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ますます近くなる寧波と上海
〜長江デルタエリアのネットワーク化が進む〜
6月26日、海上大橋としては世界最長の規模を誇る「杭州湾跨海大橋」が貫通した。橋の全長は36キロ、上下線あわせて6車線で、総投資額140億人民元の巨大プロジェクトだ。これから
全線開通に向けて、工事が急ピッチで進む。この杭州湾跨海大橋は、嘉興海塩〜寧波慈渓間で結ばれ、今まで交通の便があまり便利ではなかった寧波エリアの経済圏が、上海などと一気に近づくことになる。
そもそも、寧波から上海に出るには、杭州湾沿いにぐるりと杭州を経由する必要があった。高速道路で結ばれているとはいえ、その距離は304キロになり、3時間は十分に必要だった。それが、杭州湾跨海大橋が開通すると、距離は179キロとなり、2時間台で上海と寧波が結ばれることになる。そのほか、この橋を経由することにより、今まで交通アクセスなどに問題のあった浙江省東南部の経済の中心都市である温州や台州とのつながりも密なることが期待されている。
このことは、貨物輸送のコスト軽減に大きな役割を果たすことになる。試算では、橋が開通したあとの20年間で、輸送コストが410億人民元削減され、また人の移動時間の短縮に伴う経済効果が65億人民元になるという。さらに、高速道路などでの交通事故が減り、45億元の損失を防ぐことができ、以上を合計すると杭州湾跨海大橋の経済効果は520億元に達するという。
●長江デルタエリアのZ型発展から、ネットワーク型発展に
浙江大学区域与城市経済センターの陳建軍主任は、上海のメディアに対して、現在の長江デルタエリアの発展は、南京・上海・杭州・寧波を中心とした、Z字型の発展をしているとコメントしている。すなわち、上記4カ所の中心都市を点として、それを軸で結んだ形式だ。これに対して、杭州湾跨海大橋が完成すれば、今まであまり考えられなかった上海と寧波のつながりが強くなり、新しい形の経済の発展が見込まれている。
杭州湾跨海大橋が通る寧波慈渓では、早くも橋開通を目指した経済的活動が活発になっている。慈渓市上海商会のデータによると、これまでに年間売り上げが500万元以上の企業が3000社ほどあるが、そのうち半数が、大橋の建設後に設立されたものであり、橋に対する期待が大きいことがわかる。その結果、2006年に170億人民元だった慈渓市杭州湾新区の工業生産値は、2011年には800億人民元になるという予想も発表されている。
また、杭州から南京を結ぶ高速鉄道計画も始まっている。2007年6月には中国鉄道部がプロジェクト実現に向けて鑑定会議を行ったばかりだ。杭州方面から鉄道で南京にでるには、幹線ルートを使う場合は上海経由を余儀なくされており、ネットワークの拡充が求められていた。
●杭州湾にかかる3つの橋の計画
この杭州湾跨海大橋以外にも、杭州湾にはさらに2つの橋の計画がある。それが嘉紹ルートと䔥山ルートだ。橋の長さからすれば、杭州湾跨海大橋よりもずっと短く済み、計画も杭州湾跨海大橋と同じく2003年を前後して行われていた。このうち、もっとも橋の長さが短く済む䔥山ルートは、全国的に有名な杭州銭江の逆流現象に影響を与える可能性があるとして、自然保護の観点からストップがかかった。紹興を結ぶ嘉紹ルートは、実現の可能性が高いと言われていて、すでに2005年に建設建議書が国務院発展開発委員会の批准を受けている。関係者はなんとか2007年度中の着工を目指しているようだが、実際にところ迷走しているのが現実だ。䔥山ルートに関しては、最近トンネル計画に変更しようという動きも出ているが、まだ結論は出ていない。
これら3つの橋は、浙江省の杭州湾エリアと上海や江蘇省エリアとの経済交流を抜本的に解決する方法として、各地方政府は実現に期待を寄せている。嘉紹ルートに力を入れている紹興市は、橋の建設に産業の未来の行方をゆだねているといっても過言ではないようだ。紹興市は伝統的に、紡績業が盛んであったが、最近の競争の激化でその優位性が失われつつあり、地盤沈下が指摘されはじめている。そこで、交通網の改善がもたらす経済効果に期待が大きい。嘉興にしても、大橋の建設で、長江デルタエリアの交通中枢としての地位をねらっている。
●杭州の産業はどうなる?
これまで浙江省の物流は、その多くが杭州経由を余儀なくされ、その地の利から大きく発展してきた杭州も、杭州湾跨海大橋の完成でうかうかしてられなくなった。さらに、寧波や紹興を結ぶ橋が完成すると、杭州の経済的地位が一気におちるのではないかという危惧もあるぐらいだ。確かに杭州の地場産業にとっては脅威となるには変わらない。浙江省発展与改革研究所の卓勇良所長は、杭州湾跨海大橋による流通経路の変化が、杭州の産業形態の整理を促し、杭州に新しいハイテク産業やサービス業を発展させる好機とみている。
上海を中心に拡大してきた長江デルタエリアだが、昨今のCRH型新幹線の導入や、交通道路網の整備、そして今回の橋の貫通にともない、浙江省と上海・江蘇省のつながりがますます密になるのは確実だ。一方で、上海の北部に位置する長江にも、上海市崇明島を経由して江蘇省へ抜けるルート、南通へ抜けるルートの建設が急ピッチで進められており、長江デルタエリアが名実ともに一体化するのは時間の問題だ。これからの長江デルタエリアの発展を見据える際に、都市部の「点」以外にも、今までなかった交通網の急ピッチな整備に伴う「面」での発展展望を十分に研究する必要がある。(以上) |