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経済トピックス【2006年11月】
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外来人口の流入が続く上海市
最近、上海市郊外の農村エリアの視察に行く機会があった。その中で、強く感じたことが、以前にも増して上海エリア以外からの労働者が急増しているという点だ。確かに、上海の市街地でもその傾向は強く、上海エリアの方言である「上海語」がだんだんと聞かれなくなった。しかし、近郊の農村エリアではその傾向がさらに強く、農村の中小工場で働く姿を多く目撃した。現在、上海市郊外の農村エリアでは、都市開発・工業開発が始まっており、荒涼とした荒地が広がっているところも少なくない。
2005年度の上海の人口のうち、全体の三分の一にあたる581万人が外来人口であるということが発表されている。上海市は19の県・区から構成されているが、そのうち3つの区で、上海戸籍を持っている人より、外来人口のほうが数が多いという逆転現象も生じていている。甚だしいところでは、市内のある鎮(いわゆる町)の人口比率が、上海戸籍者と外来人口の比率で1:5になっており、その外来人口流入のスピードがいかに速いかが分かる。
市内のレストランにでもいけば、その現状をもっと体感できる。1990年半ばぐらいまで、上海のレストランといえば、ほとんど上海人が経営していて、中国語で「服務員」とよばれる店員たちも大抵が上海人、まれに地方出身者がいたぐらいだった。もちろん、地方出身者といっても、上海周辺の浙江省・江蘇省・安徽省・江西省が中心で、上海語を理解し、文化面での共通点も多かった。 それが、2000年以降、これら地域が経済的に発展し、給与の低い飲食店でアルバイトをするような人が減ってきた。変わりに増えてきたのは、いまだ経済の発展が思わしくない湖南省・湖北省さらには雲南省などからの出稼ぎ労働者で、大挙して上海にやってきて飲食業で働いている。 一方で、上海人の若者はというと、大学生を中心にKFCやマクドナルドなど外資系のファーストフードでアルバイトを望む傾向が強い。そのため、たとえば上海の老舗レストランにいっても、店員が上海語を理解できず、上海料理すら分からないという奇妙な現象も発生している。高級ホテルのボーイでさえも、上海人の姿が減ってきて、地方出身者で占められるようになってきた。 企業側にも言い分がある。上海の最低給与の規定が年々上昇し、今年2006年9月にもこれまでの月690元から月750元に上昇したばかりだ。さらに、上海人を雇用すると、社会保障など福利への支出が多くなるため、特に零細企業なら上海人の雇用がより一層困難になる。となると、悪い条件でもとにかく上海で働きたいという地方出身者が格好の対象となるのだ。 ただ、こういった外来人口の急増が、上海に新たな問題を引き起こしている。もちろん、上海のように拡大する高齢化社会を支える作用もあるし、労働力の不足を補ってくれる。しかし都市機能の管理という面では、問題は深刻だ。これら上海に出稼ぎに来る外来人口の多くは公的医療保険もないし、生まれた子供を上海市の公立学校に通わすことも難しい。健康・衛生面でのサポートも、流動人口という特徴からなかなか改善されない。 とくに、人口抑制政策を行っている上海市にとって新たな脅威となっている。すでに結婚して子供を出産できる世代の外来女性人口が82万人おり、これから生まれてくる子供たちの管理が頭痛い問題となっている。今でも、流動人口の出生数は、上海市全体の出生数の33.66%になっており、その数が無視できない規模となった。 上海市では、徐々にこれら流動人口に対する公的なサービスを、上海市民と同じレベルに持っていけるように対策を講じる方針を明らかにしている。これらは、各地区が主導して行われており、例えば浦東新区の「彩虹計画」や宝山区の「女性に関心をもってもらうための奨学金」基金などもそれにあたる。 いまや、外来人口が上海市の市民生活を健全に機能させていくために欠かすことができない存在となり、新たな転換期となっているのは確かだ。(以上) |