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大陸おもしろ記事紹介

理想の結婚


 今回のテーマは「お金持ちの男性、徹底分析」、OLを中心に読まれている雑誌『希望hope』の特集記事から。

 改革開放以来、持つものと持たないものの差が広がる中国では、街にはシンデレラコンプレックスから抜けられない小姐達があふれている。彼女たちは贅沢な洋服やアクセサリーを横目に、ため息をつくしかない自分を灰かぶりのシンデレラに例える。
 中国語でシンデレラは、灰姑娘(灰クーニャン)と書く。奇跡を起こしてくれる白馬の王子さまは待てど暮らせど現れない。このままでは、ただの灰婆婆(灰ババア)になってしまうと、夢の生活を与えてくれる、白馬の変わりに運転手付きのマイカーに乗ったお金持ち男性を探す。

 今回紹介の雑誌『希望』は、お金持ち男性に群がるそんな女性達に待ったをかけたものである。「本当にそれで良いのか?お金持ちと結婚する事で、本当に幸せになれるのか?」と。しかしそこは中国。安物の三流ドラマのように「愛が一番」などとは決して言わない。ここで提案される意外な結論は、あくまでも合理的で逞しく、本当に脱帽である。さすが、と言わざるをえない。以下は記事からである





 お金持ちと結婚することは、本当に幸せにつながるのだろうか。お金持ちの男性をつかまえることは、一見、一瞬の電撃線のようにみえる。しかし実際はそうではない。結婚してからこそ、真にあなたがた試される長い長い持久戦が始まるのである。あなたはその真実を知っているだろうか。


<お金持ち男性はすぐに浮気する>

イギリスのある調査では、3高の男性の浮気率は、他の男性より5倍も高かったという結果を示している。3高とはすなわち、高学歴・高収入・高身長のこと。しかし近頃の中国の様子を見ていると、男性は3高どころか1高で充分である。つまり、高収入ならそれで良いのだ。お金持ちであることが、男性の最大の魅力となっているのである。お金のある男性は周りの女性がほっておかず、結果的に浮気に走りやすくなっている。
 ほとんどの女性は金銭的魅力に勝てないでいる。お金があるのなら結婚していても関係ない、と考える人のなんと多いことか。47歳の経営者と不倫中の彼女は彼の魅力をこう語っている。「彼は考え方がオトナで、仕事ができる人です。週末は二人で5つ星のホテルに滞在して、おいしい食事を楽しみます。普段は彼が買ってくれた高級マンションから彼の車で会社に行く毎日です。彼と居ると、できないことは何もないような気分になるのです」。  また不倫をしている男性側は「仕事では他のヤツより何倍も苦労しているんだ、そのくらい当然だろう。家庭に不自由はさせていないし、自分で稼いだ金なんだから好きにするさ」という。
 こういった現実をあなたは受け入れることができるであろうか。全ての男性がそうではないにしろ、厳しい競争を勝ち抜いて結婚したからといって、安心できないことだけは確かである。


<お金持ちの男性と結婚するための資格と心得>

 贅沢な暮らしは誰もが夢見るものである。しかし、シンデレラのガラスの靴は、全ての人にあるわけではない。あなたはそれを手に入れる資格を兼ね備えているだろうか?

(1) モデルができるくらい美しいこと
 これはお金持ちの男性を手に入れる最も効果的な武器である。男性が、一緒にいることを周りに誇れるような女性であるべきである。

(2) 大学を卒業していること
 有名大学を卒業していることが望ましい。しかし大学院にまで行ってしまうのは行き過ぎである。

(3) 相手に完全を求めるのを止めること
 「白馬の王子様」はあくまでも物語の中のものだと納得すること。世界中どこを探しても、1から10まで完全に満足できる事はそうそうない。もし彼がお金持ちなら、外見が良くないか、誠実さに欠けるか、プレイボーイであるかどれかである。お金持ちであるという事実を持って良しとすべきである。

(4) 自分は彼の飾り物であるという事実を理解すること
 彼は同じ装飾品(つまりあなた)を、いつまでも身に付けているとは限らないことを覚悟する必要がある。彼が他の女性を欲しがるのなら、ヤキモチを妬いたりせず、その女性を誉めるくらいの度量を持つべきである。

(5) 礼儀作法に精通していること
 彼が公式の場に出た時に恥ずかしくないように最低限のマナーを知っていること。英語か日本語ができるとなお良い。また時間があるのなら、買い物などにうつつを抜かすのではなく、絵画、書道、茶道など習い事をするのも良いだろう。

(6) 独立の精神があること
 お金持ちの男性は夜の付き合いが多く、早く家に帰ってくることは稀である。だからあなたは1人で食事をし、寝て、家を管理し、彼に負担がかからないようにしなければならない。

 以上はお金持ちの男性との生活の実態である。もしあなたがこれを知っても結婚したいと思うのであれば、物質的には恵まれても、あなた自身の生活や彼との愛情にあふれた生活はあきらめなければいけない事を覚悟しよう。




 これらの内容は、シビアで興味深い。実際中国にいて思うのは、確かに男性 は3高など必要なく、一高、つまりお金があれば確実にモテる、ということである。
 反対に、いくらカッコ良くて学歴があっても、お金がなければ女性にとって何の魅力もないということだ。男は実力勝負なのであろうか? 週末にちょっとオシャレな場所に出かけると、必ず出くわす光景がそれを物語っている。綺麗な女性と、どことなくうさん臭い、格好がイマイチの男性とのカップルである。男性1人に女性3人、といった場合もある。ごく普通に大学を卒業し、結婚した上海人の彼女は旦那を評してこういった。「もうオジサンだけれど、仕事がとてもできるの」だから選んだのだと何でもない顔で言う。日本では、あまりお金のことを表立っていうのは良くないという考え方が主流である。しかし、中国ではそんなことはない。お金のあるなし、稼げるかどうかは、男性を見る時の最高の判断基準であり、またお金がある、というのは男性に対する最高の誉め言葉でもあるらしい。女性にとって、相手が自分に何を与えてくれるか、これがポイントなのである。そのため外見も年齢も関係ない、結婚していようがいまいが気にしない、こういった風潮ができあがったようだ。

 後半の、お金持ちの男性と結婚した場合の心得には涙をそそられる。特に(3)、(4)には悲しくなる。
 相手がお金持ちなら、プレイボーイでも家庭を顧みない性格でも仕方がないとあきらめること。自分がいつまでも相手を引き付けておけるとは思わないこと。要約するとこんな所であろうか。こういった女性は、ある意味男性にとって「最善の妻」と言えないこともない。しかし押しの強い中国小姐、絶対そんな風におとなしくしている訳がない。この部分は、読者の小姐達がお金持ちと結婚することの大変さと過酷さに気づくことをねらった、雑誌側の陰謀か?と私は深読みしてしまう。

 では、どんな結婚が理想的なのであろうか。雑誌『希望』の提案は、またまた中国チックでとてもおもしろい。





<雑誌『希望』が提案 ・理想の結婚>

 男性・女性、共に今よりも良い生活を望んでいる。けれどもその実現の方法には大きな差があるといえよう。男性の場合、自らの努力と才覚でお金を稼ごうとするが、女性の場合、結婚することでお金を得ようとするのである。一見、とても簡単そうにみえる。しかし実は、これはとても大変なことなのである。なぜなら今日事業に成功し、財産のある相手の大部分は30歳以上であり、また、ほとんどが既に結婚している。たまたま運良く独身の相手を見つけたとしても、あなたに勝った競争相手が群れを成しているだろう。結婚できるかどうか、その成功率は低いと言わざるをえない。
 しかも、こういったお金持ちの男性と結婚したからといって、あなたの真に望む幸せが訪れるとも限らない。だが、女性がお金持ちの男性を求める気持ちを完全に否定することもできない。なぜならお金は確かに生活の安定をもたらすからだ。

 そこで、我々雑誌『希望』は、少し考え方を変えてみることをお勧めする。既にお金を持っている相手ではなく、将来お金を稼ぎそうな「前途有望な相手」を探すのはどうであろうか。たとえ今はお金がなく、あなたに望む生活を与えられないとしても気にする事はない。前途があるということは、彼の将来には、無限の可能性があるということだからだ。
 ある統計によれば、中国の50.5%の私営企業は「夫婦経営」である。夫婦が協力して財産をつくるという形態は、21世紀において決して夢物語ではなく、実現可能な現実となるだろう。「お金持ちの男性と結婚して幸せになる」こういった非現実的な幻想からは、早く覚めるべきである。目を凝らして前途有望な男性を探し出し、そしてこう言おう。「私はあなたと一緒にがんばりたいの。これから一緒にお金を稼ぎましょう!」




 いやはや本当に逞しい。欲しいものは自分で確実に手に入れよう、というのが結論だ。お金持ちと結婚するという実現できるか分からない夢を追うよりは、自分でお金を稼いだ方が早いということだろうか。確かにそのとおりである。汗水流して稼いで手に入れたお金は尊い。自分を着飾って、棚からボタモチのような結婚をねらうのは、人によって向き不向きがある。何にしても愛する人と結婚するのが理想、といわないこの潔さには敬服する。あくまでもお金を手に入れる結婚、という路線からは外れない。財産が欲しい、これは日本でも誰もが心の中で望んでいることである。しかし堂々と口にする人は少ない。中国では自分の欲求に正直である。そのため、考え方も素直で悪びれたところがなくかえってさわやかかもしれない。
 我々が読むと目をむいてしまうような内容の今回の記事であるが、こちらの人がいうには、「あたり前」の考え方らしい。良くあるパターンの珍しくない結論だという。中国の人は「生まれながらの商売人」と例えられることがある。確かにこんなに合理的な考えの人達に太刀打ちできる訳がないでのではないか、街行く小姐達を横目に、そう思うのであった。

北里 恵

(本連載は1999年5月~1999年11月に掲載されました)


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