| TOP/エクスプロア中国トラベル/内蒙古的大草原的旅日記/その1の下<大同→フフホト> |
|
列車の旅は戦争だ! |
|
★旅は道づれ それはともかくとして、最初の殺気立った空気が鎮まり、車内に落ち着きとリラックスムードが訪れるなか、私はまわりの人々 を観察し始めた。となりの席には初老のおじさん、そして前の席には学生らしい若い男のグループ。M君の席のまわりも学生らしい 若者の集団がいる。 見ると、全員が指定券を持っているわけではなく、ある程度時間がたつと仲間を呼んで、交代している。美しき友情といおうか、 貧しい学生たちの作戦といおうか…M君の前の席には3人がけの席に4人が座っていた。 どれくらいの時間がたってからであろうか。となりにいた初老のおじさんが突然話しかけてきた。 「X%@!?」 一週間ほど北部を旅して中国語の理解度が高まったはずなのだが、このおじさんの中国語はほとんどわからない。 「ティン・ブートン」と答えると、前に座っている学生たちが標準語で助け船を出してくれた。
「どこまで行くんですか?」 そう、こんな簡単な中国語でさえ、おじさんのなまりでは聞き取れない。でも、これがきっかけとなって、それからの2時間あまり、 わたしはおじさんや学生たちといろいろなことについて話すことができた。 「おじさんはどんな仕事しているんですか?」 するとおじさんは窓ガラスを指して、さかんに説明しようとする。てっきり、ガラス工場に勤めているのかと思ったら、 今度は胸ポケットから身分証明書を取り出し、見せてくれた。鉄道局のものだった。 「わたしはてっきりガラスをつくっている人かと思いましたよ」
それには、おじさんも学生たちも大受けで、しばし車内になごやかな笑い声が満ちた。
★お金の話は禁物? 夕方近くになり、西日の美しい光が山々や畑にあたっている。これまでの会話で打ち解け、警戒心が薄れた私は、ビデオカメラ を取り出し、撮影することにした。 改めて外を眺めてわかること、それはこの地が極めて乾燥している上に、鉱物資源の採掘によるものであろう、 山々がボタ山化して、山肌が裸になっていることだ。中国では砂漠化が深刻な問題となっているわけだが、ここでも目立って 植林の努力がなされているようには見うけられなかった。あくまでもドライな土地が延々と続いていく…
旅先で撮影を始めると決まって起こる現象がある。今回もビデオを取り出した途端にまわりの人々がいっせいに私の方に視線 を向け始めた。毎度のことで、慣れっこになっているとはいえ、やはり多少の緊張感が走る。こういうことは考えたくもないのだが、 目立ちすぎて、犯罪を誘発してはかなわない。 一通り撮影を終えて、席に座ると、隣のおじさんが話し掛けてきた。 「それは日本製かい?高いんだろうね。いくらするんだい?」 中国では、こういった形でお金に関して直接的に聞いてくる人が多いように思う。さっきも仕事の話をしているとき 「日本の鉄道員はどのくらい給料をもらっているんだい?」とこのおじさんは聞いていた。 この種の質問には、時と場合によって、はぐらかす場合がある。特に、見知らぬ人に囲まれた旅先ではそうだ。 日本人の給料はともかく、ビデオの値段など、口が裂けても言えない。 「ええとですねえ、それについては…」 とか何とか言って、口をもごもごさせていると、幸いなことに、おじさんが勝手に値段を言ってくれた。 「人民元だと5千元くらいかね?」 5千元だと日本円で6、7万円といったところ。それでも中国人一般からするとかなりの高額商品であるに違いないが、 目のたまの飛び出るような価格ではない。わたしは「まあ、そんなところです」と言って、それ以上、値段の話になること を防ぐことにした。 旅をしていると、予想もしないことが起きることがある。現実が予想を超えるときだ。でも、だからこそ、旅は人間を鍛えてくれる のだと思う。とっさの判断力や対応能力が問われるわけで、私は旅するごとに、この能力が鍛えられることを感じる。 ふと外に目をやると、すでに日が暮れ始めている。畑ではまだ野良仕事をしている人もいれば、ろばの牽く車に乗って家路に つこうとしている人もいる。牧歌的な風景だ。 間もなく、列車は大きな街の入口に差しかかってきた。いよいよフフホトが近づいてきたようだ。石炭の街、大同と異なり、 フフホトの空気は乾燥しているもののホコリっぽさがあまり感じられない。それより、なんとなく草原のにおいが漂ってくるようだ。 わたしとM君はまわりの人々にさよならを告げ、4時間あまりの難儀で楽しい列車の旅を終えたのだった。
呼和浩特(フフホト)のホテル予約はこちら [内蒙古的大草原的旅日記目次] [1回前を読む] [続きを読む]
[エクスプロアグローブ内蒙古自治区] |