我是大学生〜中医薬大学の教室より〜

【11】薬の煎じ方ご存知ですか?〔保存版〕

 不覚にも私もついに風邪で倒れてしまいました。こう連日テストが続くと睡眠が削られてしまい、疲れがたまってしまったのでしょう。仕方がありません。またこの秋口は空気が乾燥しているため、中国医学でいわゆる「六淫=風、寒、熱、燥、暑、湿」とよばれる病因のうちの「風邪、燥邪」が体を襲い、感冒の症状を引き起こすと考えられています。とくに「風邪」は非常に多くの病気を発生させる原因の一つと考えられています。実は中国医学独特の感冒予防法もあります。これらは後日詳しくご紹介することといたしまし て、とりあえず私も大学付属の龍華病院へ走りました。
 いわゆる老中医と呼ばれる医者に診てもらうには、なんと言っても「専家問診」に行くのが良いかと思います。ここではそれぞれの分野で豊富な経験をもった医者が患者に対応してくれます。もちろんこれがベストとも言いきれません。「専家問診」は患者が多いため、何分も待たされた上に、3分診療ということも少なくないからです。逆に一般の内科等の診断が良いこともあります。患者が相対的に少ないためにゆっくり先生と話しが出来ます。とりあえず、今回私は「専家問診」に行くことにし、薬を調合してもらいました。

 さて、みなさんは薬の理想的な煎じ方をご存知でしょうか?ここで大学で教わる中国式のやり方をご紹介しましょう。いくら生薬を調合してもらっても、煎じることに失敗すればムダになっています。以下を参考にしてもらったら幸いです。

@ 病院にいくと大きなナイロン袋の中に、黄土色をした紙袋につつまれた薬を入れてくれます。この紙袋1袋分が一日分です。日にちが増えれば増えるほど紙袋が増えるため、ものすごい量になります。ですから病院から出てきた患者が両手に大きな袋を抱えて帰ってくるのも理解できます。
A 病院の前や路上でたいてい薬を煎じるための陶器の鍋を売っています。かなり安価ですので、ひとつお求めになることをお勧めします。金属の鍋では、金属イオンが溶け出し、薬の有効成分に支障をきたす恐れもありますので、あまりお勧めできません。
B 袋を開け、「先煎」、「後下」とかかれた小袋に入っている薬を別にします。中薬にもいろいろな種類があります。「先煎」は「先に煎じ始める」ということですが、磁石や貝殻、化石などの類の薬は、かなり密度が高く、硬いためなかなか有効成分が出てきません。また川烏のように毒のある薬はその性質を落とす必要もあります。「後下」は「後から煎じる」もので、長く煎じることの出来ない薬です。薄荷、大黄、など匂いのよくする薬がこの類に入ります。そのほかたまに「包煎」というのもあります。これらは車前子など小さな種や花粉の類で、水に解けにくい、鍋に焦げ付く、またはそのまま服用すると喉を刺激するというような理由で袋にいれて煎じます。
C 「先煎」とかかれた薬があれば、それを鍋に入れ、入れ過ぎない程度に水を入れ20分から30分煎じます。ただしもし十分に薬が砕かれていれば「先煎」をしなくても構いません。
D もし「先煎」する薬がなければ、すべての薬を鍋に入れます。「先煎」があればCの湯を捨てずにそのまま薬を入れてください。
E 水をいれます。だいたい薬が全部水に浸り、なおかつ2から3センチ余裕があるのが理想的です。そのまま20から30分水に浸します。薬が水を吸い水が少なくなり過ぎれば、水を少々足してください。
F 鍋を火にかけます。沸騰するまでは中火で結構です。沸騰した後小火にして、10分後に前述の「後下」の薬を入れます。そのあと再び5分ほど煎じます。もし「後下」の薬がなければ沸騰した後15分煎じてください。
G Fの煎じた液をコップにとり服用します。これを「頭汁」といいます。
H Fの鍋の残りはまだ使います。再び水を、薬が全部水に漬かる+2センチほどいれます。出来る事ならお湯が望ましいです。再び沸騰してから15分間小火で煎じます。
I Hの煎じ液はとっておきます。これは「二汁」といいます。
J ふたたび同じやり方でお湯を足した後、15分間また煎じます。煎じ液を別の容器にとり、ガラを捨ててください。ただナツメやクコなど直接食用することの出来る薬材はもったいないですのでぜひ食べてください。薬汁は、翌日薬を煎じるときに水と一緒に足してください。

 上の「頭汁」と「二汁」は分けて服用します。
 一般に食間が理想とされています。朝に「頭汁」を服用したあと夜に「二汁」を服用してください。もしくは夜のうちに薬を煎じて「頭汁」を服用し、朝に「二汁」を服用するほうが仕事等の時間的に都合が良いかもしれません。いずれにしろ、1日に2回服用するのが基本です。
 また体が「寒性」の方は熱いものを、「熱性」の方は冷めたものを服用してください。
 薬の味はいろいろです。「良薬は口に苦し」とは言いますが、実際は薬の性質に作用されるところが多いので一概には言えません。苦い薬は鼻をつまんでも飲むのに一苦労します。もし吐き気等を模様してしまった場合は、生姜を口の周りにぬったり、かじったりすると、吐き気止めの作用があります。
 いずれにしろ、薬の煎じ方はきわめて大切です。少しでも有効成分が残るように煎じるということは、今でも大きな研究課題の一つです。

(冒頭の写真はキャンパスにある明代、《本草綱目》で有名な李時珍の像)

(山之内 淳)


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