企業の手の中にあり、製造コストの削減が非常に難しかった。こういった現状に対して、主要路線で使われるA型の大型列車に関しては、国家発展開発委員会からのお墨付きもあり、最優先に国産製造が行われるように研究が行われた。

現在、すでに上海電気からA型の国産地下鉄電車が登場しており、順調にいけば2010年にも量産車が走り出す見込みだ。ちなみにモデル車両は、2007年に上海で開催された中国工業博覧会にお目見えしている。

 中国で現在地下鉄が開通している都市は、上海・北京・天津・重慶・広州・長春・大連・武漢・深セン・南京など10の都市にのぼる。2020年には中国全土の地下鉄のネットワークは3000キロに達する見込みで、中国は世界的にも急速に成長する鉄道車両の市場となるのは間違いない。

中国国家発展改革委員会の予測では、第十一5カ年計画期間中、中国全国の地下鉄車両の需要は50006000両に達し、少なく見積もっても2000億元規模の市場になると見込んでいる。こうした背景からも、中国の国産地下鉄列車の研究開発が急がれているし、上海も製造基地として重要な役割を担っている。 

●人々の生活を変えた地下鉄 

 上海地下鉄1号線が開通したのは1990年代の初め。それこそ、10年ほど前までは、上海人の間では、職場の近くに家を構えて、自転車や徒歩で通勤するというのが極めて当たり前だった。職場から距離が遠ければ、路線バスを使うことになるが、速度は非常に遅く、混雑も激しいため、まさに苦行のような通勤風景が多く見られた。その当時、物価水準からみると、地下鉄といえば所得の高い人たちが乗るちょっと贅沢な乗り物でもあり、これを毎日使って通勤するなど思いもよらなかったのだった。ところが、いまや地下鉄なしでは市民の生活は成り立たない。この地下鉄のネットワークこそ、上海の社会の変化を象徴するような乗り物なのかもしれない。(以上)


 

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