経済トピックス【2010年5月】

 

2010年上海万博開催の意義


中国館

 2010年5月1日〜10月31日まで、184日間にわたって上海万博が開催されている。日本の報道では、予想よりも入場数が少なかったとか、混雑でけが人が出たとか、コピーが蔓延しているなどマイナスのイメージが強いかもしれないが、何を言われようとも、中国の上海で万博が開催された意義は大きい。

 上海万博のような大型の総合型万博は、1995年より少なくとも5年の間隔をあけてからの開催されることになっている。中国では1999年に雲南省昆明で世界園芸博覧会が開催されているが、こちらは専門型の万博で、総合型万博の間に開催され、性質が異なる。

 上海万博のテーマは、「Better City, Better Life」で、全世界の都市化とそれが抱える問題の解決という多くの新興国が抱えているタイムリーな話題を取り上げている。特に、中国での都市化のスピードは極めて速く、改革開放がはじまった1978年には都市化率が18%に過ぎなかったのが、今や50%に迫る勢いだといわれ、それに伴い、社会の歪みも出始めている。その問題の解決法が上海万博で示されることを期待せずにはいられない。

 上海市の万博参加への準備は2000年3月に結成された2010年上海世博会申弁委員会からはじまる。その後、上海市政府トップがパリに赴き、国際舞台でのプレゼンテーションを行った。そして、2002年12月3日の最終投票で韓国の麗水市(ヨス市)と対決して、54対34で勝ち、その夜は歓喜のムードで、上海の町中で沸き立ったことを思い出す。
 あれから8年の歳月が過ぎ、様々な紆余曲折がありながらも、2010年5月1日に上海万博が開幕した。192カ国と50あまりの国際組織、18の企業館に31カ所の省・区・市と香港・マカオ・台湾エリアが出展している。北朝鮮など中国と良好な関係を保っている国の出展も多い。

 今回の万博の特徴について、確かに会場が大きいとか、参加国が多いというのも特徴と言えるが、内容的特徴としてベストシティー実践区(E区)と、インターネットでも参観できる「ネット万博」の2つが挙げられている。ベストシティー実践区では、これまでの国ごとの出展という常識を覆し、上海万博ではじめて、各国の自治体が出展しているパビリオンがある。日本からも大阪市・大阪府が出展しているし、ロンドンやバンクーバー、マドリードなど環境に力を入れている都市の様子がよく分かる。ぜひ足を運んでみたいところだ。
 大阪市・大阪府の出展では、映像を駆使して、水の都大阪にふさわしい環境技術や歴史が紹介されている。筆者も見学に行ったが、この日は日本人スタッフ による流ちょうな中国語の進行に感動し、非常に親近感がもてた。特に、「なにわの時空シアター」では、過去から現代までの水都大阪を全身で感じることができた。また、中国人の参観者の多くが、最新の印刷技術で再現された巨大な「豊臣期大坂図屏風」や金貨「天正長大判」の複製展示の前で記念撮影していた。やはり、きらびやかな日本文化は注目度が高い。出口付近には、大阪・関西の環境先進技術の展示が体感できるようになっていて、こちらもたくさんの人々が見入っていた。こうしたベストシティ実践区の展示は、各国のパビリオンよりも、より万博のテーマを具体的に解釈しおり、身近に感じることが多い。

 また、「ネット万博」では、立体技術を駆使し、インターネット上でも上海万博が楽しめるようになっている。これも今回の万博の大きな特徴だ。

 日本人と違って、未だに海外への出国が難しい中国人にとって、外国を知るチャンスは極めて限られている。一般的に、中国人の90%は海外に出たことがないと言われており、海外に対しての文化的認識が極めて欠乏しているのが現状だ。そうした中で、上海万博が世界の注目の中で開催されたことは、中国の一般市民の国際認識を高めるのに貴重なチャンスを提供している。ボランティアに参加している大学生たちにとっても、世界各国の参観者と接するチャンスも多く、すばらしい経験となるだろう。 実際に万博会場にいってみると、熱心に勉強している中国の方の参観者も少なくなかった。リピーターが増えているという報道にも納得が行く。

 上海万博の開催により、160年ほどの歴史の街、上海に新たな街ができることになる。10月31日の上海万博の閉幕以降、万博の中心を貫くメインストリート世博軸や、中国館、テーマ館、世博センター、演芸センターはシンボルとして保存されることが決まった。これにより、万博エリアは上海市の新しい中心エリアの一つとして生まれ変わる青写真ができている。 (以上)


 

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