経済トピックス【2005年11月】

 

「第11次5カ年計画」に見る外資導入のこれから



2005年上半期の直接投資は実行額で前年割れに

 2005年10月、中国共産党の第16期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が開かれ、2006年からの国家運営の中期的な指針となる「第11次5カ年計画」(以下「11・5計画」と表記)の基本方針が決まった。2006年3月の全国人民代表大会(国会)で正式に承認される見通しだ。

 「11・5計画」は、2010年までの中国の経済・社会に関する課題と展望を示す計画。対外開放を「基本的国策」と位置づけ、対外開放のレベルアップを図るとの方針を明らかにした上、外資については「引き続き積極的・効率的な外資利用を行なう」ことを強調している。

 今年は2001年から始まった「第10次5カ年計画」の最終年で、生産、投資、消費などの主要な経済指標はいずれも堅調に推移している。しかし、直接投資は例外的に前年比減と振るわない。実際、2005年1−9月期の実績を見ると、契約金額では前年同期比増勢を維持しているものの、実行金額は前年同期比2.1%減と小幅ながらマイナス成長に陥った。

 対中投資が減少に転じた理由は、いくつか考えられるが、最も大きな原因は中国政府の「マクロコントロール(経済調整)の強化」だ。業種別に見ると、過熱懸念から抑制策が強化された不動産投資がもっとも大きく減少しており、開発区の整理・縮小を含む土地管理の強化などは、長江デルタや珠江デルタへの投資に大きな影響をもたらしたと見られる。

 また、周辺諸国との競争の激化も見逃せない。とくに長江デルタや珠江デルタでは、電力や労働力(農民出稼ぎ労働者)の供給不足が深刻さを増しているが、その一方でベトナムなど中国周辺諸国は投資環境の改善を進めている。


量の追求から質的向上への転換

 商務省国際貿易経済協力研究院の予測では、「11・5計画」期間における中国の直接投資受入れは年間平均で550〜630億ドルで、年平均伸び率は「10・5計画」期間の実績を大きく下回る2%前後にとどまる見通しだ。現実に対中投資の増加を制約する要因は少なくない。

  • 製造業が生産過剰傾向にあり、市場競争は激しさを増している

  • 電力不足など資源供給問題が深刻化している

  • 労働力などコストが上昇している

  • 周辺国との競争が激化している
 
 などである。中国政府はこうした状況に危機感を持つ一方で、外資導入に関する姿勢を変える動きも見せ始めている。これまでの単なる量の追求から、質的な向上を重視する方針への転換だ。

 外資導入に関する計画作成の主管官庁である国家改革発展委員会は2005年7月、「11・5計画」期間における外資導入について「五つの関係をうまく処理すべきだ」との基本方針を明らかにしている。

  1. 国内発展と対外開放との関係

  2. 直接投資受入れと資源・環境制約との関係

  3. 外資導入と対外投資との関係

  4. 対外開放拡大と経済安全保障との関係

  5. 資本・技術導入と吸収・消化との関係

 この基本方針からは、単なる規模拡大ではなく、良質の外資を他の政策や問題とバランスを取りながら受け入れていこうとする姿勢がうかがえる。また、今年8月に商務省が出した「外国企業投資誘致の全面的レベルアップに関する指導意見」のなかにも、「外資導入の質の向上」が強調されている。

 しかしもちろん、外資の積極的な受け入れが、今後も重要な政策であることには変わりない。「11・5計画」の草案では、計画経済色をさらに薄め、市場メカニズムに委ねる部分を拡大するとうたっており、さらに地域間の収入格差を是正する方針が打ち出されている。

 こうした新しい経済政策が順調に進み、対中投資リスクが減少すれば、直接投資は継続的に増加していくだろう。また、WTO加盟時の公約に基づき、金融関連などでの外資参入規制が緩和されることも、直接投資が再び堅調に推移するための追い風になるに違いない。


以上


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