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経済トピックス【2007年10月】
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物権法、2007年10月1日より施行される
社会主義の国、中国では土地には使用権があり、日本のように個人が所有することができない。住宅の場合、一般に使用権が70年と定められているが、70年後どうなるは長い間答えが出されていなかった。しかしそんな問題に答えを出す法律『物権法』が、ついに10月1日より実施された。まだまだ問題点は多いようだが、一つの法律ができたことは大きな前進といえよう。 ●個人の財産を保障 社会主義国の中国にとって、個人財産の保護の問題は、市民の間でも一つの焦点でもある。生活が豊かになり、中国建国当初と比べると、個人財産も年々増加し、財産に対する意識も高まっている。 この物権法では、国有財産同様に個人財産も保護されると明確に明記されている。これは中国にとってはかなり画期的なことだった。 そもそも物権法は、1993年より起草が始まっていて、2002年11月の党大会では個人財産を保護する法律制度の必要性が提起されていた。そして、2004年3月の第10期全人大の第3回会議で憲法改正が行われ、「公民の合法的な財産は侵犯されない」ことが明記されている。その後、度重なる公聴会や審議を経て、2007年3月16日の第10期全人大第5回会議で物権法が可決された。この法律は2889人の全人代代表のうち、2799人賛成の高い得票率で可決されたところからも、関心の高さが伺える。 土地の使用権の問題に関しては、住民の住宅地の所有権が70年を超えた場合、引き続きその土地を使えることを明記しているほか、農民の農地使用権に関しても、同様に引き続き継続して使えるとした。中国の人口の大部分を占め、社会的弱者とされる農民たちの土地の使用を保障したことには大きな意義ある。 その一方で、国有財産の保護についても、一歩踏み込んでいる。すなわち、国が所有するすべての財産は法律によって保護され、いかなる企業、個人によって占有されることは禁止されている。最近問題となっている国有企業の財産の流出問題に関しても、企業の改革・再編・合併において、いかなる方法でも国家に損失を与えてはならず、法律的責任を負わなければならないと明記された。 そのほか、人々の生活に関わる問題にも大きな進歩があった。上海では高層建築が増えるに従って、日照権の問題もいわれるようになってきた。こういった場合、これまでは『中華人民共和国民法通則』で処理され、具体的な法的根拠に欠けることが多かった。しかし、物権法により、建築構造物が国の定める法律基準を違反してはならないとし、隣り合う建築物の日照権や通風を確保しなければならなくなった。こうした基準がより明確化されたことにより、裁判での法的根拠が増えたことになる。 ●物権法の抱える問題点 ただ、細かい点に関してはまだまだ問題が多い。例えば、昨今問題になっている開発による立ち退きの問題は、市民にとっては非常に現実的な話だ。重慶で起った、立ち退き拒否した住民が最後まで抵抗した事件は有名だが、こうした事件が物権法で直ちに解決するかといえば、そう簡単でも無いようだ。すなわち、公共の利益のための強制撤去の場合、どこまでが公共の利益かまだ法律で明確に示されていないからだ。 さらに、住民とデベロッパーの間で多数発生している問題の中で、マンション内の公共エリアについてのものがある。例えば集会所などの施設が、誰に帰属するのか問題になる可能性もある。物権法では、一応集会所などの施設は、マンション所有者の公共のものとしているが、例えば住宅敷地内にあるゴルフ場やテニスコートなどが誰ものになるのか、判断が微妙となるケースも多いという。 もっと意見が分かれるのは、マンションの駐車場の問題だろう。マイカーが増えている昨今の中国では、慢性的な駐車場不足が深刻化している。物権法では、マンション敷地内の共用道路やその他の地上の駐車場設備はマンション所有者共有のものであるとしている。そのため、地下駐車場などマンション所有者用に作られた駐車場以外は、売買できないことになる。しかし、実際にはすでに販売されてしまった駐車場もあり、現実に則さないケースも多く見られる。さらに、すでに駐車場をマンション所有者以外に転売したり、貸したりしてしまっているケースもあり、今のところ物権法では細かい取り決めがない。 中国の他の法律でよくあるように、この物権法の司法解釈はまだ出されていない。最高人民法院がすでに司法解釈の準備を行っていると言われているが、その具体的な日程については、まだアナウンスはない。 国慶節の連休明けの10月8日以降、裁判所には物権法に関わる大量の訴訟が行われる可能性も高く、法律がきちんと運用されるまでには、もう少し時間が必要かもしれない。(以上) |