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その3
日系企業A社は中国企業B社の製品を大量購入した。その後、A社は買い取った商品をネット上で広告し、不特定多数に売却しようとした。B社はその行為について「商標の侵害」とし、「ネット上の××製品の広告を即刻停止する」こと、さらに「ネット上にお詫び掲載する」ことを求め、訴訟も辞さない勢いだ。 日系A社の中国人副総経理はひとり焦っていた。このままでは裁判に負ける、負ければ高額の和解金を払わなければならない……。A社の正当性よりも、「代理契約なき販売行為」の方が立場が弱いと思いこんだようである。 しかし、A社社長には勝算があった。 ひとつはA社社長がメーカーB社の親会社の大株主を知り合いに持っていたこと、もうひとつはA社が購入した商品の中に大きな瑕疵を発見したことである。 A社社長はいくつかの交渉シナリオを書いた。 包括代理の有無をはじめ、細かいことを云々とA社・B社間でやりとりすれば、きっとズルズルと中国企業B社の土俵に引きずり込まれる可能性もなくはなかった。この社長、最終的には「ドカンとイッパツ爆弾を投げ込む」ことにした。つまり大株主を使っての「封じ込め作戦」だ。 「おまえら一体なにしちょるっ!」、さしずめこんな勢いではじまったのだろう。「大株主」に書かせた書状は同じ中国人も縮み上がるような弾丸のような文面だったと言う。 A社社長のもくろみは的中し、その後、B社の執拗な電話はぴたりと止まった。 A社社長はこう話す。 「わたしたち零細はお抱え弁護士を持っているわけではない。そのつど、自分の頭をひねって対策を考えなくてはいけない。でもこういう場合は往々にして、相手の思うつぼにはまらないのがコツとでも言えるのではないでしょうか」。(第4部 完) (北倉亜沙) |