新学期が始まってからしばらくは本当に暑い日が続きました。今年の上海の夏は35度以上になったことがない、いわゆる「冷夏」だったそうですが、9月に入るやいなや猛暑で、地元の人でさえ根をあげていました。そんな中で新しい学年が始まりました。9月始まりというのは日本人の私にとって今一つ馴染めません。桜や梅がないからでしょうか・・・・。
とはいっても現実問題として、この暑さの中でも授業に出ないといけません。もちろん講義室にクーラーなる代物はありませんから、暑さをしのぐのも一苦労です。幸い天井には「電風機」(扇風機)が回っています。あとは・・・・、扇子を持ち込むか、水分を補給するか、あきらめて昼寝してしまうか、その程度しかありません。しかしその頼みの扇風機も研究室のクーラーを使いすぎて電力不足になるためか、時たま起こる停電のため止まってしまいます。その瞬間学生たちから「あ〜」やら「完了・・・!」(終わった・・・)というため息声が聞こえてきます。中国人の学生寮にはこの熱帯夜の中、扇風機もないので「暑くて寝れん」という同学もいました。
しかしそんななかでも、授業に出る前にかならずやっておかないといけないことがあります。ズバリ「椅子取り」です。中国語では「搶位置」と同学は言ってます。200人ほどの容量がある教室でもマイクがないので、前の席に座ることは死活問題に関わってきます。特に熱心なのは、どこでもやはり女子学生で、寮の同部屋7人分の席を取りに朝早く、授業が始まる1時間以上も前から教室にやってきます。
ではどのように席をとるか?名前のかいてあるノートを1冊(たいてい捨ててもいいような落書き帖)、机の引出しの中に入れておくのです。これは全校学生の中にある暗黙の了解みたいなもので、ノートの置いてあるところには絶対に座りません。それを知らなかった私が以前、主がいない席に勝手に座ったら、あとで「勝手に座るな。死ね、ボケ」と中国語で書いた落書きが机に入っていました。もうこうなれば平謝りです・・・。当然人気があるのは前列で、前のほうから自然に席は埋まっていきます。どうしても椅子取りに間に合わないときは常連さんの女子学生に椅子取りを頼みます。われわれ外国人にとって、はっきりと先生の発音が聞こえなければ、ほんとうにつらいのです。
ただ公平さも考慮しないといけません。そうでもしないと前列に座れる学生はいつも決まってしまいます。ですから、人気のある講義では、3回に1回ぐらい、抜き打ちで机の中に入れてある椅子取り用のノートを全部没収してしまいます。このときばかりは常連以外のメンバーが前列に悠々と座ることができます。
中国では学生数が多いために、同じ科目を違う先生が同じ時間に別の教室で教えるということが度々あります。そのために生徒の側からすれば先生を選ぶことが出来るわけで、結果的に先生の人気の違いをもろに知ることができます。たとえば、生理学の講義のとき、主任教授の講義室は外から椅子を持ち込んでの大盛況だったのに、同じ時間に行われている階下の教室での講義では閑古鳥がないていました・・・・。このあたり先生方にとっては厳しいものです。まるで日本の予備校の授業を彷彿させます。
では次回は中国の大学における教室マナーについて書きます。
(山之内 淳)
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