【記事広告】 国際電話の向こう側/ビジネスコラム

g-telephone.com提供 連載コラム「国際電話の向こう側」

第四回【2001年11月30日】

■ 以心伝心とは相手の心が読めることか?



相手の考えていることが聞かなくても分かることを「以心伝心」だと答える日本人は少なくないです。
そして、それが日本人のコミュニケーションの特徴だと信じている人も多いです。

本当でしょうか?

国際電話を使う人は、外国の人とお付き合いがある人も多いでしょう。そういう方は、相手の考えていることが聞かなくても分かる事がありませんか?
付き合いが長くなれば、誰でも相手の思考パターンは分かってくるものです。相手が日本人でなくとも同じです。日本人が以心伝心と言う時は同じ文化を背景にした共通の思考パターン或いは慣習に基づいた判断を持っているから同じ日本人の考えが分かりやすいというだけの事であって、日本人が他人の気持ちを察する想像力に優れているというわけではないし、特別なコミュニケーション能力を備えているというわけでもないし、思いやりがあるからでもありません。「○○さん、いますか?」で○○さんと話したいんだなと分かるのは以心伝心ではない。「今度遊びに来て下さい」と電話で言われても本当に来てほしいわけではないと分かるのも以心伝心ではない。

それでは相手の考えていることが聞かなくても分かることを以心伝心と言うのではないとすると、何が以心伝心なんでしょうか?
相手の思考パターンが分かってきても、それでも、「外国人とは以心伝心が無い」と言う人が多くいるのは何故なんでしょうか。

その答えが前回の「言語における文脈文化の違い」です。日本語は高文脈文化の言語だからです。
相手の考えが分かっていない時、たとえばある事が好きか嫌いか分からないときにそれを相手に確認せずに実行してしまってそれが外れた時、反発を食らう、これは当然です。しかし相手の考えが分かっている時でも、それを相手に確認せずに何かをしてしまうときも、その相手が外国人だと反発を食らう事がよくあります。そんなとき、「聞かなくても・言わなくても分かっていると思っていたのに」という期待を裏切られた気持ちから日本人は「外国人には以心伝心が無い」と感じるのではないでしょうか。

つまり、以心伝心とは相手の心が読める特別な技術ではなく、高文脈文化の言語を使用する人の間でのみ成立するコミュニケーションの手段なのです。
肝心な事は言葉にしない。一番大事な用件さえ文脈だけで伝達しようとする。日本人は「愛してる」とちっとも言わない。(とよく言われる。)

コミュニケーションとはただ言葉が喋れれば万事よし、というものではない。電話をとるとき、いつも思う事です。【続く】

この連載は毎月10日、20日、30日に更新します。よろしくお付き合い下さい。


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