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都会へでる出稼ぎ労働者の変化

2010年2月28日は元宵節。この日を境に、一連の春節関係の行事は終了し、地方からの出稼ぎ労働者たちが続々と都会へ戻ってくる。しかし、今年は例年と状況がすこし異なっている。2009年の労働市場は、圧倒的に労働力が過剰だったが、今年は労働力が足りない状態になっている。その背景に、出稼ぎ労働者の減少と、農村エリアでの少子高齢化が徐々に影響し始めているという。
中国全国では、約1.4億〜1.8億人の出稼ぎ労働者がいると言われている。このうち、河南省からの出稼ぎが最も多く、四川省や重慶市からも非常に多い。重慶市石竜鎮の例が広州のマスコミで紹介されていた。それによると、2000年前後は年間3000〜4000人程度しかいなかった出稼ぎ労働者が、今では2万人にまで増えているという。しかし、この数は今がピークで、今後減少するとみられている。その根拠として、21〜30歳で出稼ぎ労働に出ている人の数は5132人だったのに対して、31歳〜40歳が7536人、40歳以上が4228人となっている。いまだに1980年以前に生まれた人が出稼ぎの中心で、中には60歳で出稼ぎに出ている人もいるといった状況だ。さらに、興味深いのはこうした村では新生児の出生率が下がっているというのだ。標高500メートル以上の山間部で、1人目が女の子だったら、2人目まで出産しても良いという規定がつくられたが、それでも出産率はあがっていない。こうした地方でも、物価上昇による子育てのコストアップのしわ寄せが来ているというのだ。そのため、今後の労働者人口の減少が心配されている。
労働力不足が深刻なのが、広東省エリアだ。その数は数百万人に達しているという。もともと、2008年9月のリーマンショックで、広東省の多くの企業が打撃をうけ、広東省の珠江デルタエリアでは7万件近い中小企業が倒産した。その結果、2009年上半期に多くの出稼ぎ労働者が故郷に戻ってしまっている。ところが、最近になって世界経済が回復しだし、工場の注文が増加してきたのに、出稼ぎ労働者たちはそう簡単に戻ってこないのが現実のようだ。
そのほか、珠江デルタエリアでの物価の上昇と比較すると、このエリアでの出稼ぎ労働者の給与は、ここ30年間ほぼ横ばいで、稼いでもとても満足な生活がおくれない状態だ。さらに、90年代に生まれた若い世代の出稼ぎ労働者は、比較的恵まれた環境で育ってきており、福利や住環境、就労時間などをしっかりと考慮するようになってきた。雇う側の民間中小企業にとっては、コストに跳ね返ってくるというジレンマを抱えている。
これに対して、長江デルタエリアの出稼ぎ労働者たちは比較的恵まれているようだ。上海市農民工工作聯席会議弁公室によると、一般的な出稼ぎ労働者で月1500元程度なのだが、さまざまな技術や資格を持っていた場合、月4000元を超えるようなこともあると いう。都市経済発展に欠かせない出稼ぎ労働者に対して、なんとか彼らを惹きつけようと、長江デルタエリアの地方政府は様々な施策を行っている。例えば、労働者の社会福利待遇を、都市戸籍と同様にする試みもその一つだ。
このように、地方から来た労働者も、ある程度の収入を得るようになり、豊かな生活を出来るようになった。以前のようにがむしゃらに働かなくても、身につけた技術や知識を使って、お金を稼げるようになった。そうなると、わざわざ生活コストの高い大都市で単身赴任生活をおくらなくても、経済発展が著しい地元で家族一緒に生活することが可能になりつつあるのだ。
また、国の政策も変わりつつある。これまで、山間部から都会へ出稼ぎに出る労働者が多かったが、国が地場産業を発展させる「集体林区改革」を行うことで、江西省・湖南省から出稼ぎに出る農民たちが減少しつつある。同時に、人口減少による農村の荒廃防止に一役買っているようだ。
2010年5月からは上海万博も開催されため、パートタイムも含めると、多くの雇用が生み出されることになるだろう。これを契機に、市民も出稼ぎ労働者も新しい働き方を体験できるに違いない。いずれにしろ、今後、上海市を初めとする都市部での人件費高騰は必至だろう。
(以上)
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