KONOKの上海雑知/FEATURE

秋の特別企画「上海蟹を食す」  


 さあ、今年も上海に蟹の季節がやって来ました。出張者の接待や友達の案内と何かと役立つ上海蟹についての情報です。

 上海のレストランの入口に鮮やかな深紅の「大閘蟹(上海蟹)」の張り紙が、上海に秋の到来を告げる。昔から「魚米之郷」と呼ばれる江南地方にとって、秋は一年で一番嬉しい季節である。特に上海蟹は、水郷で知られる江南を代表する秋の味覚であり、菜の花を江南の"春"の代名詞とするならば、上海蟹はまさしく江南の"秋"代名詞である。江南人は蟹を食べることで故郷を思い、今年も家族とともに蟹を口できたことを喜び、感謝する。

 昔は蟹一匹が、彼らの一か月分の給料にも相当するほどの高価だったが、それでも彼らは秋にこだわり蟹を食べる。それは秋の深まりを蟹のみそから感じているかのようであり、江南人のアイデンティティーを確認しているようにも見える。


  1. 上海蟹の歴史

    上海蟹、正式には「シナモズクガニ」という。中国の長江流域を主な生殖地にしていることからこの呼び名が付いたと言われている。事実、古くからこの辺りを中心に生息していたようで、現在でもこんな話が残されている。

    「今から4000年前、「巴解」という役人の指揮のもと、長江デルタ地帯の湿地帯を広く穀倉地帯にするために治水工事が行われた。当時、この辺りの湿地帯はまだ誰一人として手を付けておらず、灌漑工事をするには、湿地の草を焼き払う必要があった。ここにはもともと「虫」と呼ばれる生物が広く生息していたが、これも草と一緒に集めて処分する必要があった。「虫」を一ヶ所に追い込み、葦と一緒に火を放つ、みるみるうちに火は一面を覆い尽くし、最後にそこには、焼き尽くされた草と「虫」が残っていた。あまりの香ばしさに、焼けた「虫」を食べてみたところ、これが甘く美味しいので、この「虫」を治水工事の責任者である「巴解」の名「解」と「虫」を合わせ、「蟹」と呼んだ。以来この虫は、「蟹」と呼ばれるようになった。」


  2. 上海蟹のシーズン

    「9月の雌、10月の雄」(旧暦)と言われ、新暦では「10月の雌、11月の雄」くらいにあたる。雌はお腹に抱いた卵が美味といわれ、雄はねっとりとした精子が美味しいと言われる。よく人からは、「なぜ、上海蟹は秋なのか?」と言う質問を受けるが、これは夏に盛んに動いた蟹が、北からのシベリア風の寒さにより急に動かなくなるため、蟹みそや肉が一気に蓄積されるためだ。しかし養殖の蟹やシーズン外れ(冬)の蟹は、あまり動かないため、蟹みそや蟹にくがもともと少なく味も異なる。新鮮な上海蟹は、蟹の足を割ったとき、蟹にくがきれいにスルリと抜けるもの、といわれる。


  3. 産地

    人によりそれぞれ意見が異なるが、蘇州近郊の「陽澄湖」と「無錫太湖」の蟹が最高と思われる。何を持って一番とするのか、判断が難しいところがあるが、ここ「陽澄湖」の蟹は、蟹みそが他地域より甘みがあり、大きさも比較的大きく(雌200g、雄300g)食べごたえがあるのが特徴。
    外見では、(1)「甲羅が青黒く平らで光沢があり、更にその上に青アザのようなものがある」、(2).「足の先端部やその毛が黄色がかっている」などが上げられる。ここ「陽澄湖」の蟹は、「中華金糸絨螯蟹」と呼ばれ海外でも有名。


  4. 選び方

    雌で200g、雄で250gくらいのものが標準。手にもった感じがズッシリと重いこと、地面に置いた蟹の腹がベタリと地面付くこと、甲羅の色が青黒く、硬いものなどが条件として上げらる。現在、特に市内の自由市場などで売っている蟹は、外見は大きいがあまりいいものを見かけない(大きくて良質なものは、有名レストランや海外へ行ってしまうため)。その時は、小ぶりでもいいのでズッシリと重いものを選ぼう。上海蟹は、活きたまま蒸すので鮮度も重要なポイント。蟹の目に注目し、指で目を触った瞬間の動きの素早さで鮮度をはかる。


  5. どこで買うか(上海及び上海近郊)

    現在、養殖のものならば、ほぼ一年中手に入れることが出来る(味は保証できないが…)。市内では各自由市場で簡単に入手できる。個人的には、上海虹橋地区にある「太陽市場」(水城南路と虹古路)の自由市場が、種類、数ともに豊富だと思う。

    しかし、本当の蟹を手に入れたければ、やはり現地に行くことを勧めたい。私がよく行くのは(1)「三陽GOLF場付近の地元市場」、(2)「大上海ゴルフ場の付近の地元市場」、(3)「滬寧高速の昆山近くのドライブイン」など。


  6. 料理法「蒸蟹」(蒸上海蟹)

    1. 蟹の紐をとり、蟹の腹にあるエラを開き、指で土や砂糞をしっかり水で洗い流す。

    2. 全体をブラシで擦り洗いし、汚れを落とす。特に蟹バサミの毛の部分も注意して洗う。(この時、蟹の目と口にブラシが当たらないように注意)

    3. 蒸し上がりの状態を整えるため、もう一度紐で縛り直す。

    4. 準備して沸かしておいた蒸し器の中に、蟹の腹を上向きにし、重ねず並べます。 (蟹を並べる前に、シソの葉やハーブなど蟹の生臭さを消すようなものがあれば下に 敷いてください)

    5. 雌200g、雄250g程度の蟹では、強火で20分程度を基準に、±20gを±1分程度として計算する。

    6. 蒸している間は、蓋を開けず、蒸しあがったら熱いうちに食べる。


  7. 食べ方

    1. 腹を上に向け、甲羅の元の部分から甲羅と体を分離する(この時、甲羅は下に向けたまま)

    2. 甲羅に付いた蟹みそを食べる(紹興酒などを加えても、あま味が増して美味しい)

    3. 蟹の胴体部の"ガニ"と呼ばれる灰色の蟹の肺器官をきれいに取り除く。

    4. 胴体を食べやすいように分割し、調味料※1とともに頂く。

      (調味料※1−生姜のきざみ、黒醋、醤油、紹興酒など、お好みに応じて)


  8. 上海蟹を食すにあたり

    上海蟹は、高栄養で体調や食べ合わせに注意する必要がある。以下のことを守り食べ過ぎには、十分注意したい。

    1. 風邪や熱のある場合は、食べない。
    2. 喘息や気管炎の発作中は、食べない。
    3. 蟹を食べるときに、肉、柿、スイカなどと一緒に食べない。
    4. 胃腸の弱い方、下痢気味の方、中性脂肪の高い方、高血圧の方、アトピーなど皮膚病の方、小さな子供は、食べ過ぎないように注意する。
    5. 暖かい紅茶や薄いお茶を飲むようにし、濃いお茶、コーヒー、冷たいものは避けた方がいい。
    6. 蟹を食べる場合は、熱燗や紹興酒などのお酒がお勧め(ビールは避けたほうがいい)
    7. 蟹を食べた後にジンジャーティーもオススメです。黄糖と生姜を一緒に熱湯に入 れ、5分ほど火にかければ出来上がりです。


  9. 上海蟹を使った料理

    「蟹紛○○」(上海蟹みそベースの蟹アン−ほんのりと甘く、素材とベストマッチ)

    • 蟹粉豆腐−(蟹紛と豆腐の煮込み)
    • 蟹粉小龍包−(上海蟹エキス入り、小龍包)
    • 蟹粉獅子頭−(蟹みそ、蟹にくがミンチでは入っている)
    • 蟹粉菜心−(野菜の蟹みそアンかけ)
    「酔蟹」(調味料、香辛料を加えた黄酒の中に蟹を漬け込んだもの、酒の肴には、最高)



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