経済トピックス【2005年11月】

 

外資企業に対する借入制限緩和のポイント



従来の借入制限の内容

 10月21日付けで国家外貨管理局から公布された「外債管理の関連問題に関する通知(匯発[2005]74号)」によって、今年4月から実施されていた、外資企業に対する借入制限が2005年12月1日から緩和されることになった。

 これまでの経緯は本欄の第58回「外資企業に対する借入金規制について」で解説したが、今年の4月に開始された規制では、これまで外貨借入に対してのみだった借入制限が人民元にも適用されることになった。外資企業が国外機構の保証を元に人民元借入を行う場合、借入可能な金額は、総投資と資本金の差額(投注差:総投資‐登録資本金=借入枠)であることが規定されたため、現地法人が資金繰りに窮する事態が生じていたのだ。

 従来の外資企業に対する借り入れ制限の内容をまとめると

  1. 外貨借入を行う場合は、総投資と資本金の差額の範囲内でしか外貨債務登記を行うことができない。結果として、外貨借入が可能な金額は、総投資と資本金の差額の範囲内に制限される。

  2. 海外機構(親会社等)の保証をベースとした人民元借入も、上記の範囲内に制限される。
 つまり、投注差がない会社は、たとえば本社借入などの海外からの借入はできない。一方で、中国内の借入であれば、外貨・人民元共に、投注差の制限は受けないが、中国の現地法人で、自己の信用力のみで資金調達が可能な企業は極めて少ないのが現状だ。

 そもそもこの規制は、急増する短期債務の管理や投機資金を含めた海外資金の流入抑制等を目的としていたにも関わらず、結果的に外資企業の資金調達を大きく制約することになった。外資企業にとっては正常な経営活動が阻害されかねない状況になっていたのだ。


新通知でどう変わったのか


 今回12月1日から施行されることになった新通知「外債管理の関連問題に関する通知(匯発[2005]74号)」では、借入時には「国外機構(親会社)保証による偶発債務登記額を、投注差内に収める」と言う制約がなくなった。ポイントは以下の通り。
  1. 親会社を含む国外機構による保証付き国内借入れの外債管理が「保証提供額」から「保証履行額」に変更された。

  2. 親会社を含む国外機構の保証が履行された場合、債務者は履行後15日以内に所轄の外貨管理局で外貨債務登記を行う。この場合の外債登記可能額は、投注差に限定される。

  3. 親会社保証に基づく国内貸付に関する偶発債務登記は、貸主側の金融機関が行う(現在は、債務者が登記を行う必要がある)。
 1.および2.によって、国外機構の保証提供や、それに基づく国内借入は、投注差の制限を受けなくなるので、親会社を含む国外機構保証付き国内借入について、借入実行時において投注差を考慮する必要はなくなった。

 しかし当然ながら、金融機関の与信審査により、実際の借入可能額が決定されることに変わりはない。また、現地法人の財政状況が悪化し、親会社が保証履行を実行する場合、投注差の範囲内でしか外債登記はできないため、将来的に親会社が回収できるのは投注差の範囲内となる。

 今回の規制緩和によって、外資企業の経営に大きな支障を与える可能性が高かった資金調達制限は、事実上撤廃されることになった。ただし、4月1日以降の外貨担保規定の一部が引続き維持された点や、運用や解釈については不明確な点もあり、今後もその動向を注意深く見守る必要がある。

以上


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