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経済トピックス【2007年9月】
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物価高に苦悩する上海市民
中国の7月の消費者物価指数(CPI)が1997年2月以来最高の5.6%を記録し、インフレに対する懸念も出始めている。特に、食料品の上昇が著しく15.4%を記録した。これら食料品の高騰がCPIに与える影響が大きかった。 食料品の品目でみると、家禽類の上昇が最も大きく、45.2%となったほか、卵類が30.6%、野菜類が18.7%、水産物が5.4%、穀物が6%の上昇となった。唯一値下がりしたのが果物で、-12.2%となっている。夏場は、野菜類の収穫時期となるため例年値下がりする中で、今年は逆に上昇に転じた。これは主に6月〜7月に多発した洪水・干ばつの影響とみられている。
過去にみる中国のインフレ
改革開放政策以降、中国では過去にも3回にわたって大きなインフレが発生している。 1回目は1979年〜1980年に発生している。財政赤字が170億元に達し、この財政赤字を埋めるために130億元もの通貨を発行、CIPが一気に6%上昇した。このときは、緊縮財政と物価統制で乗り切った。 2回目のインフレは、1986年〜1988年にかけての時期だ。この時期、商品価格の規制緩和が徐々に進むようになる。一方で、古い経済体質と新しい経済改革との間で矛盾が発生した。 1987年の通貨供給量は一気に1454億元に達し、1983年と比較すると174%の増加となった。インフラ建設などに大量の資金が流れ込み、銀行も地方の郷鎮企業に対して融資を積極的に行った。折しも、給与制度改革が行われた時期でもあり、通貨への需要が一気に高まった。その結果、中央銀行も第4版の人民元を発行して、通貨の額面を引き上げるなどの対策を採った。さらに、1988年には、上海市が率先して市民に必要な商品280品目に対して価格上昇政策を行い、他の都市もこれに追随した。その結果、物価が平均で30%引き上がった。中には、家電やオートバイなど80%も引き上げられた商品もあった。1988年のCPIは新中国建国以来最大の18.5%の上昇となった。 1992年〜1994年にかけては3回目のインフレが発生している。市場経済が浸透するに従って、従来の配給制度を徐々に廃止した。計画経済時代の国が定めた統一価格から、今度は需要とコストの関係から新しい価格がつけられるようになった。値上がる物価に対しては、政府の補助もあって、給与が大幅に引き上げられた。また、企業は設備投資に力を入れ、銀行も融資を積極的に行った。地方政府も開発区の開発を促進したが、今度は開発が過剰となり、経済が過熱気味となる。生産価格も上昇し、架空や虚偽の開発プロジェクトが増えた。企業は経営を維持するためにいわゆる「三角債」の発行を増やした。その結果、市場への通貨供給量が増え、1994年のインフレ率は21.7%に達した。また、CIPも14.8%の上昇となった。 食料品の中でも豚肉の上昇が著しく 今回のCIP上昇に大きく影響をもたらしたのが食料品の高騰だが、とくに中国人が最もよく食べる動物性タンパク質といっても過言ではない豚肉が、相変わらず空前の上昇を続けている。中央銀行が発表した数値でも、去年の7月と比較して、新鮮ブタ肉の価格が85.2%、冷凍ブタでも89.2%の上昇となった。前月と比較しても、新鮮ブタ肉の価格は11.5%上昇している。これは、市民の生活に直接打撃を与えている。飼料となるトウモロコシの高騰、ブタの伝染病の発生、ブタ養殖業者の減少が直接ブタ肉に影響を与えているという分析もあるが、豚肉生産量減少に伴い、需要が逼迫しているのは事実だ。ブタの流通においても、この流通量の不足が直接流通業者のコストに跳ね返っている。 中国国務院も8月13日に、市民への肉の供給が滞れば、地方政府の責任も問うと厳しい姿勢を打ち出している。中国ではこれから、中秋節・国慶節とイベントが続くため、市民への肉などの副食品の安定供給は最重要課題となっている。豚肉の上昇が、ファーストフードや外食産業の値上げに直接的な影響をもたらしていることは、以前にもここで紹介した。 市民の9割が生活に影響 8月16日に中国青年報社会調査センターが行った14267人を対象とした調査でも、94.2%が物価上昇により生活がすでに影響を受けていると答えている。特に、飲食に関しては79.3%の人が、飲食の質を落とさずにはいられないとしている。さらに、今後の見通しについても、75.1%が2007年末まで物価は上昇し続けるとし、物価が下落すると答えた人はたった3.1%しかいなかった。市民の多くは、物価に関してはかなり悲観的のようだ。 例えば、中華料理でよく使われるブタのバラ肉。2006年の上海では500グラム7元〜8元で購入できたのが、今では18元以上している。食べ物以外でも、たとえば上海市内で売られている衣類も値上げがつづき、決して安くない。特に、百貨店などで売られているカッターシャツなどでも150〜200元以上するものがほとんどだ。ブランド物の値上げも大きく、去年と比較すると10%〜50%値上がりしているものもある。品質やデザインを考慮すれば、むしろ日本で買った方が安いぐらいの物も少なくない。また、マンションの家賃も今年に入って上昇した。特に、市中心部の物件が値上がりしていて、不動産関係者によると去年と比較して10%〜15%の値上がりとなっている。さらに、この家賃の値上がり傾向が郊外にも波及しだしているため、地方から上海で暮らしている人にとって、家賃の問題は非常に深刻だ。 これに対して、一部の高所得者を除けば、一般市民の所得は伸びていない。むしろ減っているところもあり、一般従業員と企業幹部との所得格差がますます開いている。また、一度贅沢を覚えてしまった人たちにとって、生活レベルを落としてまで節約できないという現実がある。そのため、貯蓄を崩してまで今の生活を維持しようとしている人が少なくない。さらに、追い打ちをかけるように住宅ローンの利子も値上がりした。2006年・2007年と結婚ブームがつづき、新築マンションを買った若い世代にとっては、出費が止まらない。 政府も物価の動向にはかなり注意を払っている。8月には新たな利上げも行われたばかりだが、これ以上物価があがると、とくに低所得者層への影響は大きい。今後、新たな施策がどのようにでるか注目される。(以上) |