我是大学生〜中医薬大学の教室より〜

病院実習

 話しは変わりますが、上海でも散髪屋にいくと、よくマッサージをしてくれます。大抵はお姉さんがやってくれるわけなんですが、じつはこのことがよく我々の間では問題になります。つまりどこでマッサージを勉強したか、ということです。正直な話、きっちりと学校で正規の教育を受けた人が多くないのが実情みたいです。もし客側に疾患がなければ問題がないのですが、どこか体に不調があるときに医学的知識に基づかないマッサージをすると、かなり危険です。そんなときはお近くの中医病院に行かれることをお勧めします。中薬の処方から、鍼灸、マッサージ、西洋医学の内科的診断まで、すべてをこなすのが中国の中医師なんです。

 さて我々の大学では3学期制をとっております。上海で3学期制をとっている大学はかなり珍しく、あとは上海大学が同じような制度を採っていると聞きました。1学期は9月から、2学期は12月中旬から、春節休みを挟んで、3学期は5月、6月、7月とあります。この3学期は10週しかなく、期間はかなり短いのですが、我々の大学では特別な意味をもってます。実はこの時期に集中的に病院実習があるのです。
 病院実習は1年生からあります。私は1年生のころは淮海路にある大学付属の曙光病院の肛門科で実習しました。1年生はおもに看護関連の仕事を看護婦さんと一緒にし、看護の仕事と理論を体得するのが目的です。入院病棟の朝のベッドメークから始まって、体温や血圧を記録したり、手術の見学、器具や機器の運搬、カルテへの記載など、それはそれでいそがしい毎日でした。また看護婦さん立合いのもと、採血や点滴、注射なども実際に患者さんにやりました。ただ肛門科の患者のため、大抵はお尻以外は問題はなく、みんな元気にうろうろしてます。ちょうどサッカーワールドカップのころで、看護婦さんいわく、患者が夜中におきだいして、テレビに集まるので困った、とぼやいていました。
 ここの肛門科は中国全土でも有名で、中医学と西洋医学を組み合わせた治療法が特徴です。もちろん手術は西洋医学の分野になっていますが、その後の治療は中薬をつかっての治療となります。そのため入院期間が長くなりますが、再発の可能性が少ないということで、評判だそうです。

 その他にも、いわゆる「問診部」で先生の書かれた「病案」(カルテのこと)を写し取る作業もあります。大切なのは、それら先生方が使われている生薬の組み合わせを理解し、その奥義を知ることですが、はじめは先生方のあまりにもの流暢な字体でその解読に苦しんだものです。また先生と患者とのふれあいが、すごく印象的でした。医師、特に中医師はいかに多くの情報を患者から読み取るのかがポイントになってます。それは単なる検査結果だけではなく、その患者自身によって語られる、病状の表現までもが、診断をくだす上での大きなウエイトを占めます。ですからどうしても一人の患者に対してかかる時間 が大きくなるのは仕方がありません。そうやって先生が患者に処方した薬の組み合わせは、必然的にその患者の為に作られたものであり、世界に1つしかない生薬の組み合わせと言っても過言ではありません。ですから皆さん、多少煎じるのが面倒でも、市販されている錠剤を服用するぐらいなら、先生方の経験の結晶である、生薬をつかった煎じ薬を服用なされることを強くお勧めします。

 こうやって1年生から毎年、第3学期に病院で実習をすることにより、学生たちは自分たちが学習していることの重大さ、その責任の重さを体感するようになっているのです。

−続く− 

(山之内 淳)


[BACK]

shanghai@shanghai.or.jp
Copyright 1998 Shanghai Explorer
Supported by Bridge SSL