経済トピックス【2004年4月】


WTO加盟2年目の中国市場開放の動向(3)
       〜サービス業(流通業を除く)における主要注目点


■電気通信

加盟に伴う約束


国内・国際電話
移動体通信
付加価値サービス

地理的制限
出資制限
地理的制限
出資制限
地域的制限
出資制限
加盟時     上海・広州・北京 25%以下 上海・広州・北京 30%以下
02年12月以前     14都市追加 35%以下 14都市追加 49%以下
03年12月以前         制限撤廃 50%以下
04年12月以前 上海・広州・北京 25%以下   49%以下    
06年12月以前 14都市追加 35%以下 制限撤廃      
07年12月以前 制限撤廃 49%以下        

上記約束に沿って、2000年9月に「中華人民共和国電信条例」が公布・施行された。同条例では相互接続義務、ユニバーサル・サービス要求、基本電気通信業務を営む企業の国家保有率51%以上との規定等がなされている。2002年1月には外国企業による通信業務を規定する「外商投資電信企業管理規定」が施行された。さらに、「中華人民共和国電信条例」附則の「電信業務分類目録」が改定され2003年4月より施行されている。インターネット事業に関しては、2000年9月に「インターネット情報サービス管理規則」が公布・施行されている。主要な問題点としては、約束に沿って法整備はなされたものの、基本電気通信サービス業やインターネットコンテンツプロバイダなど付加価値サービス業が、法施行後約2年となっても認められていない。また「電信業務分類目録」には、コールセンターサービスのような本来通信業務とは考えられない業務も掲載されており問題がある。


■建設

加盟に伴う約束

2004年12月までに、外国投資又は援助で全額手当てされるプロジェクト、国際金融機関の融資で国際入札で落札されたプロジェクト、外資50%以上である外国との共同建設プロジェクト(中国企業のみで建設するには技術的に困難がある場合には外資50%以下でも可)、中国が投資している建設プロジェクトで中国企業のみで建設するのが困難であるため地方政府の認可で中国企業と外国企業が共同で実施するプロジェクトについては、外資100%の企業の設立が認められる。

上記約束に沿って2002年12月に「外商投資建築業企業管理規定」が施行された。同規定の附則では、「中国域内請負プロジェクトの外国企業資質管理暫定弁法」の2003年10月1日での廃止が記された。これまで外国建設企業は現地法人設立なしでも「外国企業請負プロジェクト資質証」取得により中国でのプロジェクトを行うことができたが、同弁法廃止により現地法人の設立が必要となった(ただしSARSの影響を鑑み2004年3月までは「外国企業請負プロジェクト資質証」によるプロジェクトを継続できる旨の通達が出されている)。このため、2004年12月までに認められると約束されていた外資100%の建設会社設立が前倒しで認められている。ただ、外資100%の建設会社は、請け負うことができるプロジェクトは上記のとおりかなり制限されており、合弁企業を設立すればその他のプロジェクトも手がけることができるがその場合は中方出資比率が25%を下回ってはならないとされている。


■保険

加盟に伴う約束

 
生命保険
損害保険
保険仲介サービス
 
地理的制限
出資制限
地理的制限
出資制限
地域的制限
出資制限
01年12月 上海・広州・大連・深セン・佛山 50%以下 上海・広州・大連・深セン・佛山 51%以下 上海・広州・大連・深セン・佛山 50%以下
03年12月以前 10都市追加   10都市追加 制限撤廃 10 都市追加  
04年12月以前 制限撤廃   制限撤廃   制限撤廃 51%以下
06年12月以前           制限撤廃

上記約束に沿って「外資保険公司管理条例」が2002年2月1日に施行された。また1995年に制定された保険法が改正され2003年1月に施行された。ブローカー業務・代理店業務については「保険ブローカー管理規定」、「保険代理機構管理規定」等が2002年1月に施行されている。2000年3月に施行された「保険公司管理規定」について2003年9月に修正案が示され意見聴取が行われた。同規定改定では、全国展開をする場合と一部地域で営業する場合それぞれに違う登録資本金額を求めていた規定の撤廃などが行われる見込みである。


■銀行・ファイナンス

加盟に伴う約束

外貨業務については加盟時より地理的・顧客に関する制限なく営業ができるとされた。人民元業務については、地理的制限は段階的に緩和され2006年12月以前に撤廃される。また、2003年12月以前に中国企業、2006年12月以前に中国個人に対するサービス提供が可能となる。ライセンス基準は信用秩序維持のみとされ、経済必要性テストやライセンス発給数量制限は設けられないとされた。2006年12月以前に、外資出資比率、業務、法人形態等を制限する既存の信用秩序維持以外の措置は撤廃される。設立資格要件としては、申請前年末の総資産について子会社の設立は100億ドル以上、支店開設は200億ドル以上、合弁銀行設立は100億ドル以上であること、また人民元業務を行うためには、中国で3年以上の営業実績があり、かつ申請前に連続して2年間利益を計上していることとされた。オートファイナンスに関しては、加盟時より外資ノンバンク金融機関に対して参入に制限を設けないことが約束された。

上記約束に沿って2002年2月1日に「外資金融機関管理条例」が修正・施行された。オートローンに関しては2003年10月3日「汽車金融公司管理弁法」が、11月12日に同法実施細則が公布・施行された。2003年10月、中国銀行業監督管理委員会は、12月1日より外資銀行が人民元業務を行うことができる地域に済南、福州、成都、重慶を加え、開放都市を合計で13に拡大すると発表した。さらに、人民元業務の開放地域において中国企業を対象とした人民元業務を認めるとした。人民元の先物為替予約について、従来は中国銀行のみが認められていたが、2003年には中国工商銀行および中国建設銀行にも同業務が認められた模様である。人民元の先物為替予約は日本企業からのニーズも非常に大きいので、外資銀行への認可も早急になされることを期待する。


■証券業

加盟に伴う約束

加盟時より、外資比率33%以下で国内証券を取り扱う投資信託合弁会社設立を行なうことができ、さらにこの外資出資比率制限は2004年12月までに49%に引き上げられると約束された。また、2004年12月までに外国証券会社は外資比率が3分の1以下で、A株の引受、B株・H株・政府・企業債券の引受・取引、ファンドの開設を中国業者の仲介なしで行なう合弁企業を設立することができる。さらに外国証券会社の中国内駐在員事務所について、加盟時より証券取引所の特別会員になることができるとされた。

上記約束に沿って2002年7月に「証券会社設立への外資株式参加規則」が施行された。同規則は、外資出資比率上限を3分の1とし、外資証券会社が扱える業務として、普通株(A株)・外資株(B株・H株等)・債券(政府債券・企業債券)の引受、外資株の取引仲介、債券の取引仲介・ディーリング等が列挙された。さらに、「投資信託会社設立への外資株式参加規則」も2002年7月に施行されている。同規則は、証券投資信託会社への外資比率上限を33%とし、2004年12月までにこの比率を49%とするとしている。2002年12月「適格域外機関投資家による域内証券投資管理暫定弁法」が施行され、これまで海外投資家には禁じられていたA株投資が条件付きで開放されることとなった。ただし投資家の資格として証券資産額100億ドル以上、保険会社・証券会社については経営期間30年以上、銀行については総資産額が世界の上位100位以内であることといったかなり高いハードルが設けられている。2003年10月には証券投資信託業務の基本法ともいうべき「証券投資基金法」が公布された。


■旅行業

加盟に伴う約束

加盟時より、年間の全世界売上高が4,000万米ドルを上回る等の条件を満たせば、中国政府が指定したリゾート地および北京、上海、広州、西安の各都市で合弁旅行会社設立を通じたサービスが認められる。2004年12月以前に外資過半数所有マジョリティ出資が認められるようになる。2007年12月以前に、全額外資所有の子会社設立が認められ、地理的制限は撤廃される。業務範囲としては、外国・国内両旅行者に対する中国の輸送・ホテルアレンジ、外国・国内両旅行者に対する中国国内ツアーの実施、中国内での旅行小切手の現金化サービスが認められる。

上記約束に沿って2002年1月に「旅行社管理条例」が改正・施行された。2003年6月外資マジョリティおよび100%出資の旅行会社に対し適用される「外商控股、外商独資旅行社暫定規定」が公布された。全額外資所有の子会社設立が認められるのは2007年12月以前とされていたが、2003年7月に前倒しで第一号の全額出資子会社設立許可がなされた。業務範囲について、加盟に伴う約束には中国人の海外旅行の取扱いの開放が含まれなかった。中国人の海外旅行は今後大きな発展が期待できる分野であり、開放が強く望まれている。


■郵便・エクスプレスデリバリ

加盟に伴う約束


郵政部門が法に従い独占経営するサービスを除いて、加盟時より外資比率49%以下の合弁企業設立が認められ、2002年12月までに外資マジョリティが認められる。2005年12月までに外資比率100%の子会社設立も認められる。

2002年1月、旧対外貿易経済合作部により「外商投資国際貨物運輸代理企業管理規定」が施行され、合弁企業設立には中国側出資比率が50%を下回ってはならないと規定された。その後2003年1月には同規定に替わる「外商投資国際貨物運輸代理企業管理弁法」が施行され、中国側出資比率について「25%を下回ってはならない」との規定をすることによって外資マジョリティを認めるに至った。

1986年公布・施行の郵政法第八条は、原則信書等の配達業務は郵政専担事業であるとしている。同法は郵政専担事業の範囲を明確に定義していないが、2002年2月、郵政総局は500グラム以下のデリバリ業務を郵政専担事業とすると通達した。加盟時の約束では経営範囲等について加盟時点より制限的なものとはしないとされており、これに反することから交渉が行なわれ、結局2002年9月、エクスプレス・デリバリ企業は郵政局からの委託を受けさえすれば500グラム以下の配達業務も行えることとされた。ところが2003年11月に郵政法改正案が公開され、信書および500グラム以下の物品配達業務を郵政専担事業とすること、委託を受けて信書業務を行う場合は料金を郵政の10倍とすること、信書等業務からの収入の4%をユニバーサルサービス特別基金として拠出しなくてはならないこと等が検討されていることが明らかとなった。これらはエクスプレス・デリバリ企業の業務を大きく阻害するものであり、外資大手各社は郵政当局に対し強く反発している。

以上


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