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第2話
養豚ビジネスのブームで、金のためなら都会の生活をも捨てる、そうやってわざわざ農村に出向く者も現れた。特にもともと上海郊外に住んでいたことのある人とっては、むしろこの方が才能が開花するとあって、今Jターン現象に拍車がかかる、そんな現象も出始めた。 こうした個体戸の出現で、上海市内の豚肉はどんどん供給過多になった。さらには、上海人の食の志向も豚肉オンリーからバラエティ化したこともあって、だぶついた猪肉はどんどん値が下った。今年の春は、市場の豚のもも肉が一番安くて500グラム5.5元になったのを筆者は記憶している。 「だけど、どうも以前のようにおいしくない」、老百姓は徐々にその変化を感じ取っているのだ。 こうした養猪ブーム、実は消費者にとってはあまりありがたくない結果をもたらしている。 わざと重くするため豚を水太りさせるとか(取引の値段は重さで決まるため)、早く大きくさせるためにホルモン剤を投与するなど、質的には全幅の信頼を置くことはできないのである。 かつて筆者は、日本の首都圏コープの川西弘泰さんと書簡のやりとりをしたことがある。 川西さんは10年にわたり中国を80回以上も往復し、中国畜産に深くかかってきたおひとりだ。 川西さんによると、最近の中国の畜産はちょうど日本の1960年代の高度成長期に匹敵するという。市場経済制を導入し、13億近い人口を養うことから未だ質より量、何よりも経済性を優先しがちで、その肥育と安全性には問題点が多いと指摘している。日本の一般の養豚と同じく、成長ホルモン剤や、抗生物質添加の配合飼料が与えられていると言うのだ(ある一説によれば、抗生物質などの添加は高額な上、技術的にも未発達であるため、中国ではまだ取り入れられてないとか)。 筆者が訪れた農村部には、確かに養豚用の広告看板があちこちにあった。豚の絵とともに書かれた商品名「長得快」(速く成長する)は、とてもショッキングだった。 筆者はその後、養豚の実態を知ろうと、1万頭規模の養豚場にアプローチしようとした。そこは龍華肉廠に卸すという正規ルートを持っているので、比較的信用があるだろうと思ったのだ。 「うちは人体に影響するような化学薬品は使ってませんよ。でも、配合飼料はわかりません。うちで製造しているわけじゃないので」 電話口ではそういいながらも、結局、養豚場は外界と隔離し病気の進入経路を絶っているのでという理由で直接の取材は断られた。しかし、その後「あまり深く聞かない方がいい」というメッセージを仲介者がよこしたことから、話はそれまでとなってしまった。 (北倉亜紗) |