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◇10月の人民元為替市場の動向と貿易収支の動き◇
| 始値 |
最高値 |
最安値 |
終値 |
| 8.2773 |
8.2770 |
8.2800 |
8.2781 |
10月も人民元相場は、従来通りの水準で安定推移した。発表された経済指標が国際収支改善を裏付ける内容であった上、経済成長面でもまずまずの状況が示された。更に政府要人からも人民元相場安定を強調する発言が複数聞かれたことより、年内のみならず来年前半も人民元相場は安定推移するとの見方が広まりつつある。
マクロ経済全体を見ると、経済成長率自体は年初に比べるとやや減速してきているものの、1〜9月実績は当初年間目標+7%を上回る+7.4%となり、通年でも+7.2〜7.3%となると予測されている。デフレ懸念についても物価指数に漸く下げ止まり感が出始め、金融当局も定例の金融政策会合において金融緩和を更に進めるとの方針を決定していることより、今後改善されていくものと見る。
国際収支に視点を移すと9月も貿易収支は大幅な改善を示した。第3四半期に入り輸出の伸びが大きく改善したことより、年初から前年同期比マイナス状態にあった通年ベースでの輸出額がようやくプラスに転じた。現在のペースを継続できれば、年間の貿易黒字額は250〜300億ドルになると見られる。
<1−9月貿易収支>[( )内は前年同期比]
| 1−9月 | 9月 |
| 輸出額 | 1370億ドル | (+2.1%) | 186億ドル | (+20.2%) |
| 輸入額 | 1176億ドル | (+19.3%) | 153億ドル | (+32.5%) |
| 貿易黒字 | 194億ドル | | 34億ドル | |
<貿易統計(四半期毎)>
| Q1 | Q2 | Q3 |
| 輸出額 | 372億ドル | 456億ドル | 542億ドル |
| 輸入額 | 330億ドル | 420億ドル | 426億ドル |
| 貿易黒字 | 42億ドル | 36億ドル | 116億ドル |
◇引き続き聞かれる人民元切下げ否定発言◇
先月の当レポートで、1〜2ヶ月前には「今年は国際収支の黒字は維持できる」という確信が中央政府内部でも確認されたものと見られる、との見方を記したが、今月その裏付とも言える人民元相場安定発言が政府関係者から更に続いた。広く報道されているところであるが、まず月半ば北京を訪問した日中経済協会訪中団と会談した朱鎔基首相が「円高進行もあり、人民元切下げを心配する必要がなくなった」との発言を行なっている。更に月後半中国のWTO加入協議で訪中したサマーズ米財務長官に対し、項懐誠財政部長・戴相龍中国人民銀行総裁といった財政・金融部門の責任者が「今年及び来年の経済状況から判断して、人民元相場は安定推移する」と述べている。
◇今後の人民元相場についての考え方◇
個人的な見解を申し上げれば、少なくとも今後半年、即ち来年6月頃までは人民元の切下げはないと考える。「香港返還後3年間は人民元相場の安定を維持することが最上層部では合意されている」との噂は絶えない。マクロ経済面でも冒頭で触れた通り安定状況を維持している(実際には不良債権の増加や失業問題などから楽観できる状況にはないと考えるが…)。来年前半の経済状況を見極めた上で、デフレ状態からの脱却が依然進んでいないとか、国有企業改革推進において現在以上に不安定感が強まっているとの判断がなされない限り現在の状況は続くものと見る。貿易収支自体は日本及び米国の国内経済の先行きに左右される部分が大きいものと考えるが、来年も赤字に転じるとはまず考え難い。
日中貿易について中国側統計(1−9月)を見ると、輸出額224.6億ドル(前年同期比+6.6%)・輸入額235.4億ドル(同+19.2%)となり、中国全貿易額の18.1%を占めている。これを見ても対米貿易とともに、対日貿易が中国にとって非常に重要であることが良く分かる。今後米国の好景気がどこまで持続するかということと同時に、日本の景気回復がいつどのぐらいの速度でしっかりしたものになるのかという点は極めて重要となろう。そしてドル円相場の推移もやはり見逃せない。
(AKEMI)
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