| TOP/エクスプロア中国トラベル/内蒙古的大草原的旅日記/その2の下<フフホト> |
|
縁とは実に深きものなり |
|
★小さな国際協力 午後7時ごろ駅に到着してからすでに1時間以上がたち、われわれはお腹がすいていた。ロビーで待つ白さんには 「一緒に食事をしましょう」といって誘ってある。荷物を置いてすぐロビーに向かった。 「何を食べたいですか?」 「このあたりに安くておいしいお店はありますか?」 これまで白さんには、われわれがいかに旅の費用を安くあげようと努力しているかを長々と語ってきたせいもあって、 白さんは近くのギョーザ屋に連れていってくれることになった。 ホテルを出て、駅から延びる目抜き通りを歩き始めた。夜も8時を過ぎて、かなりすずしくなっている。われわれは 内モンゴルテレビ局のある大きな交差点を越えて、すぐ近くの小さなギョーザ屋さんに入り、外の席を選んで座った。 外気の冷たさが肌に心地よい。 何度も値切るわれわれの姿を見て、白さんがかなり気をつかってくれている。ギョーザひと皿を頼むたびに 「いまのは5元ですからね」と一つひとつの値段を確認してくれる。もちろん、安いとはいえ、彼女の頼んでくれた ギョーザはどれもうまかった。 ようやく腹の虫がおさまったところで、白さんと肝心の草原ツアーについて話しを始めた。白さんいわく。 「ここから割と近いシラムーレンの他にもフイタンシールー草原という美しい草原があります。どちらに行きたいですか? フイタンシールーの場合、ここから120キロのところにあって、片道4時間ほどかかるほか、海抜3千メートルのところにありますので、 夜は冬のように寒いです。どうしますか?」 「寒いって、どのくらい寒くなるんですか?」 「気温は5度くらいになります」 「5度?」 夏服しか持ち合わせのないわれわれには難しい選択だ。美しいものに対するあくなき欲求はあるものの、冬のような寒さを この薄着で乗りきるのは無理のようだ。より名前の知られたシラムーレン草原に2泊3日の日程で出かけることにした。翌朝、 10時の出発だ。 もちろん、ありがたいことに、「貧乏」なわれわれのために白さんはかなりの割安ツアーを提示してくれる。 安すぎるのではないかと思うくらい、思いっきり安い値段だ。
思うに、旅の醍醐味のひとつが人との出会いといえるだろう。この白さんとの出会いも非常に不思議なもの。 あれだけの数のガイドがいながら、また、ほとんどの人が積極的ななか、われわれはこの小柄で控えめな白さんとの縁を深める ことになった… 聞けば、この草原ツアーのバイトを通じて、日本人の知り合いがたくさんでき、日本に留学したいとの気持ちがどんどん強く なっているという。 「白さん、日本政府が出している奨学金に応募してみたらどう?」 東京で各国からやってきた国費留学生と交流のあった私は、彼らの悪くない暮らしぶりを知っている。中国国内の少数民族出身 であれば、奨学金をもらえる可能性が一段と高まるのではないかと考えたのだ。また、ぜひ彼女に日本とモンゴルの関係について、 研究をしてもらいたいという気持ちもあった。 「えっ?それはどういう奨学金ですか?」 どうやら、内モンゴル大学では奨学金の情報がないらしく、彼女は何も知らない。 「これは日本政府が世界の留学生に支給している奨学金で、数もかなりいるはずです。中国からの留学生もたくさんいますよ」 白さんの目が輝き出した。 「なんだったら、この奨学金のことについてもう少し調べて、その結果を知らせましょう」 また、以前、国際機関で働いていたM君も助け船を出す。 「ぼくの働いていたところでもアジアからの留学生に奨学金を出す制度があるので、こちらも調べてみましょう」 別に、彼女がツアー料金を割り引いてくれたから、その返礼というわけではなかった。われわれは、このまじめな努力家、 白さんが日本に行って見聞を広め、そして立派な研究をしてもらいたかった。そうせずにはおられない何かが彼女に あったのかもしれない。「袖振り合うも他生の縁」とはよく言ったもの。おいしいギョーザを食べながら、われわれは個人レベルで の国際協力を誓ったのであった。
[内蒙古的大草原的旅日記目次] [1回前を読む] [続きを読む]
[エクスプロアグローブ内蒙古自治区] |