我是大学生〜中医薬大学の教室より〜

中国留学

 新聞記事を整理していたら私が上海に留学する1年前の興味深い記事が出てきました。

 1995年の文部省による統計です。この年、留学目的で海外に渡航した日本人は16万5千人、そのうちアメリカ留学が約50%の8万2千人。さて、中国への留学と言うと1万3千人。アメリカ留学大部分が専門知識、技術の修得を最終目的とするのに対して、中国留学では93%が中国語の修得自体を最終目的とするようです。残り7%、人数にすると1000人にも満たない数の日本人の学生がこの広大な中国で専門の修得のために勉強しているという状態でした。95年と言えば、日系企業の中国進出が盛んだった時期でもあり、中国ブームと所謂ビジネスチャンスに乗って、多くの方が中国語を勉強なさったことでしょう。同時にこれと比較にならない数の中国人が改革開放の波に乗って日本に留学に来ています。ちょうどそのような時期に私は中国の大学に留学する決心をしました。

 もともと中国に特別関心があったわけでもありません。もちろん人並みに歴史は勉強し、三国志演義、水滸伝、孫子などの代表的な古典にものめり込んだ事もありました。しかしその当時は、ただ漠然として「現代中国」と思えば、普通の若者が思うように社会主義の国、なによりも、よく分からない国、といった程度しかありませんでした。それなのになぜわざわざ中国に、ということになりますが、やはり私の直接のきっかけは「中薬」との出会いです。

 ヘビースモーカーだった祖父が末期肺癌に犯され、もう余命幾許もないと医者から伝えられたとき、民間療法でも藁にすがる思いで服用していたのが上海出身の留学生からいただいた中国産の「冬虫夏草」でした。見てくれはイモムシのようでお尻から芽を生やしている、ひからびた、こげ茶色の奇妙な幼虫は、その後その効力を如何なく発揮し、医者に3ヶ月と言われた祖父ですが、驚くような改善をみせました。

 その祖父ももう今はなくなりましたが、その奇妙な幼虫との出会いは本当に衝撃的でした。いったい中医とは何なのか?中医学が医学という範疇に入る限り、ペテンではに、科学であり、では何が人々をひきつけるのか?伝統を重んじる中国ではどのように中医学を私達若者に教育しているのか?そしてこの中医を生み出した中国は、いったいどんなところなのか?こんな素朴な疑問から私の中国留学はスタートしたのでした。

(山之内 淳)


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