経済トピックス【2003年05】


増値税〜輸出取引に係る未還付問題

 1994年に施行された増値税については、「増値税暫定施行条例」第2条3号のなかで「納税者が物品を輸出するときは税率をゼロとする。但し、国務院に別段の定めがあるときは除く」と規定されている。ここで言う輸出0%の意味するところは、「売上税額が0%である」という意味と同時に、「輸出を行なった場合には仕入時に中国国内で支払った増値税を全額還付するということも意味している。また同条例の第25条でも「納税者がゼロ税率の適用を受ける財貨を輸出する時は、税関で輸出手続を行なった後、輸出通関書類などの関連証憑に基づき、月ごとに税務期間に対して当該輸出財貨の税額還付手続きを申請することができる」と規定されている。つまり輸出取引は、国内販売と同じように売上増値税額からこれに係る仕入増値税額を控除した残額をもって納税もしくは還付される方式がとられることとなっている。このことはつまり輸出取引については通常の中国国内課税取引とは異なり、仕入増値税の還付が認められるということであり、即ち、条文上は国際慣習および日本の消費税と同様、輸出取引について免税の取扱いが行なわれるものと想定されていた。
ところが、中国の徴収管理システムの不備と企業側の納税意識の薄さなどから不正な増値税発票(インボイス)の使用による還付請求、免税輸入原材料の国内販売製品製造への不正使用等により、過剰還付および徴税不足状況が発生した。このため国家税務当局は徴税強化とともに輸出取引に係る還付率の引下げや税還付の停止を行なうなど、本制度の問題はいまだ未解決の状態を呈している。
輸出取引に係る増値税還付問題は、これまでかなり複雑な経緯をたどって現在に到っているが、増値税施行当初からの経緯を示すと以下のとおりとなる。

1993年12月: 増値税暫定施行条例公布(1994年1月施行)
現在の増値税法。第2条において輸出取引については0%税率を適用する規定されている。0%税率というのは輸出取引に関して増値税の徴収を免除するだけでなく、輸出型企業が「中国国内で商品を仕入れた際に支払った仮払い増値税も還付する」ことを意味している。
1994年12月: 国務院10号
1993年末までに設立認可を受けた企業(旧企業)に対して、従来の工商統一税と増値税の差額分(増値税導入により税負担が増加した部分)を還付することを通知。
1994年8月: 財政部58号
外商投資企業の輸出取引に係る仕入増値税の還付はしないことを通知。
1995年5月: 国務院3号
輸出取引に係る仕入増値税は還付するが、還付率を引下げると通知。(一例:17%の増値税率となる財貨は14%へ)
1995年10月: 国務院29号
還付税率の再引下げ。(一例:17%の増値税率となる財貨は9%へ)
1998年1〜9月: 一部製品の輸出取引に係る還付税率の引上げを通知。
1998年12月: 国家税務総局123号
1993年末までに設立認可を受けた企業(旧企業)に対する(免税)経過措置を2年間延長することを通知。
1999年1〜7月: 一部製品の輸出取引に係る還付税率の再引上げを通知。
2001年11月: 国家税務総局
旧企業と新企業(1994年1月以降に設立認可を受けた企業)の増値税還付方式が統一される。
2001年7〜2002年4月: 一部製品の輸出取引に係る還付税率の再引上げを通知。



元々、増値税の不還付問題は企業側の不正還付請求による過大還付や国の財政資金の不足に原因があり財政問題等が解決しない限り、還付手続きも円滑に行なわれない状況にある。また保税区、保税区外での所轄税務署間の見解の相違から生じる未還付問題もある。 増値税の還付手続きは2002年から制度としては整備されたが、その足並みは揃っておらず、実際の運用では未だに先納付後還付手続きが行われたり、還付請求そのものが定期的に受け付けられていない状況もある。また還付請求してもすぐには還付されないこともあり、企業側に還付税金に相当する資金の負担を強いる状況が残っている。これらの状況は生産活動を行なっている企業側にとって深刻な問題であり、今後早急な解決が望まれる。


 

以 上

2003年5月


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