外資による中国企業のM&A
中国では2002年末から今年初めにかけ、M&Aに関する法令が続けて制定されています。一連の関連規定制定の狙いは、外資企業の投資意欲を最大限に利用することで、赤字や経営困難など数々の問題を抱える国内企業改革を推進しようという点にあり、最近このような再生型の買収を試みる外資企業も現れています。しかし、このような形で既存の国内企業を買収する外資企業にとっては、いわば国内企業の再建を迫られることにも繋がるため、買収後の経営リスクを如何にして抑えるか、買収先企業の調査を含め十分検証する必要があります。
なぜ今、国内企業のM&Aなのか
「中国企業のM&A などメリットがあるのだろうか?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし外資企業にとっては買収により、(a)既存の社屋・工場や生産設備の有効活用ができる、(b)中国国内に販売マーケットを有した企業であれば、買収後、国内販売戦略が有効となる、(c)新規で外資企業を設立した場合、利益計上まで数年を要するが、短期間での利益計上も見込める、等のメリットがあります。さらに極めて取得しにくい(或いは中国当局が認可の出し控えをしている)免許や特別な許認可を必要とする業種においては、そもそも新規での企業設立が困難となります。よってこのような業種での進出を検討する場合には、企業買収という手法が中国進出(投資)の有効的な手段としてクローズアップされています。
以下では、中国におけるM&Aに関する最新法令である『外国投資者による国内企業買収暫定規定(2003年3月公布、同年4月施行)』のポイントを述べてみます。
(1)買収の手法〈第2条〉
本規定では、(a)外国投資者が国内企業の株主(出資者)の持分を協議買収する、(b)国内企業の増資を引受け外資企業として変更設立する、という『持分買収』と(c)外資企業を設立し、当該企業を通じて国内企業の資産を協議買収し、資産の運用を行う、(d)外国投資者が国内企業の資産を協議買収し、その資産を以って外資企業を設立する、という『資産買収』の4つの形態により買収を行うことができるとしています。
(2)外資比率〈第5条〉
中国の合弁企業法では、合弁企業における外資比率は一般的には25%を下回ってはならないと規定されていますが、本規定では、外資比率が25%未満であっても外商投資企業であることに変わりなく、現行の外商投資企業の認可及び登記手続きに従わなければならないと規定しています。
(3)資産の評価〈第8条〉
資産評価は売り手と買い手の利害が直接対立する点です。中国側は高く売りたいと考えているのに対し、外国側は赤字国内企業の場合にその企業の価値はゼロに近いので出来るだけ低く評価して、安い値段で買いたいと考えている訳です。本規定では、資産評価は国際的な評価方法(時価評価)を採用しなければならないとしています。
(4)買収対価の支払い期限〈第9条〉
原則として、買収後、新会社の営業許可証発効日から3ヶ月以内に対価を支払わなければならないと規定されています。但し特殊な事情がある場合には当局より認可を得て、最長1年以内に支払うことも可能です(これは中国で新規に外資企業を設立する場合の出資金の支払い時期よりも短く設定されています)。また、支払い手段としては、外貨現金以外に株式や人民元資産が利用可能と規定されています。
(5)独占の禁止〈第19条〉
中国では未だ独占禁止法の規定がありません(今月中に「価格独占禁止暫定規定」が施行される予定)。つまり競争政策による買収規制もなかった訳です。今回の規定では外資が絡む買収についてのみ、独占禁止法の制定に先立って競争法規制が導入されました。具体的には、買収後の市場シェアが25%を超える場合等には、買収者側は自ら監督当局に対し報告する義務が生じます。
尚、M&Aにあたっては、買収する中国国内企業の権利義務や契約状況、労働関係、各種規制、訴訟状況の確認等、一般的事項にも十分留意する必要があります。
以 上
2003年11月
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