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大陸おもしろ記事紹介

別れのゴタゴタ・・・


 恋愛花盛りの今日この頃、すばらしい出会いがあれば、つらい別れもある。今回 は、その「別れ」の方に焦点を当ててみる。
 中国の人達は一般的に一途である。これはわたしが思っているだけではない。中国 側の人達こそ、特にそう思っている。よく引き合いに出されるのは日本人だ。例を挙 げるならばこういう意見がある。「日本の人は、決まった相手がいても他の人とすぐに出かけたりするよね。どうしてなの?」「付き合ってもすぐに別れちゃうし、浮気したりもするんでしょ。どうして?」などがよく聞かれる。日本でだって別に、そんな事が堂々と許されている訳ではない。けれども中国では、許容の枠がもっと厳しく狭い。彼氏以外の男友達とお茶に行くのも、良いのか悪いのか考えなくてはならないほどだ。この人と決めたら、いつも一緒。自分の目に入るのは、相手の姿だけ。そのノリで、ベッタリするのが中国における恋愛の流儀である。街中で人目をはばからずイチャイチャと、愛情を確かめ合っている背景にはこういう考えの定着がある。付き合う事と結婚する事は、そんなに遠い関係ではない。
 さて、こんなカップル二人の別れには、いったいどんな事が起り得るのだろうか?別れた後のゴタゴタをちょっとのぞいて見るのが目的だ。記事は『LOOK・世界都市』1999年1-2月号から。別れにもいろいろある。双方同意のさっぱりしたもの、阿鼻叫喚の泥沼の別れ、などなど例を挙げだしたらきりがない。読者の相談に雑誌側が答えるというこの企画、パッと見ただけではそれほどでもない。けれども読んでいく と以外とおもしろいことがわかる。



質問

Q1 : わたしは数日前、街で偶然にも以前付き合っていた彼氏を見かけました。わたしたちはもう別れてしまっているのだけれども、その時、まだ彼の事を愛している自分に気がつきました。いったいどうしたらいいのでしょう。?

A : 慌てる必要はありません。ここでもう一度、冷静になって考えてみる必要があります。あなたたちは、もう別れたという事ですね。いったいどちらが先に別れ話を切り出したのですか?もしも、お互いに納得して別れたというなら、十中八苦、彼はとっくにあなたを忘れている事でしょう。彼が先に別れを提案してきたというのなら、考えるまでもありません。その事実を事実として受け入れる勇気が必要です。その場の一時的な気持ちに流され、電話をして思いを訴えたりはしない方がいいでしょう。彼とはもう別れてしまったのです。今になって、いろいろと彼に付きまとってもお互いに傷つくだけなのです。もしかしたら、彼とまたバッタリ出会い、辛い思いをするかもしれません。しかしその悲しみは、永遠に続いたりはしません。だんだん薄れていくものです。
 とにかく、いろいろな角度から自分をよく見て判断し、いいと思う決定を下して行 動してみて下さい。

Q2 : わたしには、5年近く付き合っていた彼氏がいます。その彼と、最近になって別れる事になりました。友達から聞いたのですが、彼はそれ以後塞ぎ込み、食事もせずにいるというのです。わたしはいったいどうしたらいいのでしょう。彼と連絡を取って、わたしの事を忘れるようにもう一度説得した方がいいのでしょうか?

A : 男性とはいえ、同じ人間です。女性と同様、気持ちが落ち着かず、波風が立つ事もあります。5年の月日は決して短いとは言えません。その5年にも及ぶ深い感情を忘れ去る事は、容易な事ではないといえます。しかし、食事もせずに塞ぎ込んでいるのは、あまり良い状態ではありません。まず、彼の友達と話をして、彼に忠告してもらってはどうでしょうか? そして、あなたは別れによって(普段プライドの高い)男性をそれほどまでにしてしまう魅力があった事を、喜んでもいいと思います。
 とにかく、今となっては別れは完了したのです。彼ともう一度付き合うつもりがないのなら、いくらあなたでも彼の心の傷を癒す事はできないでしょう。ただ、彼自身の努力だけが頼りです。時間の流れがあなたを失った苦しみを忘れさせるとともに、彼を助けてくれる事を祈りましょう。

Q3 : わたしと彼は別れる事になったのですが、困った事に彼は同じ会社で働いています。別れた彼と毎日顔を合わせなくてはならないのは、わたしにとって、とても我慢できないものです。いったいどうしたら良いのでしょうか。やはり仕事を変えた方が良いのでしょうか?

A : あなたたちは別れる時に、仕事は仕事、プライベートはプライベートという事でお互い納得したのではないのですか。けれどももし、あなたがどうしても一緒に仕事をするという現実に絶えられないのなら、迷う事はありません。できるだけ早く、今の職場を離れて新しい仕事を探すべきです。彼の事を気にするあまり、仕事上の失敗を重ねて首になる、という事が起らないとも限りませんから。

Q4 : わたしは前の彼氏と別れて一週間もしないうちに、今の彼氏と出会いました。付き合ってみたところ、相性も悪くありません。わたしはその彼に一週間前に別れた相手がいる事を言った方が良いのでしょうか?

A : 誠実である、という事は男女関係の中で最も大切な事だといえます。しかし、何でもかんでも相手に伝えれば良いというものではありません。言っても良い事と悪い事が存在します。あなたたちの付き合い方にもよるのですが、今の彼と前の彼に何の関係もないのなら、特に言わなくてもいいのかもしれません。

Q5 : わたしの彼は、わたしと別れたいと切り出してきました。なぜなら、お互いの気持ちがさめてしまったからです。彼から言い出してきたにもかかわらず、わたしの中で、なぜか強い罪悪感が残ってしまいました。いったいどうしてなのでしょう。

A : それはきっとあなたが、彼との関係をこれ以上続ける気がないと既に決めてしまっているからです。けれども好きだという気持ちは、あなた1人で成り立つものではありません。だから、あえて自分1人で苦しむ事はないでしょう。重要なのは、勇気を持って彼との現実を見つめる事です。一度彼と、どうして別れる事になったのか、その原因を話し合ってみてはどうでしょうか。そうすれば、罪悪感が残るという事もなくなると思います。


 さて、ここまで読んだ感想は、「みんな、質問の内容が若い!(幼い!)」ということである。10年くらい前、どこかで読んだ雑誌に載っていたような、もしくは中高生の恋愛相談(イマドキの事はよく分らないのだけど・・・)にでてきそうな悩みのオンパレードなのだ。まず、Q1「別れたけれどもまだ好き、どうしたらいいのか」Q2「別れた彼が落ち込んで立ち直れないでいる。どうしたらいいのか」Q3「別れた彼と同じ会社で働いている。それに絶えられない」Q4「新しい彼氏に、前の彼氏の事を話した方が良いのか」Q5「別れる事に罪悪感を感じているのだが」こういった質問が雑誌で紹介されているあたり、かわいらしい。わたしが思うに、これは恋愛の場数を踏んでいる人がまだまだ少ないせいだろう。だからスマートに動けない。もしかしたら、恋愛に対して真摯で、スレていない人が多いためかもしれない。それに、一つ一つの恋に対してのパワーや気負いが大きい気がした。
 これに対する雑誌側の回答は、以外と保守的にみえる。傷つくのを恐れず、自分の思う通りに行動しよう、という路線ではなく、できるだけみっともなくならないように自分を守っていこう、という事に終始している。特にQ1「その場の一時的な気持ちに流され、電話をして思いを訴えたりはしない方がいいでしょう。彼とはもう別れてしまったのです。今になって、いろいろと彼に付きまとってもお互いに傷つくだけ なのです。」その通りなのだけど、なんだか型にはまりすぎていてつまらない。こういう意見を友人にいうと、彼女は笑って答えた。「私たち(中国人)は、普通、こういう時毎晩のように電話をして相手を責めたり、後を追いかけたりして大変になる事が多いんだよ」だから、雑誌の中で思うように行動したら、なんてハッパをかけるような事をいったら歯止めがきかなくて大変になるのでは、との事であった。なるほ ど、日本人の場合、言いたい事があっても気持ちを押さえてしまう事が多いので「ハッキリ言おう」などという論調になるのだ。ナチュラルな状態での行動の選択が、日本と中国では違う。そのため雑誌のご意見番の意見も自然と違ってくるようだ。
 ちょっとおかしかったのは、Q2への答え。「あなたは別れによって(普段プライドの高い)男性をそれほどまでにしてしまう魅力があった事を、喜んでもいいと思います」。相手が傷ついているのを見て、自分に対して自信を持つようにアドバイスをするなんて・・・。彼女と別れたくらい(?)で、確かにものすごいショックかもしれないけれど、食事ができないようになってしまう男性なんて、なんだか弱々しく魅力がないように思ってしまうのだが。どちらかというと、そういう男性を選んでいた自分の見る目の無さを反省するべきではないのか、と首をかしげたくなった。
 Q3別れた彼と同じ職場が耐えられないとの相談に、「どうしても一緒に仕事をするという現実に絶えられないのなら、できるだけ早く、今の職場を離れて新しい仕事を探すべきです」。一時帰休者が後をたたない、就職難のご時世にもかかわらず、力強い主張である。これも、思いつめると何をするか分らない、という路線に基づく意見なのかもしれない。今まで、失恋をして彼を避けるために職業を変わるなんて自ら負け(?)を認めるようなもの、と考えていたのだが、なんだかサッパリしているなあと思った。
 Q4この質問のポイントは、別れて一週間で新しく彼氏ができてしまったという点にある。自分の事は正直に伝えたいけれど、軽い人間だと思われはしないかを心配をしているのだ。全般、日本より一途な子が多い。事の重大さも、彼女たちにとっては段違いだといえよう。Q5も同じである。「別れても良いのか」という点がシコリになって、さめているにもかかわらず別れる事に罪悪感を感じている。問題だと感じる 点が独特でおもしろい。


 この記事を読んだ後、わたしは某大学の学生達に質問をしてみた。「失恋をした事があるか?」「失恋をした時は、どうやってそこから立ち直るのか?」前者は、大学一年生の場合「ない」という答えが「まだ、つきあった事がない」とういう場合も含めて、結構多い。けれども当然ではあるが、学年があがるごとに経験者が増えていく。誰もが大体、通過する痛みのようだ。失恋話は結構盛り上がる。特にドロドロした話は、尾ヒレがついてものすごい勢いで広まっているようだ。相手に硫酸をぶっかけただの、両親に反対されて怒り狂って復讐をしただの、フッた相手にストーカーまがいに追いかけられただの、耳を疑いたくなるようなものから、ナルホドありそうだと頷いてしまうものまである。
 「失恋を忘れる方法」は、我々とあまり変わらなかった。いつもやらない事をおもいきってやって、それでスッキリするというパターンだ。
・男性の場合・・・ヤケ酒を飲む、煙草を吸う、喧嘩をする、スポーツをする、公園で座り込む 等
・女性の場合・・・友達に話す、思いっきり買い物をする、ヤケ食いをする、旅行に行く 等
 ヤケ酒、という意見がでたので念のためどんなお酒を飲むのかと聞いた。白酒・ビールとのこと。男はやっぱり白酒だよ、そういっていた。また、煙草を吸う、というのは普段吸わない人がヤケになって無理に吸う、という意味のようであった。 女性の方の意見で、何をヤケ食いしたいのかと聞くと、ケーキ・甘いもの、とのこと。火鍋、という彼女もいた。好物を太るのを気にせず思いっきり、という感じだ。また、旅行という意見は「お金があれば・・・」という事であった。生の意見はまた、雑誌と違って直接反応がわかり、聞いていてちっとも飽きなかった。

北里 恵

(本連載は1999年5月~1999年11月に掲載されました)


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