経済トピックス【2007年3月】

 

                2007年の春節経済

上海豫園にて

 2007年の春節の1週間の連休がおわり、故郷に帰省していた出稼ぎ労働者たちも、また上海に戻り始めている。ただ、地方の習慣もあり、本格的に上海の経済が動き出すのも、新年初15(春節の新年から数えて15日目、2007年は3月4日)の「元宵節」が終わってからとなるだろう。
 毎年、この時期になると連休の消費経済の動向のデータが発表される。総じて、かなり好調だったようだが、一方で上海のタクシーの運転手などの話を総合すると実際ではそうでもなかったような印象も受ける。ここは政府関係機関が発表した数値をもとに見てみようと思う。
 
■ 忘年会経済
 
 春節前後に急増するのが日本の忘年会に相当する「年夜飯」だが、今年もレストランによっては予約がままならないところが出るほど好調だった。筆者もある有名火鍋店へ予約しようと思ったが、なんと半月先まで予約が詰まっているという。この盛況は、外食産業全体の数値でも現れていて、春節期間中の上海市内の外食産業の売り上げは9144万元を記録し、前年比15.4%の増加となった。このうち、上海市内の大手180社あまりの外食企業で行われた忘年会は、1.58万テーブル(1テーブル6人〜10人程度)で、こちらも前年比8.8%の増加となった。テーブルあたりの単価も、前年比7.1%増加の約1500元となっており、春節を見込んだ野菜や肉の値上がりも、市場などでは顕著だった。(上海市発表の数値による)
 一方、上海市水産協会によれば、今年はお土産などに高級水産物を購入する上海人が増えたほか、レストランなどへの水産物の供給も増加し、春節期間中に消費された水産物は、上海市で1日平均4000トンとなった。これは、平時の3倍の量になる。上海人の食卓は確実に豊かになってきており、むしろ浪費問題が心配されつつある。
 
■ 春節の旅行
 
   春節は多くの中国人にとって旅行に出かける格好のチャンスであり、観光地はどこも大変な混雑となった。また、この時期に海外から中国にやってきて、中国の新年を体験しようとする観光客が最近増えている。浦東出入境辺検站がまとめたデータによれば、2月24日の1日だけで、上海にやってきた日本人・韓国人はのべ1万人に達するという。また、上海から海外を目指した人は春節連休の7日間で前年比9%増ののべ36万人に達し、過去最高となった。浦東国際空港を利用する人も、2月22日にのべ3.5万人を記録し、こちらも過去最高となった。
  一方、中国人の国内旅行も相変わらず人気が高く、全国假日弁公室の調査では、中国全土でのべ9220万人が春節期間中に旅行に出かけた。この数は前年比17.7%の増加で、旅行熱の高さをうかがわせる。とくに、目的地としては上海など都市部に人気が集中している。大手旅行サイト「携程旅行ネット」がまとめた春節旅行の目的地人気では、なんと上海がトップにきている。上海在住者からすれば、上海は大都会でほとんど観光地がないというイメージもあるが、地方から来る人からすれば、やはり興味津々なのだろう。その次に北京がきて、杭州、深圳、広州、香港の順となる。
  旅行する人の出発地として最も多かったのが、北京で、上海、広州、深圳の順にならぶ。オリンピックを翌年に控え、北京人の旅行に対する意識も変わりつつあるといえよう。いずれにしろ、北京・上海・広州の人々が中国人で旅行する主力であることにはここ数年変わらない。
 中国人観光客からは人気ナンバーワンの上海だけあって、訪れた観光客の数も当然多く、上海市假日弁公室の発表したデータによれば、春節期間中に上海を訪れた観光客の数は279.92万人で、前年比12%増の過去最高となった。この時期地下鉄に乗ると、慣れない様子で、いかにも地方から来たような観光客をよく見かけるのもこのためだ。


 このように、人々の流動関係では、今年の春節は過去最高の記録を続々と塗り替えている。
 
■春節には市民のサイフも緩む?! 

 上海市市民信箱ネットが、こちらも2月25日に9000人の市民を対象にしたアンケート結果を発表している。この中で、春節期間中の1週間の連休で、上海市民が消費した金額について、1000元以下の市民が13%、1000元〜2000元の間が30%、2000元〜3000元の間が20%、さらに5000元以上使ったという人が11%もいた。お金の使い道については、親戚・友達との食事が最も多く、全体の69%の人がこの用途で使っており、年長者や子供たちに配るお年玉に相当する「紅包」に使った人も66%となった。


 これは、春節休みの過ごし方とも関係があり、上海人の場合、全体の74%の人が「家で休む」と答えた一方、70%の人が「親戚・友人への訪問」としている。ちなみに、親戚を訪問する場合でも、一般に春節の大晦日は夫の実家へ、それから妻の実家へいくのが習慣となっている。ただ、最近ではそういった過ごし方をする人も、若い世代を中心に減りつつあり、伝統的な春節とはいえ時代の変化が出始めている。
 
 上海市内の各大型小売店は、いずれも好調であったようだ。大型家電量販店の永楽家電の場合、7日間の連休の売り上げは3.5億元に達し、そのうち1.1億元が大型薄型テレビで占められた。続いて、デジタル関係が6300万元、携帯電話が7700万元と続く。上海でも液晶テレビやプラズマテレビなど薄型テレビの人気はきわめて高い。(「青年報」調べ)また、上海の百貨店では上海市での売り上げトップを誇っている浦東新区の第一八佰伴で、連休中の1日平均売り上げは900万元に達し、前年比15%の増加となった。南京路、淮海路などの商業エリアでも20%以上の伸びとなっており、消費は相変わらず旺盛だ。
 
 今年の春節も表面的に見る限り、かなり好調だったのは確かなようだ。これを裏付けるかのように、大晦日の爆竹・花火は例年か例年以上の賑わいを見せていた。上海人の家庭の約半分近くが爆竹・花火をあげたというわけだから、その威力はすごい。
 
 その一方で、2006年度に発生した上海市トップが関わる不祥事など、一部職種の人にとっては、今までと同じように新年に浮かれてられないという心理的要素も確かにあったようだ。そういった背景が、冒頭の上海のタクシー運転手のようなちょっと冷めた感覚として出てくるのだろう。(以上)


 

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