経済トピックス【2010年4月】

 

上海虹橋空港が目指すもの
〜第2ターミナル開通をうけて〜



虹橋交通ターミナル全景

 2010年3月16日、上海虹橋空港の第2ターミナルが完成した。現在、整備が進められている虹橋交通ターミナルの核心となる施設の一つで、さらに同日、地下鉄2号線もターミナルと結ばれた。このように次々と開発が進められる上海虹橋ターミナルの描くビジョンは大きい。

 1990年代、上海虹橋空港は中国でも有数の旅客量を誇る全国三大空港の一つだった。1995年には旅客量は年間のべ1108万人に達し、すでに年間のべ960万人という設計時の許容範囲を超えてしまった。1998年には飛行機の発着回数が年間13万回に達し、滑走路1本では限界になった。その後、浦東国際空港が開港しても、中国の国内線需要が急増し、日本・韓国などとの国際線就航もあり、虹橋空港の混雑は緩和されなかった。

国内線出発新ターミナル

 そこで、虹橋空港に空港だけでなく、鉄道(高速鉄道)やリニア、地下鉄、長距離バスのターミナルを作り、虹橋交通ターミナルが形成される構想が発表される。高速道路からのアクセスも便利になり、人とモノの大量輸送にふさわしいシステムの構築が始まった。計画をみると、地下鉄も、2号線、10号線、5号線、17号線が将来乗り換え可能になる。

 今回の虹橋交通ターミナルの開発で重視されているのが、単なる空港としての整備ではなく、空港を中心にして、周辺の産業や物流を充実させていく都市機能の整備が考えられている点だ。そうしたエリアを「空港都市区」と呼んでいる。そこには、これからの上海の発展を支えるだろう新しい産業のあり方が見えてくる。
 たとえば、虹橋交通ターミナルにより、交通アクセスが格段に便利になることで、各地から大量の人や情報、モノが集まり、IT産業や、コンピューター開発、物流センターなどの施設が周辺に形成されていく。さらに、最近は中国でも在庫を持たない企業が増えているため、よりスピーディーな作業ができる物流中継基地の整備が求められているが、そうしたニーズに応えられるとしている。
 しかし、話はこれで終わらない。この虹橋交通ターミナルを利用して、上海市西部に新たに巨大ビジネスエリアを作る、いわゆる「大虹橋計画」もある。これは、単なる大きなビジネスエリアではなく、交通網を有効に利用した長江デルタエリアの各都市と繋がったもので、将来は浦東新区全体の経済開発区に匹敵するものになると期待されている。この「大虹橋計画」の総面積は、86平方キロメートルになり、閔行区・長寧区・青浦区・嘉定区にまで及ぶ。すでに、閔行区などでは外国人が住む国際住宅地開発プロジェクトの計画も始まっているといい、各区はかなり積極的に動きだしている。


虹橋空港外観

 しかし、一方でこれほどの交通機関が集中して、過当競争にならないか、という懸念もないわけではない。時速200〜300キロ程度出せる鉄道、時速300〜500キロ出せるリニアは、半径800キロ以内の距離では、航空機と比較して明らかに優勢だが、各業界内での競争が激化することは避けられないとみられている。また、上海の地理的位置関係から、周辺の省が、必ずしも上海に物流の拠点を持ってくるメリットがあるとは限らない。上海のこうした交通ターミナルの整備が、周辺の省を刺激し、インフラ整備を地方に波及することも考えられる。
 虹橋交通ターミナルの整備で、2010年度中には長江デルタエリア各地を結ぶ高速列車が乗り入れる。新しい人・モノの流れが形成されるか、ますます期待が高まる。 (以上)


 

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