経済トピックス【2005年6月】

 

高まる外資見直し論


 主な国際機関の05年の経済成長率見通しでは、いずれも中国の成長率を8%台半ばと予測しており、04年の9.5%からの減速を見込んでいる。

 しかし、4月20日に国家統計局が発表した2005年1-3月の実質GDP成長率は9.5%と、予想を上回る高成長を記録。政府の引き締め策にも関わらず、今年の成長率も3年連続で9%を超える可能性が高まってきた。

 こうしたなか、外資の積極的な導入政策に対する不満の声が一部で強まっている。成長の牽引役としての功績を認めながらも、優遇措置によって市場拡大を図る外資企業を牽制する動きだ。


積極導入策の維持で論争は一応の決着

 外資を巡る論争は、2004年3月に社会科学院世界経済研究所が開催した「中国の外資利用の回顧と反省」と題する座談会が発端となった。この座談会では専門家が様々な意見を展開したが、全体的には、外資に批判・否定的な見方が多かった。

 その後、同年7月には国家発展・改革委員会マクロ経済研究院のメンバーが、あるメディアに「外資導入による『ラテン・アメリカ化』の虞」という文章を発表。ここでは

  • 外資の企業所得税は約15%と、国内資本の半分以下。これがWTOの唱える自由貿易、平等原則に符合しない。
  • 外国直接投資の総量は、中国のGDPの40%を超過しており、発展途上国やアジア諸国家・地域に比べて依存度が高く、これは中国の外国貿易の発展にとって不利な影響を及ぼす危険性が高い。
  • 外貨準備の増加は、人民元の切上げ期待を増大させ、インフレ防止を難しくしている。
  • 外資の対中投資方式は、協力・合資中心から、外資単独に移行しており、企業独占の一要因となっている。
 などの問題点が指摘された。

 その後も各所で論争が続いたが、9月に商務部の薄熙来部長が国際会議の席上で「中国政府は、引き続き各種政策の連続性・安定性を保持する。外資による投資を奨励する各種政策、措置、法規は不変であり、とくに所得税と外資参入許可の政策は不変である」と発言。これにより、外資導入を巡る論争は、現状の政策の維持で一応の決着を見た。


外資選別の時代にこそ輝く日系企業

 しかし、外資見直し論は、その後も消えることはなく、「国内で創出された付加価値が外資企業によって海外に流出している」という批判はいまだ根強い。「全人代2005年立法計画」によると、年内に独占禁止法の審議が予定されており、これを外資企業の独資化の進展を牽制する動きと見る向きもある。また、法人税率の統一も議題に上っており、これが実現されれば外資企業にとって、大幅な増税となる。

 一連の動きは外資企業にとってマイナスに影響するが、積極的に外資を導入する政府の基本方針が変わったわけではない。ただし、3月の全人代では、ハイテクやサービス業、環境関連産業への投資を奨励する方針が掲げられた。これは外資の質が問われる時代に入ったことを示唆しており、高い技術力や高付加価値を生み出す力のない企業にとっては、進出が難しい状況になる見通しだ。

 日系企業に対する影響はどうか。最近は反日運動を背景に日本製品の不買運動が起こっているが、中国の消費者の日本製品に対する信頼は依然として高い。とくに急速に拡大する中間層は、製品やサービスの購入に際して、質を重視する傾向が強まっている。

 こうしたなか、高い技術と高付加価値に裏付けされた日系企業の製品やサービスは、ますます支持を集めていくはずだ。さらに日系企業の活躍が、中国経済の持続的な経済成長に貢献することも間違いない。外資選別の時代に入った中国で、これまで以上に日系企業の存在感と輝きが増すことを期待したい。

以上


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