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上海蟹大辞典

12.上海蟹故事(3)-蟹の背の甲羅にはなぜ牛の足跡があるのか?


 シナモクズガニは体が平たく、色は青灰色で背中には牛の足跡がひとつある。この牛の足跡はむかしむかし老牛が踏んでできたものといわれている。
 
 陽澄湖畔の民間のいわれでは、天地開闢のとき、水牛とシナモクズガニとガマガエルは天上に住んでいて、お互いとても仲がよかった。ある日、シナモクズガニが銀河の中で遊んでいると、前方から来るガマガエルに出会った。ガマガエルはシナモクズガニに「金儲けのチャンスが来たんだ。銀河が決壊して、人間の住む世界が水浸しになって、民衆はつぎつぎに避難している。多くの金銀財宝を置いたままなので、ひともうけしに早く下界に降りよう」と言った。シナモクズガニは心が動いた。チャンスを逃すことはできない。もう二度とないだろう。急いでガマガエルと一緒にしゃにむに走り、いたるところで財宝を奪って回った。

 ちょうどその頃、彼らのしていることはまったく知らずに天上で銀河のために決壊したところを補修し終えた老牛は、今度は下界に降りて、人々が田を耕し、土を鋤くのを手伝い、荒廃した田園をもういちどよみがえらせるために、もうひと働きしなければならないと考えていた。

 あるとき、老牛は田を鋤いているとシナモクズガニとガマガエルが歩いてくるのが見えた。彼らは財産が増え鼻息が荒くなっており、頭を上げて闊歩している。まさか人間界で大稼ぎしたのか。老牛はたちまち烈火のごとく怒り、追いかけていって片足でシナモクズガニの背を踏みつけ、大声でどなった「おまえたちには良心がないのか?火事場泥棒をするなんて!」

 ガマガエルはびっくりし、体中鳥肌が立ち、一目散に逃げてしまった。シナモクズガニは体を抜くことができず、苦しみながら哀願した。ガマガエルがすべての悪いアイディアを出し、自分を丸め込んで下界に降り、災害に興じて、財産など奪おうと策略した状況を一部始終白状した。

 老牛はガマガエルの悪知恵が引き起こしたことだとし、シナモクズガニを大目にみてやることにした。しかし思いがけず、老牛の踏み付けがひどく、シナモクズガニは体が平たくなってしまったばかりか、まっすぐに立てなくなり、このときから横向きにしか進めなくなってしまった。さらに蟹の甲羅の上にはひとつの深い牛の足跡が残ってしまったのだ。


 ガマガエルは老牛の罰は受けなかったが、おびえて全身に出た鳥肌が今でも消えなくなりました。
 
 
2003'' 冬 Konok


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