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北倉亜紗の社会面~上海老百姓ウワサの真相

第1部

食肉 この頃、肉がどうもヘン?~肉の安全性に気づき始めた上海老百姓~


第4話

果たして肉がまずいと言われるのは、雨後の竹の子の如く、進出してきた「個体戸」のしわざなのか、はたまた残留農薬・ブロイラーのしわざなのか。

それともひょっとして特殊な病気でも……?

筆者はここ最近続いた例の「食肉食うべからず」事件がまだ気になっている。老百姓の間では一時の騒動からはだいぶ沈静化に向かっているが、未だ肉を食べようとしない人もいるのだ。やっぱり食べたいお肉、人はこんなにガマンできるものなのかと、筆者自身はすでに肉を解禁してしまっているのだが。

しかし英字紙「Wall Street Journal」は5月24日、それを口蹄疫だとスッパ抜いたのだ。結局、それでも憶測が憶測を呼ぶところが大きいのだが、もしそれが口蹄疫だとしても人間に移るものではなく、高温殺菌が可能だと言うことは明言しておく(一応、上海市衛生局も「自由市場の肉は保証できないが、三大肉類廠から卸したものならば安全としている)

一方、中国のマスコミはと言うと、5月の第4週目に入ってようやく、「夏の到来」にかこつけて各紙、「肉への安全性」を警鐘し始めた。

龍華食品公司は、このほど「安心して食べられる肉」についてのホットラインを開設した。さらに同公司は専門スタッフを肉の供給地である上海市郊外、山東、河南、安徽省に派遣し、調査を進める一方、加工面でも検疫、衛生、品質面での管理を一層強化すると伝えた。

また、国有最大手の上海食品公司でも「為民超市」で食品節(食品フェアのようなもの)を開催した。目玉は「放心肉」(「安心肉」とでも言うのか)の対面販売で、高品質を売り物に買い物客を集めた。

ここで扱う肉は全て政府公認の大場、龍華、呉song(さんずいに松)の三大加工場を経由している。さらにそこでの厳しい検査を経たものには、一頭ずつ証明書が与えられるというしくみをとり、安全性を強化しているとのことだ(すでにこの「一猪一証」制度は98年から導入されている。家畜の母子手帳のようなもので、衛生管理の記録として残すと聞く)。

ところで、為民超市店内の紙刷り広告のひとつに、「非疫地区から来た肉」という宣伝があった。つまり感染した肉でないということなのだが、それならきっと「wenyi地区」(汚染地区)というのがあるはずだと思い、再び防疫zhanに連絡をとった。

彼らは「どこの生産地が悪いとかいいとか、そういうのはありません。それは単なる企業側の誇大広告、上海では口蹄疫もありませんし、肉は安心して食べられます」とのことだった。

さらに、前出のホットラインに電話、彼らにコメントを求めると、

「市場の肉を全面否定するわけではないが、肉の寿命と衛生管理、そして時間の経過は消費者側も考慮しなければいけない。さらに、肉の出所。これは抑えておかなければならない大きなポイントです」という返答が返ってきた。

上海の老百姓らはたいてい肉の買い物は市場で済ませる。自由市場の肉店と言えば、冷蔵設備すら持たないところもある。専ら肉の保存には、水に浸すという方法などが一般的だ。しかも、個人の養豚業者は直接市場に卸す。だから、中には品質保証のハンコがない肉もあるのだ。

ほとんど老百姓の習慣だった市場での肉の買い物も、ここに来て見直すとか、肉そのものへの信頼感に対してもギモンを抱くようになるなど、市民の食生活に大きな影響を及ぼしている。

「まずくなった肉」の原因も、このようにいくつかの条件が複合的に絡み合って生まれた結果なのかもしれない。

上海人お得意の「紅焼肉」も、当分食卓にのぼらない日が続きそうだ。■

(北倉亜紗)


(本連載は1999年6月~1999年11月に掲載されました)

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