経済トピックス【2006年2月】

 

排ガス規制に動く上海

 

 

 上海に生活している人々にとって、増え続ける自動車による渋滞と、それがもたらす排ガスの問題は非常に深刻だ。しかし上海市政府も規制により、環境改善に積極的に乗り出している。最近では、200611日のガソリン式の原付自転車の使用禁止、さらにLPG方式や電動式自転車が推進されるなど、ここ数年間の変化は著しい。また、2006215日より、排ガス基準でユーロステージT基準を満たさない自動車の市内中心部(内環状線エリア)の乗り入れを制限する処置が採られる。

 

 まずは、この規定の概要について見てみる。

 20051228日に上海市政府から発表された『関於対高汚染車両実施制限通行措置的通告』では、公安部と市環境保全部が合同で詳細規定を定めている。それによると、まず市内を走る自動車はすべて、上海版エコマークとも言える『緑色標志(機動車両環境保全標志)』を車両が登録されている公安に赴いて取得しなくてはならないことになった。この『緑色標志』はシール式になっていて、規定の場所のよく見えるところに貼らなくてはならない。 

 ところが、このシールをもらえる車の基準が比較的厳しい。規定によると、基準をクリアできるのは上海ナンバーの場合、(1)199971日以降に登録された6人乗り以下の自動車、(2)200191日以降に登録されたデイーゼルエンジン車、(3)2001101日以降に登録された3.5トン未満のバス・トラック、(4)200371日以降に登録された3.5トン以上の大型トラック、となっており、ここから分かるように実質古いタイプの車種は一斉に淘汰されることになる。さらに、上海地区以外のナンバーの車に対しては、さらに厳しい基準が設置されており、例えば乗用車なら200171日以降に登録されたものでなければ、上海市内中心部の乗り入れに制限が加えられる。  

このような路線バスも淘汰される日が近い

  

 現在、上海には105万台の自動車が登録されているが、特殊な車両を除くとこれらの基準に適合するのは50万台前後で、30万台に関しては汚染基準を満たすことができず、今回の規制の対象になる。また、市内を走っている旧式の路線バスも3000台が対象となるため、バス会社では車両の更新を急いでいる。

 一方で、対象となる自動車の台数が多いだけに、今回の市内乗り入れ制限に関しても段階的な処置が採られる見込みだ。まず、2006215日より上海市内の内環状線高架道路、延安高架道路、瀘閔高架道路に関して、朝7時から夜20時まで、全線で基準を満たさない車両の乗り入れが禁止され、第2段階として2006101日より、朝7時から夜20時まで、第1段階目の規制に加えてさらに内環状線以内の市内全線の道路に関して、乗り入れが禁止される。中国でユーロステージT基準の車両が製造されはじめたのが1999年なので、たとえばこれ以前に製造された旧式のサンタナなどもすべて規制の対象となり、すでに上海の中古車市場では旧型車両を中心に大幅な値下がり現象が出始めている。これにより、旧型車両の淘汰のほかにも市内の車両台数削減に役立つと見られ、渋滞緩和に一役買うことだろう。 

 仮にこの規定に違反した場合、2点の減点となるほか、200元の罰金となることが明らかになっている。注目したいのは、今回の規制では、マフラーなど部品を改造して基準に達しても、『緑色標志(機動車両環境保全標志)』シールを取得できないという点だ。これは、車両が製造されたときの装備を基準に規制するため、公平といえば公平だが、やはり違法改造による抜け道を完全に塞いだ形となっている。さらにシールをなくしても再発行できない制度により、「車1台につき1枚のシール」原則を徹底させている。 

 一方で、中国純国産の車両メーカーにとっては、この排ガス規制が大きな技術的障害にもなっていくことは必至だ。たとえばすでに北京では、20051230日より、北京市内で発売される自動車に関してはすべて国V基準(ユーロステージV基準に相当)を満たさなくてはならないことになっているが、トヨタやホンダ、日産などの外国合資会社が生産した車両が圧倒的優位となっており、近年急速に 数が増加した中国国産メーカーにとっては技術的にも試練ともいえる。(以上) 


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