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「上海人」になるための新しい道
戸籍制度の厳しい中国では、簡単に上海など大都市の戸籍を取得することはできない。しかし、これだけ人口の流動が大きくなると、戸籍だけで人の流動を制限することは難しくなってきた。また、戸籍と社会福祉制度とは深く関係があるため、上海で仕事をしていても、戸籍がないため義務教育などで上海市民同様の待遇が受けられないという矛盾も抱えていた。
そこで、上海市政府は2009年6月17日に、「上海市居住証」を取得している地方出身者に対して、上海籍を取得するための細則を発表した。地方出身者が上海戸籍を取得するための新しい道が開けたとして注目されている。
ただ、今回の制度が始まっても、すべての地方出身者が上海籍を取得できるわけではなく、いくつかのハードルがもうけられている。たとえば、地方出身者が大部分を占めている工事現場などで働く「農民工」に関しては、2008年度に全国優秀農民工に表彰された人に限るとしている。さっそく、条件に合致した出稼ぎ労働者が涙を流して喜ぶ様子が大きくテレビなどで報道されたが数は非常に少ない。それでも、過去ではよほどのことが無い限り上海籍取得は考えられなかっただけに感無量のようだ。
最近、地方出身者で上海に会社を設立する人が増えているが、そういった人材に対しても職業資格などに関係なく上海戸籍を取得するための道が開かれた。条件はかなり厳しく、投資者の連続3年間の納税額が年平均100万元以上であったり、3年連続して上海市民を100人以上雇用した人などに限られている。
2002年から始まった制度である「上海市居住証」を取得している人は、さらに社会保険に加入して7年以上という条件も課されている。ただ、この「居住証」もすべての地方出身者が取得できるわけではなく、資格など一定の基準を満たした「人材」でなければならないため、現在上海市内には27万人しかいない。このうち、上記のような条件を満たしている人は3000人程度と見られており、その数は決して多くはない。そのため、上海市は3年間、上海戸籍取得者数の制限はしないと明言している。そのほか、人材が不足している上海郊外農村エリアの学校や病院に勤めている人、農業などに従事している人に対しても社会保険加入年数を規程の7年から5年に短縮して上海戸籍を取得させる優遇処置もある。
こうした地方出身者の上海籍取得に関しては、上海の急速な高齢化に伴い、年金財源不足を補うための政策ではないか、という意見も出されているが、市政府は否定している。しかし、上海戸籍を取得することにより、より優秀な人材が上海に定着しやすくなり、中国でも比較的進んだ社会福祉を享受でき、今後上海籍の地方出身者が増えてくるものと考えられる。さらに、6月下旬には、地方出身者で都市戸籍を持っている場合、上海市民が加入している各種社会保険に加入できるようになったという通知も出された。特にホワイトカラーにとっては喜ばれる政策だが、一方で人件費がまともに上昇するため、一般の雇用主にとっては受け入れ難く、出稼ぎ労働者からしても雇用の確保の観点から困難な制度とも指摘されている。
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