経済トピックス【2005年3月】

 

WTO加盟3年目の流通業の市場開放動向

WTO加盟に伴う約束と法制度の整備状況

 流通業(卸売り・フランチャイズを含む小売り)の中国市場開放については、基本的に本欄の第41回「WTO加盟2年目の中国市場開放の動向(1)〜卸売り・小売業 」でまとめているWTO加盟時に約束したスケジュールに従って進行している。

 従来、卸売・小売業における外資の展開については、国家経済貿易委員会と対外貿易合作部が1999年6月に公布・施行した「外商投資商業企業試点弁法」によって厳しい制限があった。しかし、2004年6月に「外商投資商業領域管理弁法」が施行され、同時に「外商投資商業企業試点弁法」は廃止。これにより出資比率については第21条で2004年12 月11 日から外資100%所有が認められた。地理的制限についても、第22条で2004年12 月11 日から小売に関する制限が撤廃された。ただし、卸売業については同条で同法施行の日から制限を撤廃するとしていたが、加盟時には2003年12月の撤廃が約束されており半年遅れとなった。 経営範囲については、卸売業については2004 年12 月11 日までは薬品類、農薬、農業用ビニールを、2006 年12 月11 日までは化学肥料、製油を扱ってはならず、小売業については、2004 年12 月11 日までは薬品類、農薬、農業用ビニール、製油を、2006 年12 月11 日までは化学肥料を扱ってはならないとされた。

 また、外商投資商業企業試点弁法において定められていた申請前の売上金額・最低登録資本金についての厳しい要件やロイヤルティの支払いの制限などは、外商投資商業領域管理弁法において撤廃された。さらに外商投資商業企業試点弁法では、卸売・小売企業ともにコミッション代理業務(輸出入代理や国内での販売のコミションによる代理)は許されなかったが、外商投資商業領域管理弁法では卸売、小売、フランチャイズ、コミッション代理について、許可を得て専業もしくは兼業ができるとされた。これにより流通企業も自分で輸入したものを販売することができるようになる。

  フランチャイズについては本欄53回「外資の展開を規定する新フランチャイズ法が施行」で紹介したとおり、外資企業が中国内でフランチャイズ展開をする場合、まず外商投資商業企業を設立し2つ以上の直営店を経営、その1 年後に申請が可能となる。


今後の見通しと問題点

 外商投資商業領域管理弁法の施行によって、従来の各種制限が撤廃された点は大いに評価されるが、流通業は外資への開放が厳しく制限されてきた分野だけに、実際の運用に際して制限が加えられるのではないかという危惧がある。

 外商投資商業領域管理弁法第6条の「比較的強い経済的実力、先進的商業管理の経験及び営業・販売技術、広範な国際販売網を持つ外国投資者の外商投資商業企業の設立を奨励する」という部分は小規模な小売企業の参入を想定していないとも考えられ、登録資本金を公司法(会社法)の定める最低資本金額の30万元としたような場合に認可が与えられるかどうかは疑問が残る。実際に飲食業では上海では外資独資のレストランを設立する場合「40万米ドルを下回らないこと」が条件となっている(本欄第50回「上海市における飲食業の独資企業設立について」参照)。

 また、2004年8月試行の「新規設立する商業貿易企業の増値税徴収管理強化関連問題に関する緊急通知」では、増値税の納税義務者には一般納税義務者と小規模納税義務者があり、前者は増値税の仕入控除を適用でき、後者には「販売額の4%を増値税として納税する」という代替的な納税方法が適用される(本欄第48回「増値税の扱いに関する緊急通知について」参照)。これは最低資本金額に対する新たな規制の形ともいえる。

 このように流通業への外資参入には、いまだ不透明な部分も残るが、流通業は国家安全上の理由や国家の基幹産業に育てるために制限を設けている産業ではない。外資参入によって既存の小規模な商店は厳しい経営を迫られるが、反面で大きな雇用を創出することも事実だ。外商投資商業領域管理弁法の文言どおりの開放が進むことが望まれる。

以上


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