経済トピックス【2003年12】


輸出増値税の還付率引下げとその影響

輸出に伴う増値税の還付率引き下げが、2004年1月1日より実施されることが正式に決定した。これまで増値税は国内流通税であることから輸出製品には還付によって原則ゼロ税率を適用しているが、今回の見直しで還付率の製品格差を明確化、輸出振興物資は還付率を高めて維持するなど、還付制度を輸出振興策の一貫と位置づけた。
1985年から始まった還付制度は、予測を上回る還付額の増加に財源が追いつかず、還付遅延が恒常化、企業のキャッシュフロー悪化を引き起こしている。そのため今回の見直しでは「財源内で可能な還付」を前提に還付率の引下げを行った。調整後の還付率は17%、13%、11%、8%、5%の5段階とし、自動車部品や建設機械など輸出振興製品には高い還付率を適用している。
以下では、財政部、国家税務総局による「輸出貨物増値税還付率の調整に関する通知[2003]222号」および国務院による「輸出税還付システム改革に関する決定」についてそのポイントを述べてみる。
●輸出増値税の還付率引下げ
一般製品の還付率は平均3%(2〜4%)引き下げるとしており、電機製品やアパレルなど現在17%の還付率が適用されている製品は13%、鋼材など15%の製品は13%、化学肥料など13%の製品は11%とする。原油や木材など輸出を制限する製品やエネルギー関連の物資は還付制度を廃止。一方、農産物などは還付水準を現状のまま維持し、輸出を促す。
 ●中央政府による財政支援の強化
2003年以降、中央政府は輸入増値税と消費税の税収増加分を優先的に輸出増値税の還付金に充てる。
●中央政府と地方政府による輸出増値税還付金の共同負担
2004年度以降は、2003年の還付実績を基準とし、基準を上回る還付を行う場合には中央政府が75%、地方政府が25%を負担する。
●中央政府負担による未還付金の扱い
   2003年までに蓄積された企業への未還付金は、中央政府が負担・保証する。
   
今回の通知による還付率の引下げ理由は、中国政府の財政不足問題を解決するため、また人民元切り上げ圧力を回避するための措置とみられているが、中国のWTO加盟により工業製品の関税率が17%から9%に、農業製品の関税率が24%から17%にまで引き下げられることが約束された中、2002年度には既に2001年度との比較で600億元(約8400億円)の税収減があったこととも関係があるように思われる。
還付率の引下げは中国政府にとって財源(税収)確保という点で重要である一方、輸出企業にとっては収益の圧迫要因(実質的な増税)となり企業の競争力低下に繋がる。また企業が負担する増値税分だけ輸出価格が上昇することで、中国製品の世界における価格競争力の低下を招く恐れも考えられる(電機や衣料品など中国を製造・輸出拠点としてきた日本企業は、中国国内の需要開拓を探る構えであり、既に中国工場を「輸出型」ではなく「内需型」と位置づける動きも広まりつつある)。
今回の通知では、「新たな還付不足を生じさせること無く、過去の未還付分を還付する」という方針が打ち出されてはいるが、今後、中国政府が税収確保に困窮するような事態となれば、還付率のさらなる引下げも予想されることから、引続きその動向に注視していく必要があると思われる。

以上

2003年12月


[BACK]

dabanshi@osakacity-sh.com
Copyright 2003 Osaka City