|
中国はWTO加盟により今後、大幅な輸入関税率の引下げと非関税障壁の撤廃(非関税措置について中国は、WTOルールと整合的ではない輸入数量割当・輸入許可・公開入札の各輸入数量制限を2005年末までに全て撤廃し(注)、新たに導入しないことを約束)、各種規制緩和、中国国内法の包括的な見直し等に取組み、大きな市場開放政策と市場整備が行われることとなる。
(注)【主要品目の数量割当・輸入許可撤廃スケジュール】
| 主要品目 |
加盟時の割当金額 |
年増加率 |
撤廃年限 |
| 乗用車 |
60億ドル(※2) |
15%(※2) |
2005年 |
| オートバイ及び主要部品 |
2.86億ドル |
15% |
2004年(※1) |
| 窓型エアコン |
2.83億ドル |
15% |
2002年 |
| ビデオカメラ等 |
2.93億ドル |
15% |
2002年 |
| カメラ |
0.14億ドル |
15% |
2003年 |
| 腕時計 |
0.33億ドル |
15% |
2003年 |
(※1)オートバイ用エンジンについては2003年。
(※2)金額・増加率には乗用車の他、乗用車以外の車両やエンジン等も含まれる。
それでは中国のWTO加盟後、日本の産業界からみた日中関係はどのように変化するのであろうか。中国のWTO加盟は、とりわけ重要な意義を持っていると言える。
世界銀行の試算によると、WTO加盟によって中国自身が大きなメリットを享受するが、 中国よりむしろ先進国を中心とする他の加盟国が得るメリットの方がより大きく、その中でも特に日本は最大の受益国になるとみられている。中国がWTOに加盟した今、日本の対中貿易が拡大するだけでなく対中投資も大幅に増加すると思われる。
【中国のWTO加盟による先進各国の経済的利益の年間受益額】
| 受益国 |
WTO加盟に対する合意事項が完全に履行された場合 |
WTO加盟に対する合意事項が完全に履行され、欧米諸国の輸入制限措置が全部撤廃された場合。
|
| 中国 |
830 |
1,160 |
| 日本 |
610 |
620 |
| EU(ヨーロッパ連合) |
3,400 |
810 |
| 米国・カナダ |
380 |
440 |
(世界銀行試算、単位:億ドル)
(1)貿易分野で日本に及ぼす影響
中国の輸入相手国のシェアでは日本が2割程度を占め、米国とEUを上回り最大の輸入先となっている。さらに日本からの輸入品目のうち約5割を占める電気機械と一般機械および日本の比較優位が大きい自動車は、いずれも関税の大幅引下げや非関税障壁撤廃の主
要な対象となっている。したがって、日本からの輸出は大きく拡大する可能性があり、中国のWTO加盟により貿易分野から最大の利益を得る先進国は日本であると思われる。
但し、下記のような日本から中国への投資拡大や各種経済交流促進の結果、中国に進出 した日系企業や日本企業の指導を受けた中国企業による日本への輸出拡大が予想される。
昨年1年を通じて、ねぎ・しいたけ・たたみ表の3品目を対象とした日本のセーフガード 暫定措置発動が大きな問題となったことは記憶に新しいが、これらの産品の日本への輸出
拡大は日本企業により指導を受けた農家による生産量が増加したことが主因と考えられて いる。すなわち、日本が比較優位を持つ産品に関して日本から中国へ輸出拡大が予想される一方で、中国が比較優位を持つ産品(農産品、衣料品等。さらには家電生産等においても中国の競争力が高まってきている)の中国から日本への輸出拡大も確実であろう。
これは、日本の消費者にとってはより安い商品を手に入れることができるようになることを意味し、日本全体としては利益を受けることと考えていいが、農産品、衣料品等の生産者にとっては、早急な構造転換や生産の海外へのシフト等を迫られることとなる。
(2)投資分野で日本に及ぼす影響
日本の対中投資をみると、2001年上半期(1月〜6月)の対中投資案件数は930 件(伸び率前年比42.6%増)、契約ベースは29.4億ドル(同85.9%増)、実行ベースでは18.8億ドル(同27.0%増)と大幅に増加し、この勢いは今後も続くと
推測される。
その理由の第一は、本編でこれまでも述べてきたとおりサービス分野を中心として大幅な投資規制緩和が行われるため。特に卸売りや通信などの分野においては実質的に参入が禁止されてきたが、今後段階的に市場が開かれていく。
第二は、投資環境の改善が挙げられる。従来、中国に進出した日系企業は、ローカル・ コンテント要求(国産品を一定比率以上使用することを義務づけること)や輸出入均衡要求(原材料等の輸入は輸出実績に見合った金額や数量のみまでしか認めないこと)、生産に対して高い輸出比率維持要求、技術移転要求等を求められてきた。これらは日系企業の
経営の足かせとなってきたが、昨年中に関連法令における該当条文は全て撤廃されている。 外資企業に対する『二重待遇』(税率、外貨使用、輸出入の権利、乗用車購入等において、中国企業よりも優遇する「超国民待遇」と投資分野・地域に関する制限、輸出比率や国内販売の制限、原材料の供給・価格・経費徴収等において、中国企業よりも劣後する「次国民待遇」の存在)や地方政府が勝手に徴収するいわゆる「乱収費」等、不透明な投資制度の存在は、これまで外資企業の対中投資にマイナスの影響を与えてきた。また、知的所有
権関連制度の未整備がニセモノ氾濫等の一因となり、これも日系企業を苦しめてきたが、 加盟後の中国はWTO規則に基づき関連法規の整備をしていくこととなる。これにより中国の投資環境は大幅な改善が見込まれ、今後日本企業の対中投資は増加することが予想される。
|