経済トピックス【2004年8月】

 

対外貿易法施行による輸出入権の開放について


■画期的な改正条項

本欄の第42回「WTO加盟2年目の中国市場開放の動向(2)〜貿易権」で触れた「対外貿易法」が7月1日から施行された。同法はWTO加盟時の公約に基づいて本年4月に修正・公布されたもので、中でも「輸出入業務をこれまでの許認可制から届出制に改めたこと」「個人に輸出入経営資格を与えたこと」の2点は画期的とも言える内容だ。

計画経済時代は、中国当局から対外貿易権の登録を受けた中国企業(貿易公司や生産企業)や、特定条件を満たした外資系企業(自営輸出入権(後述)等)にしか貿易権が付与されてこなかった。

しかし、WTO加盟に伴い、規制緩和の動きが加速。中国は外資系企業に対する貿易権の付与を以下のスケジュールで進めることを約束した。

  • WTO加盟後1年以内(2002年12月まで)に、外資マイノリティ企業(外国側の資本が50%以下の合弁企業)に貿易権を付与
  • WTO加盟後2年以内(2003年12月まで)に、外資マジョリティ企業(外国資本が50%超の合弁企業)に貿易権を付与
  • WTO加盟後3年以内(2004年12月まで)に、外資100%企業に貿易権を付与
    (国家貿易品目として一部例外品目あり)

中国企業による貿易権の取得は急増したものの、外資企業に対する開放はなかなか進展しなかった。WTO加盟各国は2003年10月のTRM(市場アクセス委員会)において、この点を指摘。中国側は貿易法の改正という形で、各国の求めに応じることになった。本法改正により輸出入業務がこれまでの許認可制から届出制にかわり、すくなくとも法律文面上は企業は求めさえすれば貿易権を取得できるようになる。


■流通権の開放が課題

今回の施行によって輸出入権開放は最終段階に入ったと考えられる。ただし、外資系企業が開放のメリットを十分に享受するまでには、まだ超えるべきハードルがある。

これまでも外資企業は、輸出入を行なってきたが、その大多数が「自営輸出入権(自社製造品の輸出とその原材料の輸入)」に限られてきた。外資が要求しているのは「完全な輸出入権」であり、また「輸入した商品」を国内に販売する「流通権」の開放だ。

対外貿易法の主旨は「外貿経営権(外国と輸出入をする権利)」の開放であり、流通権の開放とは異なる。つまり、海外から商品を輸入することの制限はなくなっても、輸入した商品を国内ユーザーに販売できる流通権が認められない限り、流通権を持つ企業に転売してからユーザーに販売しなければならないのだ(ただし、前回(第46回)で述べたように本年6月試行の「外商投資商業領域管理弁法」によれば流通権も大きく開放されそうではあり、対外貿易法の改正と相まって外資企業の活動が大いに自由になる可能性もある)。

また、個人に輸出入経営資格を与えると言いながら、商務部は「運転免許書を取ることと実際に車を運転することの違い」という喩えを用いて、運用段階で抑制をかける方針を示唆している。

このような様々な問題点をはらみながらも、WTO加盟時の公約通りに開放を進めようとする中国政府の姿勢は評価に値する。今回の改正法施行が外資企業に対する輸出入権の開放を加速させる契機となることを期待したい。

以上


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