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中国高速鉄道「8時間交通圏」の拡大
北京と広州を結ぶ高速鉄道のうち、まず2009年に武漢と広州間が完成した。この路線の大きな特徴は、これまでの在来線に高速鉄道を走らせるという形態ではなく、高速用の新線を建設して列車を走らせている。所要時間3時間足らずで広州―武漢1069キロが結ばれ、距離が一気に縮まった。中国の高速鉄道でまた新たな歴史がスタートしたことになる。
中国政府の発表した『中国鉄道中長期発展計画』では、2020年までに時速200キロ以上の高速列車ネットワークを充実させ、今後1.2万キロ以上の高速鉄道新線を作るという膨大なプロジェクトがある。中国の交通網が劇的に変化するといえよう。
現在、上海―南京間にある在来線「瀘寧鉄道」以外にも、北京―上海を時速300キロ以上で結ぶ高速鉄道、さらに上海―南京を結ぶ時速200キロ程度の都市間高速鉄道が建設されており、近い将来、南京―上海間は用途によって3本の鉄道が走ることになるが、これと同じような構想を中国全国で計画している。これが、「四縦四横」高速鉄道計画と、三大都市間高速鉄道計画で、すでに一部路線が開通している。
「四縦四横」とは、四縦の@北京―上海、A北京―武漢―広州―深センー香港、B北京―瀋陽―ハルビン、C杭州―寧波―福州―深センの南北線。四横は@徐州―鄭州―蘭州、A杭州―南昌―長沙―昆明、B青島―石家庄―太原、C南京―武漢―重慶―成都の東西線を指す。これら路線が整備されると、例えば、北京から香港の路線を見た場合、現在は20時間以上かかっているが、これが高速化することでなんと9時間程度で着いてしまう。一晩で香港に着くというのだ。また、高速鉄道の夜行列車は、すでに新幹線タイプの列車を用いて北京―上海間で走っているが、同様の高速夜行列車がこれから中国各地で拡大する可能性もある。日本の新幹線では実現しなかった「夜行」という新たな高速鉄道のあり方が、中国で実現することになる。
一方で、渤海エリア、長江デルタエリア、珠江デルタエリアでエリア内の鉄道網を高速化する都市間高速鉄道計画は3系統考えられている。すでに完成した渤海エリアの北京―天津高速鉄道、現在建設中の長江デルタエリアの南京―上海―杭州、珠江デルタエリアの広州―深セン、広州―珠海、広州―仏山の各路線だ。いずれも貨物が走らない旅客専用線で、時速200キロ以上の高速鉄道となっている。この結果、中国の主要都市は高速鉄道でほぼ結ばれることになり、8時間あれば移動できる「8時間交通圏」が形成されていく。
現在、超過密化している中国主要都市の空港状況を改善できるし、より多くの乗客を各地に運ぶことができる。さらに、鉄道と航空会社との運賃競争も激しくなっている。最近開通した広州―武漢の高速鉄道の場合、500元前後の料金が設定されているが、航空機では400元程度で手に入ることもあり、航空機のほうが安くなる場合もあった。さらに、春節時の帰省ラッシュもかなり改善されるとみられている。あと10年もすれば、いつでも気軽に出稼ぎ労働者が故郷に戻れるという状態になっているかもしれない。
ただ、課題として、高速鉄道と市街中心部との交通アクセスの充実を訴える専門家もいる。日本でも大阪と新大阪の関係のように、高速鉄道の駅は在来線とは別の場所に建設されることが多いため、そのためにも都市地下鉄網の整備は欠かせない。
上海から2〜3泊の小旅行といえば、せいぜい長江デルタエリア内で済ませてしまうことが多かった上海市民も、高速鉄道網の充実で、武漢や福州、青島などがより身近になり、気軽に出かけられることになるだろう。今までの交通事情からすると、革命的な変化と言っても過言ではない。(以上)
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