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原油高を背景にした中国ガソリン不足の影響
国内供給不足の本当の理由
今年7月下旬、広東省で深刻なガソリン不足が発生した。報道によると、広州市のガソリンスタンドの約3分の2が仕入れ難によって販売を中止し、給油するのに数時間待ちの状態が続いたという。
この影響は他地域にも拡大している。山東省済南市や青島市では8月10日前後から販売を取りやめるスタンドが続出、雲南省でも省都・昆明市周辺の70〜80%のスタンドが、低オクタン価ガソリンである90号か93号いずれかのガソリン販売を中止しているようだ。
また、価格上昇懸念も浮上している。江蘇省南京市内のスタンドは8月から90号の小売価格の一斉引き上げを実施。黒竜江省ではロシアからの原油輸入が今年は昨年比30%程度減少する見通しで、今後の価格上昇が予測されている。
広東省のガソリン不足の理由は当初「台風のために原油タンカーが接岸できなかった」と発表されたが、これまで台風の影響でガソリン不足が発生した起こったことはなく、十分な説明とは言えない。
国内供給不足を引き起こした根本的な問題は、原油価格が上昇を続ける中で、中国政府がガソリン小売価格の上限を規定したことだ。これにより採算悪化を恐れた国内大手石油会社の中石化社と中石油社は減産に踏み切り、海外への輸出ドライブをかけた。
また、7月23日、国家改革発展委員会が石油製品価格を引き上げた直後にガソリン不足が生じたことから、これに不満を抱く石油大手がガソリン小売価格上限を撤廃するために、圧力をかけているという見方もあるようだ。
統制経済による"市場の歪み"を露呈
現在、中国のガソリン・ディーゼル油の価格形成は、まず政府が小売基準価格を設定し、これに基づいて2大石油大手が上下8%のレンジ内で小売価格を決定する仕組みになっている。このスキームでは国際価格が上下する場合は国内価格の安定を促す機能が働くが、現在のように原油価格が上昇を続ける状況では、国際価格と国内小売価格の乖離が大きくなる危険性が高い。
現に、中国のガソリン・ディーゼル油価格は国際価格より3〜4割低く、卸売価格が小売価格を上回る現象が起きている。今年1−6月は、石油製品の出荷価格の伸び率が、原油価格の伸び率を大幅に下回り、石油メーカーの精製・販売部門は多大な損失を計上した。
このように、今回のガソリン不足は、「市場経済」と「社会主義」が混在する中国の構造問題を露呈する結果となった。政府は改善のための検討作業に入っている模様だ。国家発展・改革委員会(国家発改委)エネルギー局の徐錠明・局長は、9月22日に行われた「中国エネルギー戦略発展および投資サミット」の席上で、石油製品価格制度について、「改革に向けた調整が急務である」との考えを示している。
日本企業への影響は?
ただし、ガソリン・ディーゼル油の価格を一気に自由化すれば、国内産業に大きな影響を及ぼすため、改革は漸進的に実施されることになるだろう。国家改革発展委員会のスポークスマンの発表によれば「価格調整のリアルタイム化」→「卸売りの内外への開放」→「原油の輸入自由化」という流れで段階的に自由化を進めていく方針だ。しかし、今回の深刻なガソリン不足によって、今後の価格引き上げペースが速まることは間違いない。
ガソリン価格の上昇は自家発電をしている製造業にとってはコストアップにつながるし、また物流コストの増大という形でも収益を圧迫する可能性がある。その意味では中国に工場を持つ日本企業にも直接の影響が出そうだ。
一方で燃料コストの上昇は、市民の自動車購入に関する意識を変化させている。最近のアンケートによると「将来、自動車を購入する際には、小排気量車を優先して考える」と答えた人が80%以上にものぼった。
さらに中国では「日本車=低燃費」という認識が定着しており、日系メーカーにとっては追い風となる可能性も高い。ともあれ、経済の様々な面に影響を与えるガソリン価格に対しては、今後もその動向を注視する必要がありそうだ。
以上
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