経済トピックス【2006年3月】

 

浦東国際空港 2期工事の目指すもの

浦東国際空港遠景 

浦東国際空港へ向かう高速道路の左手に巨大建築物の白い骨組みが姿を現してきている。これこそが、最近上海で脚光を浴びている浦東国際空港2期工事のターミナルビル建設現場だ。いまあるターミナルよりまだ大きなターミナルが建設されている。 実は、この浦東国際空港の拡張プロジェクトには、北京オリンピックや上海万博以降を見据えた長期計画がある。 

 2005年上海市では海洋運輸の中心として洋山港を開港させた。洋山港の開港は、「国際経済・金融・貿易・航運の中心」を目指す上海にとって非常に大きな戦略的意義があることを以前解説したが、200512月に本格施工がスタートした浦東国際空港2期工事は、中国の航空分野での国家戦略を担う役割が課せられている。

 

 上海は、その中国における地理的条件から、中国の航空便の中枢としての役割が期待されている。また、中国の経済の中心としの役割が高まるにつれて、利用客・貨物取扱量も増加しており、2005年の実績は虹橋空港と浦東国際空港を合わせると、利用者で前年比15.26%増加の4139.16万人、貨物取扱量で前年比13.89%増の220.52万トンとなっている。このような背景の中、中国の三大航空集団である東方航空、中国国際航空、中国南方航空も拡張される浦東国際空港に自社の基地を設置することが決まった。

 

いつも利用客でごったがえしている浦東空港

 しかし中国周辺には、現在すでに国際的競争力があるアジア各国の空港がひしめきあっている。韓国の仁川国際空港、シンガポールのチャンギ空港などはその代表だろう。たとえば、上海からアメリカに飛ぶのにも、ノースウエスト便のように日本の成田空港にいったん降りてから、アメリカに飛ぶ便が多く、上海の存在意義を十分に発揮できていないのが現状だ。 

 そこで、中国民航総局は2020年をめどに、中国の航空便の中心を北京・上海・広州の3箇所にし、国内便だけでなく、国際便に関してもいわゆる「ハブ空港」としての機能を充実させることを明らかにしている。そのために、中国民航総局は上海浦東国際空港の整備に必要な200億人民元のうち、数億人民元を負担しているといわれている。 

 さらに、2006年には運行が開始されると見られる世界最大の旅客機A380-800型航空機に関しても、浦東国際空港ではいち早く対応できるように施設の整備を行うことになった。A380型機は、総2階建て構造のため、スムーズな乗降には特殊な施設が必要だが、新しいターミナルでは、完全に対応できるようになる。 

 また、現在まだ改善の余地が残されている市中心部からのアクセスも、地下鉄2号線の東部延長線の整備、リニアの杭州地区への延長など計画が目白押しとなっている。このように浦東国際空港の整備が、長江デルタ地域に波及する影響は大きい。 

上海の空港整備のための3つの段階■

中国の中心としてだけではなく、国際ハブ空港としての建設を確実なものとするために、上海市では3つの段階を設定して、プロジェクトに取り組んでいる。『推進上海空港枢紐建設行動綱要』によれば、以下のようなスケジュールになっている。

1.  準備段階(2005年〜2007年) まずは、上海市の航空需要に相当する空港設備の充実を図る。各地区へのネットワークを充実させ、旅客だけでなく貨物における国際的地位を高める。虹橋空港と浦東国際空港あわせて年間のべ4900万人、貨物取扱量250万トンを目指す。

2.  上海がハブ空港としての機能を果たす段階(2008年〜2010年) 期間中、北京オリンピック、上海万博など、国際的イベントが目白押しだが、この時期にまず上海がアジアで最大の貨物センターとなることを目指す。浦東国際空港の拡張工事はほぼ完了するほか、虹橋総合交通枢軸構想と虹橋空港拡張プロジェクトも完成し、2つの空港でのべ8400万人、貨物取扱量410万トンを目指す。

3.  ハブ空港としての地位を確立する段階(2011年〜2015年) 2段階目で確立された上海の地位をさらに成熟したものとし、旅客・貨物ともにアジアでトップクラスの空港を目指す。年間輸送量はのべ1億人を想定し、そのうち虹橋空港が3000万人、浦東空港が7000万人、貨物取扱量700万トン以上が目標。

 

出発ロビーの奥に建設現場が見える

 現在、中国にはまだ本格的な国際便の中枢となるようなハブ空港は存在していない。そのため、浦東国際空港の拡張工事にあたって、中国の専門家たちはアムステルダム・パリ・フランクフルトなどの世界各国の巨大空港へ研究視察に行き、管理運営などに関して非常に詳細な報告書を作成している。各国の先例を参考にしながら、浦東国際空港の発展は続く。(以上)

 


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