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経済トピックス【2006年5月】
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中国都市部で広がるニートの問題 徐家匯地下のゲームセンターに集まる若者たち 働けるのに働こうとせず、親に頼って生活している若者、いわゆるニートが中国で増えている。ニートのことを、中国語では「Ken(口へん+肯)老族」と訳されている。親のスネかじり族といったニュアンスだ。 中国ではあと10年の間に急速に高齢化社会を迎える。その一方で、親からなかなか自立できないでいる若者の問題が社会・経済に与える影響がマスコミなどで話題になっている。さらに、この問題は、上海だけでなく、広州や北京など中国各地の都市部で同様で発生していることは注目に値するだろう。 2005年に上海社会科学院社会学研究所が、上海市のある地区で調査した結果、学生でない未婚の男女のうち、85%が父母に生活費の一部やすべてを援助してもらっていることが明らかになっている。また、広東省でも広東省社会和労働保障廳がまとめた2004年の第3季の統計では、広東省都市部で新たに失業した青年の数は13.65万人になるほか、就業できる年齢なのに就業できていない人のうち、16歳〜30歳の世代の人は50.15万人となり、全体の84%を占めることが公表されている。中国老齢科研中心の調査でも、約30%の青年で生活を何らかの形で父母に頼っているという実態が明らかにされている。 日本と状況が異なるのは、親の世代が豊かでなく、少ない退職金で生計を立てているような場合でも、自立できない若者を抱えているケースが少なくない点だ。たとえば、天津の心理学者たちが2005年に行った50歳から60歳までの中高年200人を対象とした調査では、実に15%の人が仕事についていない子供が家庭にいることに対して精神的な負担を感じており、そのために親自らがお金を稼ぐために職を転々としている現状も明らかになっている。 なぜ、中国の都市部でニートが急速に増えてきたか?これにはさまざまな原因が考えられている。最近の都市部の一部の若者に、職業的技能が低いだけでなく、責任感がない、競争を怖がる、勤勉意識が低いなどの問題点が指摘されているが、やはり一人っ子としてあまりにも大切に育てられてきたことに関係が深いとする中国の専門家は多い。
中国でよく取り上げられるケースを分析してみると、中国全国的に都市部での就職難が続くなかで、学歴が高くなく、技術を持たない若者が、劣等感を感じて仕事をする気持ちをなくしてしまうケース、さらに家庭の経済状況に恵まれていて、根本的に仕事をしようとも思わないケース、中には父母が子供を養うことが当然だと子供が考えているケースも報告されている。若者自身は会社を興すなどと目標の威勢はいいものの、とりあえず親に頼って生活し、成功すれば親に恩返しをすればよいと思っているケースや、仕事をしている同年代の友人の様子をみて、現実から逃避してしまいたいと思っているケースもある。
これら中国の都市部で急増しているニートの問題に対して、親の教育方法自身に問題があると指摘する専門家が多い。中国では伝統的に子供の教育に対して、体が健康であるか、他人より身長が高いか、衣食住は満ちているか、など外的側面を重視する一方で、人格的や精神的な成長に関しての内的な教育を疎かにしすぎているのではないかといわれている。天津市が2005年度に行った1500人の学生を対象にした調査でも、52%の学生が毎日の学用品や生活用品の整理を親がすると答えているほか、家事を日ごろから良く手伝うという人はたった3%にすぎないとしている。ここからも家庭での「上げ膳据え膳の様子」が垣間見られる。一方で、天津市の児童教育の専門科の研究では、家事を良く手伝う子供のほうが、手伝わない子供より収入が20%以上高いとしている。 上海市人民代表大会、さらに全国人民代表大会でも、すでに各地区の代表者からニートの問題が取り上げられた。この中で、家庭内暴力などのトラブルでニート問題に関わるケースが増加していることが明るみになっている。そこで、政府が一定の予算をつぎ込んで対策を講じるべきだと訴えられている。さらに、各企業が20〜30歳代の雇用問題を緩和・解決できるような制度を早急に作るべきだとしている。 中国でも今まさに若者のニート対策が始まったばかりなのだ。(以上) |