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経済トピックス【2007年6月】
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豚肉の高騰が市民生活を脅かし始める
中国で食料品の価格が上昇し始めている。そのうち、中国人の日常生活に欠かせない豚肉の上昇がここ数ヶ月で著しく、この価格動向が市民の関心事をなっている。そもそも、上海市は豚肉の消費量の三分の二を上海近郊の地方からの供給に頼っており、値段の変動には比較的敏感といえよう。 中国全国的にも、豚肉価格が1996年以降最高値を更新し、鶏卵も2004年以降の最高値をつけている。政府が発表した全国286カ所の卸売市場の統計によれば、豚肉価格で2006年5月期と比較して69.5%、鶏卵価格で、53.7%の上昇となった。 5月24日は、温家宝総理も陜西省の市場を視察し、豚肉の安定供給と価格の管理に目を光らせ、社会の安定に力を入れる姿勢を表明している。また商務部も、価格高騰を抑止するために、必要時には国が貯蓄している豚肉の供給もあり得るとした。 それでも、市民の反応は敏感で、たとえば広州のあるチェーンスーパーでは豚肉の安売りセールに市民が数百メートルの行列を作って並んだという状況が報道されており、事態の打開にはもう少し時間がかかりそうな様相だ。
(上海市農副食品監測中心のデータによる) ●様々な問題が畜産農家を直撃 今回の豚肉や鶏卵の高騰の原因は何か?実は2006年上半期までは豚肉の値段は下落し続けていた。特に、2006年5月頃は深刻で、1キロあたり5.96元と生産業者にとっては赤字覚悟の状態だった。また、同じ頃に中国の養豚場では伝染病が流行し、死亡率が上昇した。結果的に、養豚業者が廃業し、絶対数が減ったということも考えられている。加えて、利益の出ない農業を嫌って、農村部では若者がどんどん都市部に出てきている。そのため、養豚業者では高齢化に伴う後継者不足、安徽省など上海向けの豚の供給源だったエリアでさえ、豚の買い付けに影響が出始めているという。 さらに、日本でも問題になっているバイオエタノール生産にともなう、トウモロコシなど穀物の上昇も中国で影響している。2007年5月の1キロあたりのトウモロコシの価格は1.55元となり、昨年同期と比較して16%の上昇、これにより豚1匹を育てるためのコストが40〜50元上昇したとみられている。さらに、鶏卵の場合は、温暖化による気温上昇で、産卵率が減少し、飼料価格の上昇とともにダブルパンチとなっている。 そして、忘れてはならないのが都市部市民を中心に所得が増加し、豚肉を消費する量が増えたという点だ。政府の統計では、2007年1月〜4月までの農村での豚肉消費量は前年比同期の15.1%の増加、北京市の豚肉消費量も10%増加している。 ●「小吃」飲食店も値上げへ 豚肉を多用する中華料理だけに、豚肉の高騰がもたらす影響は大きい。ショーロンポーや、肉まんなど「小吃」で価格を上げる飲食店や値上げを検討している店がすでに出始めている。上海のある老舗飲食店では、すでに肉粽の値段を1個2.5元から2.8元に、野菜饅頭の値段も1個1元から1.2元に、豚の角煮の値段を1皿28元から32元に値上げを行っている。特に薄利多売している小規模な飲食店での値上げが多くみられる。また、値段を上げることに難色を示している飲食店では、肉の量を減らすなど質的な変化を行っているところも出始めた。さらに、メニュー自体に、豚肉料理の比率を減らすなどあの手この手の影響が見られるようになった。 ●豚肉から魚介類へのシフト 豚肉の高騰は、連鎖反応的に牛肉・羊肉・水産物の値段上昇も招いており、政府も価格の変化に神経をとがらせている。また、上海市民も、豚肉から魚介類へシフトする動きも出始めていることが報道され始めた。筆者が自由市場などを観察していても、すでに水産物コーナーがいつもにない賑わいを見せていることがわかる。これまで、どちらかと言えば、豚肉一辺倒だった上海市民の食卓も、今回の騒動で変化が出始めているのは確かなようだ。 これから、夏を迎えるのにあたって、例年の傾向では豚肉など肉類の消費量が減少し、もう少しすれば野菜類の出荷が増えることが期待されており、価格も幾分落ち着くものとみられている。ただ、中国の専門家の論評を見ても、今後、大きく値段が下がることはないというのが一般的だ。 日本のように自給率が低ければ、こういった近隣諸国の影響を直接的に受ける可能性も大きい。昨今、中国の農村の労働力減少、農業生産する自然環境の悪化はだれがみても明らかな状況になっている。これに加えて、中国人の食生活が水産物にシフトし出せれば、今度は各国の水産物獲得競争が激化することも間違いない。爆発的に消費が拡大している中国の動向は注視しておく必要がある一方、日本も高齢化が進む農業を立て直して、自給率を引き上げる努力を怠ってはならない。お金があってもモノがない、そういう時代が来る可能性も十分にある。(以上) |