エクスプロア上海TOPへ TOP > 連載 > 中国・知っておいたほうがいい法律知識 > 心の病

中国・知っておいたほうがいい法律知識

心の病


時々、海外勤務中に心の病に罹るという話を聞くことがあります。海外勤務という日本語、日本人とは途絶された環境で、本来なら外に発散していた心配事や悩みが、自分の心の中に積り積もってしまうことが原因なのでしょうか。元々その様な病に罹りやすい素因があるのかもしれません。

華僑と言う海外で定住する伝統を持つ中国の人でさえも、日本で仕事をしていたが心の病に罹ってしまい帰国したということを聞きます。

こうした事態を防ぐ為には、赴任地で何でも相談の出来る友人を持つことがベストなのでしょうが、実際にはなかなか簡単にはいかないと思います。そこで心のケア―が必要となる訳です。海外赴任の場合に限らず、本来こうした問題については、カウンセラーが対応することになると思います。

ご存じのように例えばアメリカでは心の病(病に罹る前の段階も含めて。)も身体の病気同様という考え方があり、カウンセラーを利用することは日常的なことになっています。しかし、日本では大分改善されてきたと思われますが、心の病は一種特別なものと見る傾向があり、カウンセラーを利用していることを大っぴらに言うことは余りないように思われます。

中国で、心の病をどの様なものとして受けとめているか、不明ですが、おそらく日本同様の傾向があるのではないかと思われます。カウンセラーも少数ですが誕生しているようですから、今後は心の病も適切な評価と対応が行われていくようになるのでしょう。

ところで話は元に戻りますが、海外勤務で心の病に罹った場合、本人が急遽母国に帰国してから、勤務先の会社に何らかの経済的な補償を請求できないかという相談を時々受けることがあります。こうしたケースでは、退職手続や現地での交渉等は殆ど行われていないことが多く、特に中国の人が日本で日本の会社に勤務していた場合は、中国へ帰国しているという物理的な問題と会社との交渉に要する通信費、交通費、滞在費等の費用が中国の物価からみて非常に高額となるため、残念ながら事実上泣き寝入りとなってしまうことが多いかと思われます。

母国にも勤務先の本社や支社等があればそこを通しての交渉が出来るでしょうから、補償の問題も比較的容易に解決できる可能性がありますが、勤務先にしか会社がない場合は交渉自体が非常に困難です。

しかし、こうした心の病も病気に違いありませんから、(少なくとも日本では)勤務上こうした病に罹った場合、業務上の罹患として労働災害保険の適用があります。又、労災以外にも精神的な苦痛を被ったとして損害賠償を請求できる可能性も理屈の上ではあるのではないかと思われます。そこで、海外勤務中に罹患した場合、最低限、速やかに現地で医師の治療を受けて記録を残すことが必要でしょう。そして、例えば日本で勤務している場合でしたら、現地での労災申請、或いは現地で実施されている無料法律相談等を利用して現地で交渉の糸口を作ることが大切ではないかと思います。

こうしたことは、中国の人が日本で勤務する場合に限らず、一般的に言えることでしょう。■

(2000年12月掲載)



エクスプロア上海TOP] [中国・知っておいたほうがいい法律知識 目次

Copyright since 1998 Shanghai Explorer
Supported by Bridge Corporation