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列車の旅は戦争だ! |
★車内は戦争状態に突入 見れば、M君の必死にもがいている姿が目に入る。彼も大きな荷物を抱えて、苦しそうだ。私はふと隣の13号車への入口を見やった。 人が少ない。「チャンス!」とばかりに、すぐさまそちらの入口に向かい、そこから12号車の自分の席を探すことにした。席番号が 112だったので、13号車に近い席だとてっきり思ったからだ。 ところが、これがとんでもない間違いだと気づくのに、そう時間はかからなかった。なんと座席番号が13号車に近いところから若い 順に並んでいる。そう、112号は12号車の入口近くなのだ。「しまった!」と思って引き返そうにも、前から後から次々に人が入っ てきては、あたりかまわず戦車のように前進してくる。引き返すことなど、とても無理だ。 「対不起、対不起…」 こんなこと言ってもだれも相手にしてくれないし、道を空けてくれるはずもない。私は意を決して強引に突き進むことにした。 首から下げたビデオカメラを手で必死に守りながら…まさに戦争状態だ。だれかの足を踏んづけようが、カバンが人に当たろうが、 戦車になった私は12号車の入口付近を目指して、ひたすら前進を続けた。 そして、やっとのことで112番の席を見つけたものの、そこには別の人が座っている。また、その席は入口のすぐ隣で、席のない人 たちが数多くたむろしていて、立錐の余地もないほどだ。 「すみません、ここは私の席のはずなんですが…」 切符を見せると、席に座っていた人はすぐにどいてくれた。そこまではよかった。問題は、大きな荷物を棚に載せようにも、 すでにたくさんの荷物が置かれ、余分なスペースがまったくないことだ。結局、込み合った車内で荷物をすべてひざの上に 抱きかかえながら、フフホトまでの4時間あまりをひたすら耐えなければならないことになった。 おまけに、トイレにも行きたくなっていた。まさに「生き地獄」のようだと思った。が、ここでは文句も不平不満も通じない。 私はこの最悪の状態がこれからずっと続くことを想定し、覚悟を決めると同時に、とにかく「便意をもよおさないように…」と天にも祈る気持ちで席に座り込んだ。 ところがである、人間腹が決まると、その気持ちが天を動かすのであろうか。しばらくして、事態が好転し始めた。 まず、大同を出てから二つ目の駅で乗客の一人が下車。彼女の荷物の置かれていたスペースが私のすぐ頭上にあり、そこにいちばん 大きな荷物を置くことができた。 次はトイレ。乗車時の戦争状態が終わり、車内に落ち着きが訪れるとともに、私は付近をつぶさに観察。入口近くにトイレ があるのを発見した。M君に荷物を見てもらいながら、無事に用を足すことができた。なかの様子も、硬座の席にしてはそれほど 悪くない。 思えば、硬座の席を手に入れたとばかり思っていたわれわれがバカだった。4時間あまりの列車の旅がわずか44元。いくらなんでも 安すぎると思うべきだったのだ。この安さに不信感を持つべきだったのだ。 大同駅で切符を買う際、「軟座、軟座」と何度も繰り返して買ったものだから、てっきりそうだとばかり思い、切符に書かれている 文字も確認しなかった。「やった!」とばかりに、喜んでばかりいたのである。
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